閉経を迎えるアラフィー世代へ【閉経したら何が変わるの?総まとめ】

閉経を迎えるアラフィー世代。もうそろそろかも……という人は、“閉経したら、何が変わるの?”と不安でいっぱいなのでは。そこで、閉経経験者のリアルな声とともに、閉経の基礎知識から、前後に起こる不調の対策などまで詳しく解説!

 

教えてくださったかた
高尾美穂先生

高尾美穂先生

女性のための総合ヘルスクリニック「イーク表参道」副院長。産婦人科専門医。医学博士。スポーツドクター。ヨガマスターとしてヨガ指導も行う。女性の体の悩みへの明解なアドバイスがテレビで反響を呼び話題に。

 
①そもそも閉経ってなんですか?

実はきちんと理解できていない人も

アンケートを見ていると、閉経について正しく理解していない人は意外と多いようだ。まずは、閉経とは何かを、産婦人科医の高尾美穂先生に教えていただいた。

まずは言葉の意味をしっかりCHECK!

《閉経》
月経が永久に停止した状態。月経がこない状態が12カ月以上続いたときに、1年前を振り返って閉経と判定。

《更年期》
閉経をはさんだ前後5年、合計10年間。女性なら誰でも訪れる一定の期間のことをさす。

《更年期症状》
更年期に現れるホットフラッシュ、のぼせ、イライラなどのさまざまな症状をさす。

《更年期障害》
更年期症状の中でも、日常生活に支障があるものをいう。

年齢による女性ホルモン(エストロゲン)の変化

年齢による女性ホルモン(エストロゲン)の変化
  成熟期
(基準値)
更年期
(閉経前)
閉経
女性ホルモン
エストロゲン(E2)
10~1000
pg/ml
30
pg/ml以下
10
pg/ml以下
「エストロゲンを出せ」信号
卵胞刺激ホルモン(FSH)
3~20
mlU/ml
35
mlU/ml以上
40
mlU/ml以上

生理がこなくなって12カ月たったら「閉経」

まず知っておきたいのが閉経の定義。

「女性の体では、女性ホルモンのエストロゲンが分泌されることで排卵が起き、毎月生理がきます。でも、加齢とともに卵巣機能が低下していくと、エストロゲンの分泌量は減っていき、40歳以降になると急激に減少します。そして最終的に卵巣機能が終了し、エストロゲンの分泌量がゼロになると、排卵が起こらず生理がこなくなり、12カ月生理がこなかった場合を閉経と見なします。最後に生理がきたときが“閉経年齢”となるので、“あのときが閉経だったんだな”とあとからわかるわけです」

 

気になるのは、閉経が近づくと起こる、さまざまな生理の状態の変化。

 

「エストロゲンはなだらかに減っていけばいいのですが、アップダウンを繰り返しながら減っていくので、閉経前は経血量がすごく多くなることもあれば、すごく少ないときもあったりします。また、40歳以降の女性の40%に子宮筋腫があるとされ、筋腫がある場合はさらに経血量が増え、生理時に紙オムツをしないといけないほどになるケースも。生理の日数も、短くなる人もいれば、だらだらと長く続く人もいますし、周期も、2〜3カ月に1回と長くなっていく場合や、2週間に1回生理がきたりと短くなる場合、周期がバラバラになる場合などさまざま。このように閉経前は生理の状態が変わり、読めなくなるので、困ることも多いと思います。日本人の平均閉経年齢は50・5歳なので、この年齢に近くなったら、生理にこんな変化が起こりえることを認識しておくといいですね」

閉経は自然な体の変化ととらえて前向きに!

そんな閉経に対し、アンケートではとらえ方にも個人差があり、“つらい生理から解放されると思うとうれしい”と前向きな人も多いが、“女性として終わってしまうようで悲しい”とネガティブにとらえる人も少なくない。閉経には、どう向き合うべき?

「生理があるときは、女性ホルモンの変動によって体調がよい時期と悪い時期があるので、同じことをしても思うように結果が出ないときもあります。でも閉経するとそれがなくなるので、がんばったらがんばっただけ結果が出るようになります。つまり、波がなく穏やかな“凪”の時期になり、落ち着いていろんなことに取り組めるようになるのです。閉経しても人生はまだあと半分もあります。自然な体の変化ととらえて、前向きに過ごしましょう」

高尾先生

閉経すると、“凪(なぎ)”の時期が訪れるので、いろんなことに落ち着いて取り組めますよ。(高尾先生)

 
②閉経、素朴な不安Q&A

読者から寄せられた、閉経に関するさまざまな不安や疑問について、高尾先生が回答。正しい知識をもって迎えれば、こわくない!
 
(編集部が行った40歳以上の閉経した人271人に聞いたアンケート結果より)

Q.「閉経」したのは何歳のときですか?

「閉経」したのは何歳のときですか?
すでに閉経した271人の女性に行ったアンケート調査では、閉経した年齢は、50歳が最も多く約1/5の51人。日本の閉経の平均年齢は50.5歳とされているので、それとほぼ一致。しかしながら、早い人は40歳以下、遅い人は60歳以上と、20歳以上も開きがあり、個人差が大きいことがわかる。

Q.閉経は早いのと遅いのと、どちらがいい?

A.それぞれにメリットとデメリットがあります。

「生理が重かった人にとっては、閉経が早いほうが楽でいいと思います。また、閉経が遅いと乳がんなどエストロゲン依存性のがんのリスクは高くなります。一方で、エストロゲンにはコレステロール値を下げることで血管を守る作用があるので、閉経が遅いと心血管疾患の予防になります。実際、閉経が遅い人のほうが脳梗塞の発症率が低いというデータも。ですからどちらがいいとはいえません」

Q.閉経を遅らせることはできる?

A.生活習慣によって遅らせることはできるかも。

「ストレスが多いと交感神経が優位になり、血管が常に収縮して血流量が減るので卵巣機能が早く落ち、閉経が早まります。また、運動不足や喫煙、受動喫煙も血流を悪くし、閉経を早くすることがわかっていますし、動物性脂質のとりすぎや、コレステロールが少ないベジタリアン的な食事などの偏った食生活も閉経を早めます。つまり、これらの要因をなくせば、閉経が遅くなる可能性はあります」

閉経を迎えるアラフィー世代

Q.閉経になったことは検査でわかる?

A.女性ホルモン検査でわかります。

「閉経したかどうかは、婦人科で血液検査をして、エストロゲン(E2)の数値と、脳から卵巣へ向けて“エストロゲンを分泌して”と指令を出す卵胞刺激ホルモン(FSH)の数値を調べればわかります。生理がある成熟期には、E2は10〜1000pg/mlで、FSHは3~20mlU/ml。でも閉経が近づくと、“もっとエストロゲンを出して!”という指令がたくさん出されるためFSHが増えて数値が高くなる半面、E2の数値は低くなります。E2が10pg/ml以下、FSHが40mlU/ml以上なら閉経と診断します」

Q.いつごろ閉経するのか予測はできる?

A.だいたいの予測は可能です。

「閉経が近づくと卵胞刺激ホルモン(FSH)の数値が高くなるのが大きなサインなので、血液検査でこの数値を調べて、問診で現在の生理の状態を聞けば、閉経が近いかどうかをある程度、予測することはできます。ただし、この数値は検査をするタイミングによって変わるので、数値がいくつだったら閉経がいつになるという正確な時期は予測できません」

Q.閉経したら女性らしくなくなってしまう?

A.それは自分が決めることです。

「閉経してエストロゲンの分泌がなくなると、女性らしくなくなると思う人もいるようです。でも実際には大きな変化はなく、男性化するわけでもありません。女性らしくあり続けるかどうかは自分が決めることです。また、もし女性ホルモンにこだわるなら、ホルモン補充療法(HRT)という選択肢もあるので、それを受けるのもひとつの方法です」

Q.閉経したあとに生理が復活することはある?

A.たまにありますが、病気の可能性もあるので婦人科へ。

「医学的には、12カ月間生理がこなかった場合を閉経としていますが、それ以降に生理が復活する場合もまれにあります。また、HRTを受けたり、エクオールをとったりすると、生理が復活することもあります。ただし、閉経後に出血があった場合、生理が復活したのではなく、子宮体がんによる出血の可能性もあります。子宮体がんは、閉経前後にかかりやすいがんで、自覚症状は不正出血です。進行すると、排尿痛や排尿困難、性交痛があることもあります。子宮体がんは早期に発見して手術をすれば治りやすいがんなので、閉経後に出血があった場合は、早めに婦人科を受診しましょう」

閉経を迎えるアラフィー世代

Q.閉経による医学的なプラス要素はある?

A.子宮筋腫が小さくなります。

「閉経すると、子宮筋腫や子宮腺筋症、子宮内膜症などといったエストロゲン依存性の病気(エストロゲンが高い状態だと進行する病気)になりにくくなるというメリットがあります。子宮筋腫も閉経後は小さくなっていきます。ただ、閉経したらもう婦人科系の病気にならないわけではないので、閉経後も年に1回は婦人科で検診を受けるのがおすすめ」

 
③閉経エピソード~生理、それぞれの終わり方~

アンケート調査によると閉経の仕方は十人十色であるものの、いくつかのタイプに分かれることが判明。タイプ別に、みんなの閉経エピソードを公開!
 
(編集部が行ったアンケート結果より。40歳以上の女性595人の回答)

《先細り》経血量も日数も回数も徐々に減少……

閉経エピソード 「先細りタイプ」は経血量も日数も回数も徐々に減少
経血の量が少しずつ減って、間隔も空いていき、フェードアウトしたかのように、静かになくなった感じ。検診で内診してもらった際に婦人科の先生から「上手にしぼんでいっている」といわれました。(55歳・会社員)

自然消滅という感じ。もともと生理は軽いほうで、そんなにトラブルもなかったけれど、気がつくと、だんだん間隔が空いていき、今月もこない、翌月もこない……、半年空き、1年空き、閉経したんだなあと。(51歳・主婦)

2年くらいかけて、3カ月、半年、1年と生理の間隔が空いていき、またそこから1年たとうとしています。長年、産婦人科で定期的に検診を受けており、もう閉経したと判断してよいといわれました。間隔が長くなるごとに、経血量も日数も短くなっていきました。最後は、おしるし程度の生理が2日間でした。(50歳・自営業)

ぴったり28日周期だったが、50歳くらいから30日周期と60日周期で交互に生理がくるようになった。52歳ごろから間隔が空いて自然になくなっていった。(56歳・主婦)

Opinion!

高尾先生

徐々に経血量や日数や回数が減っていき、気づいたら閉経していたというのは特に困ることがないので、楽なパターンだと思います。(高尾先生)

《血の海地獄》大量に出血して服を汚すほどに!

閉経エピソード 「血の海地獄タイプ」は服を汚すほどの大量出血を経験!
閉経前の半年くらいは夜用ナプキンをしても座布団にまでしみ出すほどの大量出血があり、本当につらかった。外出時は黒っぽいボトムばかり選んでいた。(57歳・主婦)

閉経2年前くらいから、生理が隔月や2カ月おきの間隔になった。生理がくると、量が半端なく、仕事中は夜用ナプキンを使っていた。それでも、座っていると横モレや後ろモレがあって、もしものときにも汚れが目立ちにくい柄ものや厚手のスカートをはくようにしていた。その後も量に変化はなく、徐々に間隔が空いて、ようやく1年が過ぎた。1年が過ぎるまでは、いつまた生理がくるか予測がつかなかったので、職場にはいつも交換用の下着等を用意しておいた。(53歳・会社員)

40代から徐々に生理が軽くなり、だんだん間隔が空いた。ときどき予想外に大量に出血し、洋服を汚すほどだった。50歳でほぼなくなったのに、2年後に前触れもなく大量に出血しビックリしたが、それが最後だった。(60歳・会社員)

Opinion!

高尾先生

閉経前に周期が乱れると経血を出す機会がなく、ため込まれるため、一気に大量に出ることが。または子宮筋腫などの病気の場合も。(高尾先生)

《出血が止まらない!》だらだらといつまでも続く……

閉経エピソード だらだらと経血が続く「出血が止まらないタイプ」の経験談
生理の周期が不規則になり、出血が止まらず病院に行ったりなどの期間を経て、4年後に生理がなくなった。(56歳・会社員)

20日くらい経血が続いて、その後、こなくなった。(52歳・主婦)

少しずつ間隔が空いてきた。量は変わらないが1〜2日の短い日数に。最後は出血が止まらなくなり、ひと月ほどだらだらと続き、その後はごく少量の経血が数回。そしてこなくなった。(52歳・会社員)

1年くらい前に、1カ月くらい続く生理があり、病院で低用量ピルを処方してもらった。それから徐々に間隔が空いていき、量も少なくなり、気がついたらなくなっていた感じ。(46歳・会社員)

Opinion!

高尾先生

閉経が近づくと、排卵を伴わない無排卵月経が起きやすくなり、そうすると、だらだらと出血が続くことがあります。(高尾先生)

《ある日突然……》特に体調に変化がないまま気づけば閉経

閉経エピソード 体調に変化がないまま気づけば閉経する「ある日突然タイプ」
普通に生理があってその後パタッとこなくなった。(55歳・会社員)

特に前兆もなくこないなと思って様子を見ていたがその後まったくこなかった。(60歳・主婦)

それまで定期的にあったけれど、急にこなくなった。パッタリと。あったりなかったりということもなかった気がする。(55歳・会社員)

53歳直前まで毎月あったけれど、53歳3カ月で生理が3日間くらいになり、それ以降はなくなった。(57歳・主婦)

Opinion!

高尾先生

経間近でも生理や体調に特に変化がなく、ある日突然閉経に気づくという最もハッピーなタイプ。生理に困らなかった人に多いです。(高尾先生)

《最後の打ち上げ花火》なかなかこなかったのに最後に1回だけ

閉経エピソード 一度だけ急に生理になって閉経する「最後の打ち上げ花火タイプ」
40歳を過ぎ、生理の間隔は短く、量は多くの状態が続き、45歳を過ぎたころに生理がこなくなりました。これで閉経かと思いましたが、一度だけ急に生理になり、終わってなかったんだと思いましたが、その後は生理がきていないので閉経したのだと思います。(51歳・会社員)

45歳くらいから2カ月に一度、生理がきても1日で終わることもあり、かなり不定期で日数にもバラつきがあった。量は少なくなってきて、48歳後半くらいには、まったくこなくなったと思いきや、50歳で一瞬生理がきた! この一瞬が、どうやら“長年お疲れさま”のサインだったもよう! (55歳・自営業)

Opinion!

高尾先生

卵巣機能が衰えると、子宮内膜がたまっているのに、それを出すスイッチがなかなか押されず、最後に一気に出るのがこのパターン。(高尾先生)

《粘り強い!》終わりと思ったらまたくる状態が続く

閉経エピソード 「粘り強いタイプ」は終わりと思ったらまたくる状態が続く
もともと生理の回数は少なかったのであまり気づかなかったが、そういえばきてないなと思いながら、3カ月から半年に1回というのが3年くらい続いた。(60歳・主婦)

生理の間隔が1〜2年くらいかけてだんだん空いていきましたが、半年くらいなかったから終わったかと思ったら、また少しあったり、なかなか不順な感じでした。50歳くらいから、もうそろそろ閉経するかと気にはしてましたが結局55歳が最終でした。(60歳・会社員)

Opinion!

高尾先生

閉経したと思ったらまたきたりと、周期がバラつくのは普通にあること。ただ、閉経後の出血は子宮体がんの疑いもあるので婦人科へ。(高尾先生)

《病気がきっかけ》病気の治療の影響により閉経

閉経エピソード 病気の治療の影響で閉経した「病気がきっかけタイプ」
子宮筋腫で子宮摘出手術をしてから生理がなくなった。(50歳・会社員)

私の場合、市の検診で乳がん(初期)とわかり、乳房を全摘したあとに抗がん剤治療をしました。初回の抗がん剤治療がスタートしたら、ピタッと生理がなくなってしまい、その後生理はこず、43歳で閉経しました。(51歳・主婦)

子宮筋腫の治療をする際、ホルモン注射で月経を止めながら、閉経まで逃げきる方法をとりました。とにかく貧血がひどかったからです。50歳くらいのころでした。その後、徐々に経血量が減っていき、いつのまにか完全に経血が止まりました。子宮筋腫も小さくなっていましたが、閉経後の今も、エコー検査を受けると、腫瘤状の筋腫が残っています。(59歳・会社員)

子宮内膜症のため低用量ピルを服用していて、50歳のとき医師の指示で薬をやめたら閉経していた。(51歳・自営業)

Opinion!

高尾先生

子宮筋腫などの病気がある場合、症状を抑えるためにホルモン注射などで人工的に閉経させる場合も。決して珍しいことではありません。(高尾先生)

《乱高下》量や周期や日数がバラバラ!

閉経エピソード 「乱高下タイプ」は量や周期や日数もバラバラな期間を経験
47歳ごろから量が少なくなり、間隔もバラバラで期間も短くなり、2〜3カ月なかったと思ったら突然あったりしましたが、49歳から50歳にかけての1年間にまったくなくなり閉経しました。(56歳・主婦)

もともと生理不順で2カ月くらい間隔が空くこともあったのに、閉経前の2年間くらいは、28日周期でぴったりくるようになった。ただ、出血が2週間ほどだらだらと続いて、次の生理までが中2週間しかないので大変だった。出血量も多いときがあって、出かけられないほどだったり、生理前の頭痛もひどくてつらかったが、あるときからピタッとなくなった感じで閉経した。閉経後は、あれだけつらかった頭痛も嘘のようになくなり、とても楽になった。(60歳・主婦)

Opinion!

高尾先生

周期や経血量の乱れは特に閉経2年前になったら起きやすくなります。“あと2年ほどで閉経するかも”と認識しておきましょう。(高尾先生)

 
④閉経エピソード~閉経前後の更年期に起きるさまざまな不調~

Q.「閉経」したとき、どのように感じましたか?

ポジティブ派》

●正直にいうと経血の量が多く苦痛なタイプだったのでこれで楽になれる……とうれしかった。(57歳・会社員)

白いボトムが、気兼ねなく着られる! おしゃれの幅が広がる。煩わしい生理から解放された。(53歳・主婦)

毎月の不調などから解放されて楽になり、よかったと思うと同時に、更年期症状に悩まされているので、生理があるということはありがたいことだったのだと気づかされもした。(55歳・主婦)

婦人科系の持病から生理痛がひどかったので、そのつらさからの解放と、旅行などでタイミングを気にする必要がなくなった喜び。(57歳・主婦)

せいせいした。大きさ5cm超えの子宮筋腫があり、月経過多に何年も悩まされており、つらい年月だった。白いパンツをはいても、ドキドキしなくてもいい。私にとっては、新たな人生のスタートでした。(59歳・自営業)

《ネガティブ派》

●生理のつらさで命を削っているような気がしていましたが、いざ終わると女性じゃなくなってしまったような、寂しさを感じました。(57歳・自営業)

女性ホルモンで体が守られていると感じていたので、それがなくなったことによる体型や体調に変化が訪れることへの不安を感じた。(54歳・会社員)

生理痛から解放されるから、早くあがってほしいと以前は思ってましたが、いざ閉経したら、体調が優れず、急に体が熱くなったり、寒くなったり、倦怠感も出て、すっごくしんどくて、しんどくて、生理痛のほうが全然ましだった。(53歳・主婦)

はっきりとした感じはなかったが、未婚・未出産なので、自身が出産することができなくなったことがすごく残念で、なんとなく寂しく思った。(51歳・会社員)
 

生理が重くつらかった人は閉経をポジティブにとらえていて、閉経が新たな人生のスタートに。一方、閉経し、寂しさや不安などのネガティブな気持ちをもつ人も少なくない。
「生殖能力を失うと、生物学的に生きる意味がないように思えて、寂しさを覚えるかもしれませんが、生殖能力をもつ次の世代の人たちをサポートする役割に変わったのだと前向きにとらえましょう」。
「閉経」してから、これまでの不調になにか変化はありましたか?
閉経後は、不調が改善したという人が38%と最も多いが、不調が続いている人や、さらに不調になった人も半数近く。閉経後5年の更年期が終わるまでは、不調が続くケースも多いといえそうだ。

Q.現在、更年期が原因と思われる不調はありますか?

Q.現在、更年期が原因と思われる不調はありますか?
現在、更年期が原因と思われる不調があると回答した人が72%と多数。更年期世代になったら、なんらかの不調が出ることはあたりまえなのだ。

Q.更年期の不調があるかた、それはどんな不調ですか?

Q.更年期の不調があるかた、それはどんな不調ですか?

■ 11位以下

手足の関節が痛い、しびれる 91人

おなかの張り、便秘、下痢 89人

うつや不安感がある 86人

もの忘れが多い 86人

めまいがする 85人

背中や腰が痛い 76人

むくみがある 75人

動悸がする 73人

においが気になる 50人

セックスをすると痛い 39人

耳鳴りがする 38人

脱毛がある 29人

そのほか 29人

最も多い不調が疲れやだるさ、やる気のなさ、続いて目の疲れなど。これらの不調は更年期が原因ではない場合もあるので注意が必要。

Q.更年期の不調を改善するためにしていることはなんですか?

Q.更年期の不調を改善するためにしていることはなんですか?
不調改善のためにしていることで最も多かったのが生活リズムの見直しや運動。「どちらも不調の改善には大事。受診も組み合わせて」。

 
⑤閉経前後の体とうまく付き合う

閉経前後の更年期には、さまざまな不調が続出。不調が起こるメカニズムや、不調が出たときの対処法を知っておいて、うまくのりきって!

エストロゲン減少により脳が混乱し、不調が発生

閉経の前後5年間の“更年期”には、心身にさまざまな不調が起こるが、まずはそのメカニズムを知っておこう。

「女性ホルモンのエストロゲンは、脳の視床下部という部分から卵巣へ“エストロゲンを出して”という指令が出され、それに卵巣が応えることで分泌されます。でも、卵巣機能が低下する更年期になると、脳から指令が出ても、卵巣から十分な量のエストロゲンが分泌されないため、脳は“もっと出して!”と指令を出しつづけます。それでも卵巣は一向に応えてくれないため、脳の視床下部はパニックを起こします。視床下部は自律神経の中枢でもあるので、その影響を受け、自律神経も乱れてしまいます。これによって、ホットフラッシュやのぼせ、多汗、動悸、だるさ、疲労感、頭痛、めまい、不眠、イライラ、落ち込みなど、心身にさまざまな不調が生じるのです。このような不調は閉経の前後2年に最も起きやすい傾向があります。ホットフラッシュで汗をかきやすくなり、そのせいで眠れなくなって、うつになったりといった悪循環を起こすこともあります」

エストロゲンには、下記のように体を守る多くの働きがあるため、閉経するとその恩恵を受けられなくなることからくる不調も発生。

「閉経後は更年期の不調は落ち着きやすいですが、エストロゲンの分泌がなくなることで、悪玉コレステロール値が増えて脂質異常症になったり、動脈硬化や骨粗鬆症などのトラブルが起きやすくなります。また、腰痛や肩コリなど体の老化による不調も起きがちに」

エストロゲンの働きとは…

●女性らしい体をつくる

基礎体温を下げる

妊娠に備えて子宮内膜を厚くする

卵胞を育てる

肌や髪を丈夫に保つ

骨を丈夫に保つ

脳の働きを維持する

自律神経を正常に保つ

血管をしなやかに保つ

動脈硬化を予防する

代謝を促して肥満を予防する

悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを増やす

更年期障害 エストロゲン
更年期 エストロゲン

閉経前後に不調が起きる3つの要因

閉経前後に不調が起きる3つの要因

閉経前後の不調=更年期障害とはかぎらない

更年期の不調が起きるのは、身体的要因以外にも要因があるそう。

「更年期の不調には性格や環境も影響し、生まじめな人や、自己犠牲型の人は更年期障害が起きやすいとされています。それに親の介護や、家族との死別、子供の独立などなんらかの社会的要因も加わると、心が折れてしまい、更年期障害が出やすいといわれています」

このような要因で、閉経前後には不調が起きやすくなるが、アンケートで多かったのが、自分の不調が更年期障害によるものなのか、ほかの病気なのかがわからないという疑問。

「閉経前後はさまざまな病気になりやすくなる年代なので、不調が出ても更年期障害とはかぎりません。動悸がするなら甲状腺の病気などの場合が、めまいならメニエール病などの場合も。まずは動悸なら内科や甲状腺科、めまいなら耳鼻科と、症状がある器官の専門病院にかかり、検査で病気がなかったら更年期障害を疑って婦人科に行くのがおすすめ。エストロゲン不足が原因だとわかれば、婦人科でHRTを受けてエストロゲンを足せば、症状が改善する場合も多いですからね」
閉経前後の不調=更年期障害とはかぎらない
また、閉経後になりやすい病気は“先手必勝”だと高尾先生は話す。

「例えば年をとると心筋梗塞などの心血管疾患になりやすくなりますが、前段階として中性脂肪値や悪玉コレステロール値が高くなったりと、健康診断の数値になんらかの異常が出ます。特に閉経後はこのような異常が出やすくなりますが、その時点で薬などで治療をしておけば、将来の心筋梗塞を予防できます。心筋梗塞は突然起こるようでいて、必ずその前に数値に異常が現れるので、その段階で対策をして病気の芽を摘むことが大切。そのためにも日ごろからかかりつけ医をもっておき、検診を受けておくのがベストです」

さらに生活習慣を整えることも重要。

「最近コロナ禍によるストレスのせいか、睡眠不足で不調が起きている人も多数。ちゃんと寝ていないと更年期うつにもなりやすいので、更年期の不調を防ぐには、まずは十分に寝ることです。それだけで体調がよくなることは多いんです。私自身、昔、当直のある職場だったときは睡眠不足でしたが、今は8時間寝ているので体調は絶好調。皆さんもまずは生活の見直しを」

高尾先生

しっかり“眠る”だけでも、実は改善することがたくさんあります。
(高尾先生)

更年期の主な不調と症状とは…

●頭痛

●めまい、ふらつき、浮遊感

●のぼせ、ホットフラッシュ

●冷え

●のどの違和感

●腹部の張り

●手指のこわばり

●尿もれ、頻尿

●イライラ、落ち込み、抑うつなど

●だるい、疲れやすい

●動悸、息切れ

●肌の乾燥、かゆみ

●肩コリ、首コリ、背中の痛み、腰痛

●眠りが浅い、不眠

●腟乾燥、性交痛

更年期の主な不調と症状

 
⑥更年期障害の「HRT(ホルモン補充療法)」とは?

更年期障害の代表的な治療法がHRT(ホルモン補充療法)。ただ、日本では抵抗感をもつ人も多いのが現状。高い効果がある方法なので、正しく知って賢く利用を。

閉経後に起こりやすい主な症状や病気

●骨粗鬆症

●認知症、関節疾患

●卵単がん、子宮体がん

●乳がん

●腟炎、尿もれ

●コレステロール増加

●高血圧、動脈硬化

●脳卒中、心筋梗塞

誤解が多いが、実は体への負担が少なく方法も楽

更年期障害の改善効果が高いHRTだが、日本では抵抗感をもつ人が多い。この現状について高尾先生はこう話す。

「HRTへの誤解が生まれた原因は、2001年にアメリカで発表された、HRTを5年以上続けると乳がん発生率が上がるという研究報告です。ただ、これは’05年に否定され、現在はHRTが乳がんに及ぼす影響は小さいことが学会でも発表されています。それにもかかわらず、過去の情報が更新されていない人が多数。また、HRTは大量のホルモンを補うと思っている人もいますが、実際は生理があったときの3分の1程度のエストロゲンを足すだけで、低用量ピルの6分の1の量。なのでよくも悪くも体にそこまで大きな影響はなく、それでも症状が楽になることが多いので、つらさを我慢するくらいなら受けたほうがいいと思います」
更年期障害の「HRT(ホルモン補充療法)」は誤解が多いが、実は体への負担が少なく方法も楽
では、HRTの具体的な方法とは?

「HRTは、飲むタイプ、はるパッチタイプ、塗るタイプがあります。エストロゲン剤がメインで、子宮がある人(手術で子宮摘出していない人)は、子宮体がんのリスクを抑えるため、プロゲステロン剤も併用します。エストロゲン剤は経皮吸収のほうが血栓症や乳がんのリスクがより低いので、第一選択ははるタイプや塗るタイプ。プロゲステロン剤は飲むタイプと、エストロゲンと一緒になったコンビパッチがあります。コンビパッチは3日に1回はり替えるだけなので楽です。HRTをすると最初は出血が起きますが、徐々になくなります。費用は保険適用で1カ月1000〜3000円程度です」

受ける場合の手順とは?

「HRTは受けられない人もいるので、まず体の状態を検査します。健康診断の結果を持参すれば検査を省けます。検査で問題がなければまず1カ月分を処方し、使ってみて問題がなければ3カ月分を処方します」

このようにHRTは想像以上に楽にできる方法。まずは婦人科で相談を。

高尾先生

治療は進化しているから、つらさを我慢していてはもったいない! ぜひ婦人科へ。(高尾先生)

40歳以上の女性595人に、アンケートで聞いてみました!

Q.更年期の不調が出たら、HRT(ホルモン補充療法)をやってみたいと思いますか?

Q.更年期の不調が出たら、HRT(ホルモン補充療法)をやってみたいと思いますか?
更年期の不調が出ても、HRTを受けたいかどうかわからないという人が半数以上。やはりHRTへの正しい知識がない人がまだまだ多いことが理由かも。

Q.HRTを「やったことがある」と答えたかた、やってみてよかったと思いますか?

Q.HRTを「やったことがある」と答えたかた、やってみてよかったと思いますか?

<YESと回答したかた>

「ホットフラッシュがつらかったので始めた。最初は漢方薬で症状がやわらいだが、効かなくなりHRTも併用することに。かなり改善しました」(51歳・主婦)

「すぐに効いて、夜中に汗で目覚めることがなくなり、きちんと睡眠がとれるようになった」(57歳・会社員)

「肩コリ、腰痛、ドライアイ、髪の毛の量とツヤ・クセ・うねり、肌のツヤ感、家事へのやる気などが改善されたので、もっと早くから服用すればよかったと思いました」(52歳・会社員)

<NOと回答したかた>

「乳がんリスクが上がるといわれてやめた」(54歳・主婦)

「今の時点では、この治療で正解なのかはわからない」(49歳・会社員)

「気持ちが少し前向きになってきたと感じる。ただ、だらだらとまた生理が、始まったことがイヤです」(55歳・会社員)

HRT経験者の72%は症状が改善し、やってよかったと回答。なんらかの効果を感じる人が多いようだ。一方、出血などの問題でNOと答えた人も。

 
⑦HRT(ホルモン補充療法)の疑問にズバリ答えます

アンケートで寄せられたHRTに関する疑問に高尾先生に答えていただいた。HRTに対する正しい知識をもって、つらい症状に悩んでいる人は検討を。

Q.メリットとデメリットは?

A.骨や血管の老化を防げるなどメリットは多数。

「HRTは、更年期障害の改善に効くだけでなく、エストロゲンを補うので、骨や血管の老化を防げて、それにより骨粗鬆症や生活習慣病などの病気を予防できたり、肌や髪のツヤやハリも保てるなど多くのメリットがあります。デメリットは、血栓症のリスクが高まることと、乳がんがある場合はがんを促進させる可能性があることなどです。ですから事前の検査をきちんと受けることが大事で、リスクがある人は受けられません」

Q.受けられないのはどんな人?

A.乳がん経験者、がん治療中の人、血栓症経験者など。

「HRTが受けられないのは、乳がんの経験者、または治療中の人、子宮体がんなどなんらかのがんの治療中の人、血栓症や塞栓症になったことがある人、重い肝臓の病気がある人です。また、場合によっては受けられないのが、喫煙者、コントロールできていない糖尿病や高血圧の人、乳がんや子宮がん、卵巣がんの手術を受けたことがある人など。事前によく相談を」

Q.実際、どれくらい効くの?

A.ホットフラッシュ、のぼせ、多汗などに特に効く。

「HRTの効果の現れ方には個人差がありますが、更年期のホットフラッシュやのぼせ、ほてり、多汗などに特によく効き、早くて数日、遅くとも2カ月もすれば症状は治まることが多いようです。多汗が治ることで不眠が改善し、それによってうつも治ったりと、複数の不調が改善することも多いです。イライラや落ち込みなどメンタルの不調の改善にも効きます」

Q.どれくらいの頻度で、いつまでやるのがいいの?

A.頻度は毎日、閉経2年後くらいまで行うのが一般的。

「更年期障害は、閉経の2年後くらいで症状が出なくなることが多いので、HRTもそれくらいで終わらせることが多いです。通常は基本的に毎日投与しますが、終わらせるときには、2日に1回、3日に1回、1週間に1回と段階的に投与の頻度を減らしていきます。ただ、HRTは何歳になったらやめないといけないという決まりはなく、骨や血管の健康のために、ずっと続ける人もいますし、それでも問題はありません」

Q.閉経してだいぶたってからでもOK?

A.閉経10年後以降は受けられないので早めに決断を。

「閉経して10年以上たつと、HRTによる血栓症のリスクが高まるので、10年後以降にHRTを開始することはおすすめしていません。閉経前後は、まだ骨や血管などの衰えを感じないことも多いので、HRTを考えない人が多いですが、そのうちに骨や血管はどんどん老化していきます。閉経10年後に老化を感じて慌ててHRTを始めようと思ってももう受けられず、エクオール一択に。閉経後10年以内なら可能なので受けるなら早めに」

Q.不調がなくても、閉経後の病気予防のためにしたほうがいい?

A.病気予防のために受けるのも選択肢として◎。

「前述したように、閉経後はエストロゲンの分泌がなくなるため、骨がもろくなったり、動脈硬化が起きやすくなったり、血圧やコレステロール値が上がりやすくなったりするため、病気になりやすくなります。更年期障害はなくても、こういったトラブルや病気を未然に防ぐために、積極的にHRTを受けることはいいと思います。不調がなくても保険適用で受けられます。閉経が早かった人には特におすすめです」

 
⑧更年期の不調の改善に効果的な「3つの方法」

《漢方薬》

「HRT(ホルモン補充療法)が受けられない人や、HRTに抵抗がある人は漢方薬で症状を緩和することも。更年期障害に75%の改善が見込めるとの報告もあります。よく使われるのは加味逍遙散(かみしょうようさん)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)。特にメンタルのアップダウンや不眠に効くのが加味逍遙散で、最初に処方する場合も多いです。症状や体質に合わせて医師に処方してもらうこと。漢方薬も保険適用です」
更年期の不調の改善に効果的な漢方薬

《エクオールのサプリ》

「エクオールは、エストロゲンと似た働きをする大豆イソフラボン由来の成分。更年期症状の改善や、骨粗鬆症予防、女性のメタボ改善などの効果への研究報告もあり、最近、婦人科の更年期治療でも用いられています。サプリメントでとることができ、市販もされているので手軽にとれます。HRTに抵抗がある人は、まずエクオールから始めてみるのもいいと思います」
更年期の不調の改善に効果的なサプリメント

《生活習慣の改善》

「更年期の不調には生活習慣の改善も大事で、特におすすめなのが運動です。適度な運動は、更年期に起きやすい不眠やうつの改善効果があることがわかっていますし、自律神経を整える効果もあります。激しい運動でなく、ウォーキングやヨガなど適度な運動を習慣にしましょう。また、十分な睡眠をとって、規則正しい生活を心がけることも不調改善につながります」
更年期の不調の改善に効果的な生活習慣の改善

 
⑨「対談」女の人生”いい波”に乗った者勝ち!

マンガ『生理終了!』の著者にはまじが聞いた「閉経したら何が変わるの?」。初対面のおふたりがすっかり意気投合! 次々と飛び出すぶっちゃけトークから浮かび上がった、更年期の実態と本音をぜひ参考にして!

【対談】マンガ家 安彦麻理絵さん×モデル 浜島直子さん

モデル 浜島直子さん

モデル 浜島直子さん

「体は暑いのに足首だけが冷えて。そろそろ更年期へ突入の予感!」


はまじま なおこ●’76年、北海道生まれ。モデル、絵本作家。18歳でモデルデビュー。雑誌のモデルを中心に、テレビ出演やラジオDJとしても活躍。昨秋に上梓した、18篇からなる初随筆集『蝶の粉』(ミルブックス)が好評。
 マンガ家 安彦麻理絵さん

マンガ家 安彦麻理絵さん

「更年期について家族や友人と気軽に話せると、気持ちが楽になりますよ」


あびこ まりえ●’69年、山形県生まれ。漫画家、エッセイスト。女性の本音を赤裸裸に描く作風で人気。更年期をめぐる爆笑エピソード満載の『生理終了!~恋愛マンガ家が50歳になったら人生こうなる~』(サイゾー)全4巻は電子書籍で発売中。
マンガ家 安彦麻理絵 生理終了!

更年期の気力低下には筋トレが効果絶大!

浜島 安彦さんのマンガ『生理終了!』、とてもおもしろかったです。閉経と更年期を迎えた女性の本音がユーモラスに描かれていて、こういう感じなら更年期も怖くないなって前向きな気持ちになりました。安彦さん自身はどんな感じで閉経を迎えられたんですか。

安彦 44、45歳のころから、1カ月に3回生理がきて2日間で終わるとか、リズムが狂いはじめたんです。経血の量も減って水墨画のように薄くなってきたので、ああ、これが閉経の合図なんだと思いました。ただ、複数の友人から、「血の海地獄のような生理が最後にドンときて終わる」というものすごい話を聞いていたのに、私は50歳のある日、何事もなくシレッという感じで終わってしまって。なんだかあっけなかったですね(笑)。

浜島 終わり方は人それぞれなんですね。気持ち的にはどうでしたか? アンケートを見ると「生理がなくなってスッキリ!」という人と、「女性として終わってしまったようで寂しい」という人、いろんな声がありますが。

安彦 生理はないほうが楽ですし、寂しいという気持ちも起こらなかったので、「閉経をなるべく遅らせたい」という声があることに驚きました。閉経しても女はオンナというか、女性はしぶといですよ。亡くなって灰になっても、その灰まで「女」だと私は思うので。

浜島 灰になっても女は女……深いなあ。私も仕事柄、生理中は衣装を汚してしまわないかと気が気じゃないんです。なので月経が早く終わってほしいなと思うこともあります。ただ、更年期に起こる症状が気がかりで……。

安彦 ホットフラッシュがひどくて眠れないとか、更年期障害で苦しむ友人の話を聞くと、私はつらいことがあまりないので申しわけなくなります。唯一の問題がうつっぽくなること。生理がきている間もPMS(月経前症候群)でイライラして、無理難題をいって夫に迷惑をかけてきましたが、閉経後もメンタルが安定しなくて夫を困らせています。女性ホルモン恐るべし、ですね(笑)。

浜島 誰にも会いたくないって引きこもるとか、そんな感じになるんですか。

安彦 はい、誰にも会いたくなくなるし、「私なんて汚くなりやがれ」みたいな自虐的な気分になって、一週間近くお風呂に入らなくても平気だったり。

浜島 えーっ、お母さん、臭い! とか、家族に文句をいわれませんか(笑)?

安彦 旦那には「いいかげんにしろ!」と怒られますが、子供たちはPMSでイライラしている私と夫がやり合っているのを何度も見てるから、ケンカしなければOKという感じです。

マンガ家 安彦麻理絵さん 生理終了!

浜島 それで、うつっぽい感じから抜け出すきっかけはあるのかしら。

安彦 メンタルの低空飛行がしばらく続くと、そろそろいいかな!? と心と体が自然に思うみたいです。それからマンガにも描きましたが、筋トレを始めたのも効果がありましたね。筋トレにはドーパミン(やる気を出すホルモン)と、セロトニン(幸せホルモン)を分泌する効果があるらしくて、気分が落ち込んだときにスクワットをすると、いろんなことがどうでもよくなってくるんです(笑)。

浜島 元気が出るエピソードですよね。マンガを読んで、私も歯磨きしながらスクワットをするようになりました。今44歳ですが、更年期が始まりかけてる感じで、去年の夏ごろから超暑がりで汗っかきなのに、なぜか足首だけが氷を当てたように冷たいという症状が出てきました。今思えば、妊娠中にホットフラッシュのような症状を経験しているし、更年期になったら必ずホットフラッシュが起こる、という自信があります(笑)。

安彦 もう更年期対策をされてますか?

浜島 40代の半ばごろから女性ホルモンのバランスが乱れて、心身にさまざまな不調が起こるようになると聞きます。それで最近、女性ホルモンに優しい生活を心がけるようになりました。バランスのよい食事をとるとか、規則正しい生活をしてしっかり眠る、適度な運動を行うなど、どれもごくあたりまえのことなんだけど、忙しさの中でそれが少し疎かになっていたことに気づいたんです。

安彦 何か、変化を感じましたか?

浜島 以前、ベッドマットにシーツをどうかけるかで夫とケンカして、息子の前で思わず大泣きしたことがあったんです(笑)。食事を見直したり、生活習慣を整えるようになって、自律神経が安定してきたのか、感情が大爆発することがなくなりましたね。

安彦 今は更年期のつらさを緩和するいい処方があるし、大変なときはひとりで悩まないで婦人科の先生に相談してほしいと思います。私は取材でうかがった婦人科で女性ホルモンの数値を調べてもらいましたが、「かぎりなく閉経に近い」とか現状を知ることも、更年期と上手に付き合うためのひとつの方法ですよね。

浜島 初潮のことは学校で習うけど、更年期については誰も教えてくれません。更年期=更年期障害ではないとか、正しい知識を得ることで更年期の問題とちゃんと向き合える気がします。

更年期を第2の人生について考えるきっかけにしたい

浜島 わが家では「生理だから明日のロケは大変」とか、月経のことを夫と息子の前で普通に話しますが、安彦さんのお宅も月経や更年期についての話題をオープンにされてますよね。これは更年期を上手にのりきるためにも大事なことじゃないかな、と私は思っていて。

安彦 そうですよね。母親世代が更年期について話すのは聞いたことがないけど、ひとりで苦しんでいた人もきっといると思う。一番身近な家族には更年期のことをぜひ理解してほしいし、母親や友人など更年期について気軽に話せる人がいると、気持ちが楽になると思います。

浜島 仲よしのヘアメイクさんとメイク中によくぶっちゃけトークをしていて、更年期の話題からメイクイット アンド コーのウォッシュオイルを教えてもらいました。素材にこだわった肌への負担が少ないオイルで、「これで腟のマッサージをしてみたら?」といわれて。お風呂あがりにこのオイルで腟マッサージをしてますが、保湿力を高めて、血のめぐりもよくなれば、更年期障害の予防につながるんじゃないかなと思っています。

安彦 加齢とともに腟の筋肉がゆるんで尿が漏れやすくなるし、マッサージはとてもよいと思います。私のおすすめは、何かひとつ、夢中になれるものをもっていること。46歳のころきものにハマって、「あの帯揚げはどの帯と合わせようか」とか、夢の中でもきもののことを考えるようになりました。その熱っぷりといったら、沼ですよね。ただ、泥沼じゃなくてフルーチェみたいな甘~い沼(笑)。きもののことを考えると、どんなイライラもスーッと消えてしまいます。

マンガ家 安彦麻理絵さん 生理終了!

浜島 舐めると甘い、スイートな沼ですね。ふと思ったのですが、初潮がくるとお赤飯でお祝いしてくれるじゃないですか。閉経のときも記念イベントみたいなものがあってもいいと思いませんか。

安彦 本当に何十年も生理がきていた私の子宮、長い間お疲れさまでした! という感じですよね。実は友人が「閉経のお祝いに」と、台湾から臭豆腐を買ってきてくれたんです。更年期と臭豆腐の組み合わせって? と思ったけど、なんだか楽しいほうが気持ちが前向きになっていいのかも(笑)。

浜島 閉経記念のイベント、私は何をしようかな(笑)。閉経を迎えるころって子育てが一段落したり、仕事で責任あるポジションを任されたり、女性としてもひとりの人間としても人生の新しいステージに移るタイミングと重なりますよね。新しい扉を開けたとき、いい波にうまく乗って更年期を乗り越えたいと思います。

安彦 閉経について大っぴらに語れない人もたくさんいると思います。そのかたたちに「更年期ってそれほどのことでもないんだ」と思ってもらえるように、マンガで伝えていきたいですね。

【対談】マンガ家 安彦麻理絵さん×モデル 浜島直子さん
(浜島さん)ブラウス¥24,000・パンツ¥20,000/ウィム ガゼット 青山店(ウィム ガゼット) ベルト¥12,000(ガリャルダガランテ)・イヤリング¥24,000(2.718)/以上ガリャルダガランテ 表参道店
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