思い当たったら要注意! 争族になるケースTOP5【今から考える相続のこと】

身近な問題である「相続」だけど、実は、なんの対策も講じていない人も少なくないよう。「法律に沿って行えばスムーズにいくはず」「たいした財産がないから大丈夫」と思っているなら、要注意。2000件以上の相続と対峙してきた上級相続診断士の一橋香織さんが、「もめやすいケース」5つをピックアップ。ひとつでも該当しているなら……、今すぐ相続対策を!

Case1. 財産が不動産のみで現金がない

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「財産が自宅のみでも、売却し、売却益を子供たちに等分するなら、もめることはないでしょう。問題は、同居している娘など、特定の子供に相続させたい場合。例えば、家の評価額が5000万円で、子供がふたりだとしたら。法定相続分は1/2ずつなので、家を相続しない子供も2500万円相当の財産を受け取る権利があります。そのお金が手元にないために、家を売ることになり、親と同居していた子供が住み替えを余儀なくされたという事例は珍しくありません。また、相続税の支払いは現金で一括納付。その原資を、誰が、どうやって捻出するかも問題に。財産が不動産しかないのなら、親の生前に対策をとっておくのが賢明です」(一橋さん)

Case2. 介護している子供としていない子供がいる

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親を介護したのは、同居する息子の妻で、遠方に住む娘のサポートはほぼなし。こういった状況も争族になりやすい傾向があるという。「法律上は、子供の配偶者は相続人にならないので、遺産はきょうだいが1/2ずつ相続することになります。息子の妻はそれに納得できず、『私が介護したんだから、多めに相続するのが当然』などと、夫をけしかけることも少なくありません。こんなふうに第三者が口をはさむと、トラブルは大きくなりやすいんですよ。親の生前から、家族みんなが息子の妻に感謝の意を表したり、彼女が何かしら相続できる手立てを考えておくと安心です」(一橋さん)。

Case3. 働いていない/働けない子供がいる

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「最近増えているトラブルがこれ。今は、40代・50代の引きこもりもいますし、病気などで働けない人もいます。年金など親の収入に頼って生活している子供がいると、親は将来を心配し、財産をすべてその子に相続させようと考えがち。ほかの子供に、その子の面倒を見させるわけにはいかないからという親心ではありますが、周囲がそれで納得するかどうか……。働きたくても働けない状態なら受け入れるかもしれませんが、そうでない場合は大もめになります。このケースは、今後ますます増えてくるのではないかといわれています」(一橋さん)。該当者がいるなら今すぐ対策を。

Case4. 子供のときの教育や独立後の援助に差がある

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弟は大学院まで出たけれど、姉は短大卒。弟は自宅購入資金を半分出してもらったのに、姉のときは「お嫁にいったのだから」と、援助はなし。きょうだい間にこうした“格差”がある場合も、トラブルに発展する危険性が大。「法定相続分どおり、きょうだい平等に相続とすると、お金をかけてもらっていなかった子供が不満を抱くのも当然のこと。たとえ、現在ゆとりのある暮らしをしていても、です。なぜなら、相続はお金の問題だけでなく、『自分のほうが愛されていたはず』という、親の愛情の取り合いでもありますから」(一橋さん)。結果、きょうだい断絶も多々!

Case5. 遺言書がない

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「遺言書は誰に何を遺したいかだけでなく、どんな財産があるのかを家族に伝える術でもあります。今はネットバンクやオンライン証券など、デジタル金融が増えています。これらは、通帳もなければ、金融機関からの通知が郵送されることもほぼないので、本人の死後、家族で調べるのは大変。私も、調査を依頼されたことがありますが、故人に縁がある場所の金融機関にひとつずつ連絡するなど、多大な労力がかかりました。相続手続きをスムーズにするためにも、遺言書はあったほうがいいですね。また、遺言書がない=法定相続分どおりになります。相続人がそれに納得しなければ、トラブルが起こることも。もめる可能性があるのなら、ぜひ遺言書を用意してください」(一橋さん)

教えてくれたのは・・・

上級相続診断士 一橋香織さん

笑顔相続サロン代表。アフィリエイティッドファイナンシャルプランナー、終活カウンセラー上級、家族信託コーディネーター。これまで2000件もの相続問題を解決し、著書も多数。     




『家族に迷惑をかけたくなければ相続の準備は今すぐしなさい』

一橋香織 PHP 研究所 ¥1,000







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