見ればキレイになる⁉韓流ドラマナビ②「空から降る一億の星」

エクラでおなじみのライター山崎敦子がお届けする、韓流ドラマナビ。第2回目からは、最近日本で発売されたDVD作品や配信作品を中心にご紹介します。
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 例えば、20年、時が戻って、もう一度恋をすることになったら、どんな男子と恋に落ちたいですか?  実直でやさしく将来が安定している男子と、ゾクゾクするような魅力にあふれる過去も明日も見えない男子と。

 今回紹介するこのドラマは、もちろん後者が主人公。その名はムヨン。一度、その魅力にハマったら絶対に抜け出せない(!)と言われる超危険な男…。
「空から降る一億の星」というのがこのドラマのタイトルですが、この響きに「あら?」と思った方、そうなんです。実は、これ、17年前に日本のラブロマンスの名手と言われる脚本家の北川悦吏子さんが脚本原作で大ヒットした名作ドラマの韓国リメイク版。同じ傷を持つムヨンとヒロイン・ジンガンの切なく狂おしい恋と、ジンガンを溺愛する兄ジングクを交えた3人の衝撃的な運命が、心揺さぶるサスペンスメロドラマ仕立てで描かれています。登場人物やその基本的な背景はほぼ日本のドラマと同じですが、時代を現在に移し変え、キャラの設定や感情の微妙な動きに至るまでより繊細に丁寧に描きこまれているので、実際には非現実的な物語ではありますが、観ているものにずしりとリアルに迫ってくところは、さすが韓流といったところ。

 ドラマはある女子大生の転落殺人事件からスタート。ヒロインのジンガンは、その事件を捜査する兄ジングクと親友スンアの陶芸展に出席。そこで危険な男ムヨンと出会い、3人の運命の歯車が回りだすといった具合。兄ジングクは、25年前のある事件をいまだ引きずる出世とは無縁の刑事で、妹ジンガンが幸せになることだけを望んで日々生きているのですが、年頃を過ぎてもいまだに恋人もできずにいるジンガンに、実直でやさしい自分の同僚の後輩刑事チョロンを紹介します。一方、ムヨンに対しては女子大生殺人事件に関与しているとの疑念を募らせていき…。

 主演のムヨンを演じるのはソ・イングク。韓国の国民的オーディション番組で72万人の中から優勝し、高校生役からエリートに至るまでまでさまざまな役柄を演じ分けるイケメン実力派(私のベスト3に入る大好き俳優さん)で、今回も一見人懐っこそうでありながら、内に冷酷さと計り知れない孤独を秘める難役ムヨンを名演。多くの女性を虜にしてしまうミステリアスな魅力を圧倒的なリアルさで演じきっています。特に、眼差しの表情がとってもセクシーで切なく、愛おしくなること必至。どこも見ていないようでいて、まっすぐと心の奥底まで見通しているような、寡黙で饒舌な視線の演技が絶品です。ヒロインのジンガンに扮するのは演技力に定評あるチョン・ソミン。彼女の芯のあるクリアな印象はまさにヒロインの役のイメージぴったり。兄ジングクは、映画「新しき世界」のパク・ソンウン。圧巻の悪役から一転心優しき兄を存在感たっぷりに好演。監督は「ナイショの恋していいですか」「ああ、私の幽霊さま」などを手掛けたユ・ジュンオン。サスペンス仕立てのハラハラの展開と、さまざまな感情が交錯する繊細かつ奥深い演出やカット割りが実に素晴らしく、観始めた瞬間から釘付けになること請け合いです(ドラマ冒頭でジングクとムヨンがすれ違いざまに視線を交錯させるカットがあるのですが、まずはそこをお見逃しなく。そのシーンだけでも、ムヨンに完璧に心を持っていかれますから)。
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あなたは安定男派?それとも危険男派?

 と、ここで、最初の質問。将来の安定したやさしい男とどうしようもなく惹かれてしまう危険な男、あなたはどっち? 物語では、兄の思いとは裏腹に、実直で優しいチョロンではなく、危険な男ムヨンに心ひかれていくジンガン。

 そんなヒロインを見るうちに、ある友人の言葉を思い出しました。
「10年後の私を見て、絶対に誰よりも幸せになっているから」。

 キャンディス・バーゲンばり(例えが古くてすみません)の知的美人の彼女は、当然ずっとモテモテの人生。野球部のキャプテンに、老舗の跡取り息子に、などなど、錚々たる男子とのいくつかの恋を経て、適齢期となる年齢でムヨンのような男性と恋に落ちたのです。これまでの誰よりも彼に夢中になっている彼女を見て、当然、その彼と結婚するものだと思っていました。ところがです、彼女が最終的に選んだのは、条件の揃ったお見合い結婚だったのです。純愛や運命の糸への想いをいまだ捨てきれていない年齢だっただけに、彼女の選択が信じられないでいる私に前述のセリフ。そして、彼女はさらに続けたのです。

「今まで、いろんな人を好きになってきたけれど、好きになっても、その思いはずっと続かない…。そんな不確かなものに、私の今後の人生をかけることはできない」と。それ以来、彼女のことをリスペクトし続けている私であります。もちろん、10年後だけでなく、ウン十年たった今もなお、彼女が誰よりも仲睦まじく幸せな暮らしを送っているということは言うまでもありません。では、20年、時を戻して、果たして私ならどうするか…? それは本当に戻ってみなければわからないことだけれども、でも、頭の中で何度妄想してみても、空から降る一億の星のなかからたった一人の相手がムヨンだったとしたら、きっと世界の果てまで堕ちていってもかまわない…、そう、思ってしまう今日このごろなのでした。さて、あなたはいかが?
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「空から降る一億の星<韓国版>」
Blu-ray&DVD BOX1・2 発売中
DVDレンタル中
デジタル配信中
発売・販売元:ポニーキャニオン
11/5(火)より、BSフジで放送決定!
11/5(火)スタート
BSフジ <韓ドラ・ひる>枠 
毎週(月)~(金) 14:59~16:00

その言葉、気になる! ドラマのハングル・ワンポイントレッスン

 思いっきり妄想の世界に浸れるのが韓流ドラマの大きな魅力。でも、どうして? ふと考えて行き当たったのが俳優たちが発する韓国語にあるのでは?ということ。例えば、日本語で「愛している」というセリフが流れてきたら、それはとってもリアルではないし、なんかちょっとこっ恥ずかしい。それが「サランヘ」になると、途端になぜか心がふわんと暖かくなってくるから不思議です。欧米のドラマも異国の言葉ですが、韓国語により妄想マジックを感じてしまうのは、韓流のお顔だちが私たち日本人と似ているようで違い、違っているようで似ているのがキモ。その距離感が観ている私の脳内を絶妙に操作してくれる、そう思うのですが、どうでしょう。韓国語のイントネーションも独特で、ある時はフランス語のように軽やかに、ある時は津軽弁のように可愛らしく、さまざまな表情を響かせてくれる…。そこで、そんな韓国語の魅力も一緒に味わっていただきたく、ここでは、毎回、ドラマの気になる「ハングル」をご紹介します。
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【연애 좀 해라】(ヨネ チョン ヘラ)「恋愛しろよ」

 今回のドラマ「空から降る1億の星」からは「연애 좀 해라」(ヨネ チョン ヘラ)。
ドラマのとあるシーンで、兄のジングクにかかってきた携帯画面に映し出されるのがこの文字です。

 日本語では「恋愛しろよ」の意味。
「연애」は「恋愛」、「좀」は「ちょっと」という意味で、最後につく「해라」(ヘラ)が「〜しろよ」という命令形を表す表現になります。だから、例えば、勉強という名詞「공부」(コンブ)に해라をつけて「공부해라」(コンブヘラ)とすれば、「勉強しろよ」になるというわけ。いくつかの名詞を覚えれば、簡単に応用できそう、と思いませんか。といっても、実はコレをむやみに使うのはNG。敬語や丁寧語が徹底されている韓国では、よっぽど親しい人以外には使えない表現なので気をつけて。初対面の人や年上の人に使うのは厳禁と覚えておきましょう。(年下の彼氏ができたら使ってもOKかもですが…)

 さて、携帯のこの文字を見て、ジングクは、妹のジンガンからかかってきたなと電話を受けます。

 でも、なぜ「恋愛しろよ」が妹ジンガンなの?
日本では電話番号を携帯に登録する際、相手の氏名と一緒に登録しますよね。だから、携帯に電話がかかると、そこに映し出されるのは登録した名前そのものであることが多い。韓国ドラマのシーンでも、携帯に登録している場面がちょくちょく出てくるのですが、登録名は氏名そのものよりも、その時に相手に対していだいている印象だったりする場合がとっても多くて、実は、それがドラマのちょっとした味付けとなっていることが少なくないのです。例えば、初対面が最悪だった男子(ドラマではこの男子と恋に落ちる設定)は「ムカつくヤツ」。それがドラマの展開と重なりながら「気になるヤツ」「ちょっと好き」「愛するダーリン」などと変わっていくという塩梅。

 妹ジンガンに幸せになってほしいジングクの思いが、この「연애 좀 해라」にも表されていたというわけですね。
山崎敦子

山崎敦子

旅行記事に人物インタビュー、ドラマ紹介、実用記事から、着物ライターとさまざまな分野を渡り歩き、今では美容の記事を書くことも多くなったさすらいのライター。襲いかかるエイジングと闘いながら、ウキウキすること、楽しいことを追い求め続ける日々を送る。最近は、韓国のオーディション番組プロデュースX101にはまりまくり、そこからデビューが決定した11人アイドルグループ「X1」に大注目中(今後機会があれば、そちらも記事に上げたい…)。ちなみにBTSも好きです。

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