まずは「認知症」を正しく知ろう【親が“認知症”になってしまったら②】

親が認知症を発症することに不安や恐怖を抱いている人は少なくない。けれど、認知症専門医の奥村先生いわく「正しく認識し、適切な対応をすれば、恐れることはありません」。いざというときに慌てないための正しい認知症の知識をご紹介。

教えてくれたのは…

認知症専門医 奥村 歩先生

認知症専門医 奥村 歩先生

おくむら あゆみ●岐阜大学医学部卒業、同大学大学院博士課程修了。「おくむらメモリークリニック」の「もの忘れ外来」で10万人以上の脳を診てきた第一人者。『認知症の「家族」と暮らす技術(テク)』(世界文化社)など著書多数。
『「朝ドラ」を観なくなった人は、なぜ認知症になりやすいのか?』

『「朝ドラ」を観なくなった人は、なぜ認知症になりやすいのか?』

奥村 歩 幻冬舎 ¥1,200

脳の仕組みをベースに、認知症を発症する原因を、軽妙な語り口でわかりやすく説明。100歳まで脳を衰えさせないための有効なアドバイスは、ぜひ参考に。

 

知識に基づいた対処ができれば、恐れるに足らず。

高齢になれば、誰でも認知症になる可能性が

「読者の親は70代から80代? ならば、いつ認知症になっても不思議はありません。専門医の間では、軽度も含めれば認知症患者は1000万人といわれる時代、80代の4人に1人は、認知症という計算になりますから」と、奥村歩先生。

「認知症にもいろいろありますが、親の場合、アミロイドβの蓄積によって神経細胞が変性し、脳の広範囲が萎縮することが原因とされるアルツハイマー型認知症がほとんどでしょう。しかし、長く生きれば、それだけアミロイドβがたまってきますし、ほかの原因でも脳が萎縮し、衰えてくる。つまり、高齢になれば、誰もがなる可能性のある状態ですから」

病気ではなく、状態?

「皆さん誤解されているようですが、認知症は、病気ではなく、脳の機能低下が原因で、社会生活に支障が出る“状態”のことをさします。なので、たとえ記憶があいまいでも、同じ話を繰り返そうとも、生活に支障が出ていなければ、認知症とは診断されないんですよ」

こうした誤解や偏見こそが、「認知症の介護を泥沼化させている要因のひとつ」とも、奥村先生は指摘。

「認知症とはどんなもので、なぜこうした症状が起こるのかなど、正しい知識をもって、適切に対応すれば、怖れるに足りません。暴言や暴力なども、誤った対応が原因で引き起こされるのですから。それに、薬で症状を軽減することもできますし、進行を遅らせることも可能。手術で治すことができる認知症もあります」

認知症の発症は、本人や家族を含め、誰の責任でもない。

親が認知症になってしまったら

不便ではあるが、不幸ではない。

その人らしさの維持と他者との絆こそが特効

私たち子世代が、まずすべきは、見て見ぬふりをしないこと。

「早期発見のカギを握っているのは家族。以前の親を知っている人でなければ、異変には気づけませんから。それに、家族の『何かおかしい』は、たいてい当たっています。親が認知症であるという事実を認めたくない気持ちもおありでしょうが、『まだ大丈夫』などと見過ごさず、まずは、親のかかりつけ医に相談を。そこで、認知症の疑いがあると診断されたら、認知症専門医を紹介してもらいましょう」

もうひとつ、家族が心がけたいのは、「認知症だから、何もできない・させられない」と行動を制限せず、本人ができることはどんどんやらせ、なるべく人とかかわるように促すこと。そうやって、“その人らしさ”を維持し、他者との絆をもつことが、認知症の進行を食い止める大きな助けになるのだとか。

「認知症によって、今までできていたことができなくなるのは不便かもしれません。でも、認知症=不幸ではないのです。『親が認知症になった』と嘆くのではなく、親が晩年を安らかに過ごせるよう、ご家族で探っていただきたいと思います」

次の記事では認知症の種類や症状を奥村先生に詳しく教えてもらいます。

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