この離婚、得or損!?子供との関係、お金の問題、介護など「50代離婚」を考える

子供の自立や定年、親の介護などを機に、離婚を選ぶアラフィー世代は少なくない。とはいえ、勢いだけで決行するのは危険。離婚が、自分らしい人生への切符になるか。それとも、みじめな老後の入口になってしまうか。専門家とともに考えたい。
【教えてくれたのは…】

離婚カウンセラー 岡野あつこさん
離婚カウンセラー養成スクール校長。『貴女が離婚を決める前にしなければならない8つのこと』(ゴマブックス)など著書多数。

ファイナンシャルプランナー 豊田眞弓さん
FPラウンジ代表。著書に『離婚を考えたときにまず読む本』(日本経済新聞出版社)などがあり、離婚前の生活設計相談も多い。

 

①「アラフィー離婚」得な人、損な人

“思いやりのなさに疲れる日々”
~Aさん(48歳・派遣社員)の場合~

50代の離婚
大きな問題はないものの、お互いに思いやりがなくなってきたと実感。夫婦の会話が少なくなり、ふたりで出かけることもほとんどなし。最近は、夫のちょっとした仕草が鼻につくようになってきました。家事も子育てもかかわってくれなかったからか子供たちも私の味方で、「そろそろ自分のために生きてもいいのでは?」といってくれています。
【profile】
夫 : 52歳会社員 
結婚歴 : 25年
子供 : 長女22 歳(社会人)、長男15歳(高校1年生)
現在の年収 : 自分300万円、夫1000万円
現在の資産 : 自分の貯金はほぼなし、夫の貯金不明。持ち家4000万円(ローン残高2000万円)
現在の生活費 : 月約40万円
離婚後の生活費予想額 : 月25万円

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【損】離婚で荒波にもまれるより関係改善を(岡野さん)

【損】貯蓄がないので離婚すると経済的に苦しくなりそう(豊田さん)

【許しがたい原因がないなら踏みとどまるのがベター】
「絶対離婚!」というほどの問題はないけれど、この先ずっと一緒に暮らすと思うと憂うつ。事前アンケートで目立ったのは、Aさんのようなケース。「私も離婚経験者ですが、離婚は想像以上に大きなダメージを被ります。なので、DVや浮気といった“許しがたい原因”がないのなら、とどまるのが賢明」とアドバイスするのは、離婚カウンセラーの岡野あつこさん。
「離婚で荒波にもまれるより、今抱えている小さな不満を解消するほうがずっと楽。『お互いに思いやりがなくなっている』と自覚しているのだから、自分から歩み寄っては? 不平不満をぶつけるのではなく、この先も仲よく過ごすための提案をしてみるのです」
 重要なのは伝え方。まず、感謝を示して夫の心をやわらげたうえで、気になる点を伝え、「私も~するから、あなたにも~してほしい」と“お願い”を。「口でうまく伝えられないなら、手紙にしてもいいし、子供など第三者に間に入ってもらうのも手」(岡野さん)
 ファイナンシャルプランナーの豊田眞弓さんも、「収入がそれほど多くないうえに、自分の貯蓄がほとんどないため、離婚するのは経済的に不安」と。「離婚してもしなくても、老後は年金だけでは暮らせません。なので、自分の収入から定期的に貯蓄を。また、ご主人の貯蓄額も把握していないようですが、きちんと押さえておきましょう。でないと、いざ離婚となった際、財産隠しされるかもしれません」(豊田さん)

 

②「義母との関係」を解消するための離婚

義理の親とのトラブルは、離婚の主な原因のひとつ。経済面も含めたアラフィー離婚の選択について、専門家2人にアドバイスを伺いました。

“義母との関係が悪化。彼女に振りまわされる人生は送りたくない”

~Bさん(51歳・セラピスト)の場合~

50代離婚
自己愛が強く、常に他人を攻撃する義母。3年前、夫の転勤を機に同居を解消したものの、現在も近距離に在住で、家族間トラブルに巻き込まれがち。夫は長男としての責任を感じているので、介護問題なども避けて通れなさそう。夫が家事は私任せというのも負担になってきています。子供が独立する時期にあたり、お互いもっと自分らしく生きるために、離婚という選択肢もありなのかも?
【profile】
夫:53歳会社員
結婚歴 : 25年 
子供 : 長男22歳(大学4年生)、長女20 歳(大学3 年生)
現在の年収 : 自分650万円、夫1100万円
現在の資産 : 自分の貯金は150万円、夫の貯金500万円。
家約5000万円(ローン残高2000万円)
現在の生活費 : 月約48万円 
離婚後の生活費予想額 : 月20万円

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【得】離婚ではなく、卒婚を。物理的に距離を置くことでいい関係に(岡野さん)

【損】現在の生活水準をキープしたいなら離婚は避けて(豊田さん)

【離婚ではなく「卒婚」で新たな関係を構築して】
義理の親とのトラブルは、離婚の主な原因のひとつ。アラフィー世代&その親世代は、まだ“長男の嫁”という意識が強いうえに、Bさんのように夫が親側につき、妻が孤立してしまう場合も少なくない。岡野さんは、「昔ながらの嫁姑関係を求められる地域だと、親族からも依存されがち。もしかしたら、夫が亡くなったあとも、何かとあてにされるかもしれません」と、指摘する。「これを断ち切るために離婚を選択するのもありですが、私のおすすめは“卒婚”。籍は抜かず、夫との交流も保ちながら、別々に暮らすというスタイルですね。彼の実家には、別居しているとだけ伝えれば、一線を引くことができるだろうと思います」(岡野さん)
 豊田さんが案じているのは経済面。「世帯年収が多いぶん、現在の生活水準も高そう。ご自身もそれなりに収入があるとはいえ、今と同じ暮らしができるかどうか……。そう考えると、離婚は損。しばらく様子を見ては? お義母さまも含め、今後家族の状況が変わっていくでしょうから、大きな変化があったときに再考を」(豊田さん)
 Bさんを悩ませるもうひとつの問題が、「夫は、家事は妻がやるものと思っていて、自分は何もしないこと」。「これも別居で解決できます。夫もひとりになれば、自分でやらざるを得なくなりますし、Bさんのストレスもなくなるはず。こんなふうに物理的な距離を置くことで、お互い相手に対する思いやりが生まれ、新しい関係を築けるケースもあるんですよ」(岡野さん)
「『私に何かあったときに困らないために、今から準備してほしい』など、夫がその気になるよう、家事分担を仕向けては。これが解決できれば、お義母さまとのトラブルも多少は目をつぶれるかもしれません。問題のない夫婦なんていませんから、プラスとマイナスをうまく相殺し、不満というコップの水をあふれさせないのが大切」(豊田さん)

 

③子供の自立をメドに「離婚」について考える

離婚の決断に立ちはだかる子どもの存在。子供の納得を得られても、教育費の心配も。

“20年近く家庭放棄の夫。子供が巣立ったら、新しい人生を送りたい”
~Cさん(45歳・パート)の場合~

50代の離婚
家のことはすべて私に押しつけ、休日は趣味優先、家族をまったく顧みない夫。やることなすこと子供っぽく、自己中心的な彼に対して、すでに愛情はありません。下の子が高校を卒業したら実家に戻り、親が所有するビル内で雑貨店をやりたいと思っています。できれば、新しいパートナーとも出会いたいし……。子供たちには数年前から「離婚したい」と伝えていますが、今のところ反対のよう。でも、高校を卒業するころには納得してくれるのではないかと期待しています。
【profile】
夫 : 45歳会社員
結婚歴 : 20年
子供 : 長女18歳(高校3年生)、長男16歳(高校1年生)
現在の年収 : 自分220万円、夫350万円
現在の資産 : 自分の貯金はほぼゼロ、夫の貯金は350万円。
家は義父の持ち家で、家賃なしで借りている
現在の生活費 : 月約30万円
離婚後の生活費予想額 : 月15万円

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【得】具体的に計画を立て、準備を整えてからの離婚ならOK(岡野さん)

【得】経済面では損だけど精神的メリットが大きいので○(豊田さん)

【子供の高校卒業をメドに今から離婚のための準備を】
 下の子が高校を卒業したら離婚するつもりで、すでに離婚後の生活を想定しているというCさん。そこで気がかりなのは、子供たちのこと。「ふたりとも大きいので、親権は、本人たちの意思が尊重されます。ただ、いずれにしても教育費が問題。大学進学予定だそうですが、自宅通学でも学費は国公立で約450万円、私立なら600~800万円かかります。財産分与で貯蓄の半分がもらえるとしても175万円、今の住まいは義父の所有のようなので、財産分与の対象外ですし……。夫の収入を考えると、養育費の額もそれほど多くなさそう。教育費をどうするのか、そこはしっかり話しあわないと。
 また、離婚後は実家に戻り、お店を開くつもりとのこと。お店が成功するかどうかはまだわかりませんが、離婚することで、自分らしく働けるのだとしたら、その点はプラス。そもそも夫による精神的ストレスが相当たまっているようなので、それが解消されるのも大きいです。前向きな気持ちで再スタートが切れるなら、離婚もありだと思います」(豊田さん)
「離婚の決意は固いようですね。ならば、下のお子さんが高校を卒業するまでの2年間で、しっかり準備しておきましょう。実家に戻ることを両親は受け入れてくれるのか、店舗は貸してくれるのか、親権をとるなら子供たちも実家に住まわせてもらえるのか。お店を開くにはいくら必要で、その資金はどう用意し、失敗した場合どうするか。そうしたことを、ひとつひとつ確認し、具体的に計画を立ててください。それをせずに、ただ2年間じっと待っているだけでは、離婚後の生活があまりにも心もとないですよ。
 ただし、パートナー探しだけは慎重に。離婚成立前に新たな相手との交際が発覚しようものなら、夫から、あなたと彼の双方に慰謝料が請求されかねません」(岡野さん)

 

④『50歳離婚』で損をしないために、今からできる7つのこと

まだまだ再スタートがきく年齢とはいえ、今後を考えると不安要素も多い50代の離婚。ここでは、幸せな再スタートをきるために準備しておきたい7つをご紹介。

離婚がもたらす損得を冷静に判断するのが大切

夫婦の3組に1組は離婚しているといわれる時代。なかでも50歳以上の割合は、’00年を境に急上昇し、離婚件数の約17%にも!(厚生労働省「平成25年度人口動態統計」より)。これまで3万組以上の夫婦と対峙してきた岡野さんも、「女性の場合、子育てが一段落とか、夫の定年というタイミングで切り出す場合が目立ちます」と。

「もっとも、離婚すれば幸せが待っているわけではありません。それどころか、生活が困窮したり、今までの人間関係がくずれたりと、“損”なことが起こる可能性のほうが高いくらい。特に大きいのはメンタル面。夫と別れてせいせいしたと思えるのはほんの一時。支えてくれる人が近くにない場合、不安や寂しさから立ち直るのに、けっこう時間がかかるものです。離婚がもたらす“損”と“得”を、客観的に考え、冷静に判断してください」(岡野さん)

バロメーターになるのは、「子供が自立している/味方になってくれる」「親・兄弟が賛成してくれる」「ひとりになってもメンタル面は大丈夫/周囲の中傷にめげない」「具体的な将来像を描ける」「経済的に自立している/十分な財産分与がある」など。
離婚後、シングルマザーとして子供を育ててきた豊田さんは、「離婚は経済的に損する場合が大半」と断言。
「多額の財産分与があるとか、実家が援助してくれるなら別ですが、それはレアケース。特に専業主婦の場合は切実。働くことになると思いますが、すぐに就職できるかわからないうえに、十分な収入が得られるとはかぎりません。すでにフルタイムで働いている場合でも、生活水準を下げる必要が出てくるでしょうね。子供の年齢によっては教育費も用意しないといけませんし、養育費だって、支払いが滞らないという保証はありませんから。
それでも、精神面などでの得が、経済的な損を確実に上回るなら、離婚はありだと思います。ただし、迷いがあるのなら、離婚以外の選択肢があるということかもしれません」(豊田さん)
50代の離婚

1.離婚で何を得たいのか?その後のビジョンも明確にする

ふたりの専門家が口にするのは、「一時の感情に流されず、まずは、『離婚しない』『もう一度やり直す』ことを考えて」という言葉。
「離婚とは、目の前の苦しみから逃れる手段ではなく、自分の努力で幸せをつかむ行動。私はそう考えています。離婚したい理由を客観的にあげ、それは解決できないのか検証し、『離婚して絶対に幸せになる』と覚悟できるならOK。ただ、離婚自体が目的になると、あとあと悔やむことになりかねません。その後の人生をどう歩んでいきたいのか、明確にすることが不可欠です」(岡野さん)。「離婚後の生活を、具体的にシミュレーションしてみましょう。今よりも幸せになれそうですか? そうでないなら、再考を」(豊田さん)。

【POINT】
メリットとデメリットを書き出してみる
離婚するか否かを客観的に判断するのに有効なのは、離婚によってもたらされるメリットとデメリットを書き出すこと。「離婚後のキャッシュフロー表(お金の出入りをシミュレーションしたもの)を作るのも一案。『生活が苦しそうだからやめよう』『なんとかできそう』など、判断の材料のひとつになります」(豊田さん)。

【POINT】
決断から“Xデー”まで半年の猶予を
「決意がどんなに固くても、いきなり夫に離婚を切り出すのは禁物。夫にとって予期せぬ事態だとしたら、すんなり受け入れるはずはありませんし、逆上される危険性もあります。離婚を真剣に考えていることを告げてから、半年は様子を見てほしいですね。その間に夫が努力して変わり、関係が修復するかもしれません」(岡野さん)
50代の離婚

2.手もとにある「資産」を正確に把握する

ケーススタディで登場した3人の中にも、夫の資産がどれくらいあるか知らないという人がいたけれど、「それはとても危険!」と、豊田さんは指摘する。「預貯金や株、投資信託、債券、貯蓄型の保険、金、美術品、ゴルフ会員権など、婚姻中に築いた財産は、すべて把握しておきましょう。離婚して、いざ財産分与となった際、夫が正直に全財産を申告してくれるとはかぎりませんから。また、関係が悪化してしまうと、通帳などを隠されたり、預貯金を引き出されるおそれもあります。なので離婚の話が出る前に調べておくべき」(豊田さん)。「金融機関と口座番号だけでもわかれば、離婚で裁判になった際、裁判所を通じて財産開示の手続きが可能だそう」(岡野さん)。

【POINT】
共有財産をリスト化しよう
「資産はあるかどうか、いくらくらいかを漠然と知っておくだけでは不十分。預貯金なら金融機関名・支店・口座番号・残高、有価証券なら証券会社・支店・銘柄・保有数・金額(時価)、不動産なら所在地など、正確に記録しておくことをおすすめします。また、住宅ローンや自動車ローンといった負債もきちんと記録を」(豊田さん)
50代の離婚

3.ひとりで生活するための働き口を見つける

すでにフルタイムで働いているならいいけれど、パートや派遣社員、専業主婦の場合、離婚後の生活を安定させるための仕事を得るのが不可欠。「離婚してから就職活動というのは、なかなかむずかしいもの。日本では、離婚はまだネガティブにとらえられているので、採用状況は厳しくなりがちですから。理想は、離婚の話を夫に告げる前に、働き口を見つけること。長年専業主婦だった人がいきなり正社員というのはハードルが高いので、まずはパートなど、できる範囲の仕事でよいと思います。そこで実力をつけ、将来的には正社員で安定した収入が得られるよう努力しましょう。就職の際に有利になる資格を取得しておくのもおすすめです」(岡野さん)。

【POINT】
「ヘソクリ」をつくるのは悪いことじゃない!
「私は、離婚するかどうかにかかわらず、結婚したら必ずヘソクリをもつべきだと思っています。いざというときに、自分の自由に使えるお金があるかどうかで、人生の選択肢は増えますから。結婚前の預貯金や親からもらったお金などは、夫婦の共有財産になりませんから、そうしたお金をヘソクリにあてるといいですよ」(豊田さん)

4.財産分与についての知識をつけておく

離婚による金銭的な損を避けるためには、財産分与に関する知識もポイントに。「結婚期間中に築いた財産は、離婚する際に公平に清算します。妻が専業主婦であっても、内助の功で夫を支えてきたとみなされるので、財産は半分ずつ分けられるのが原則です。財産分与の対象になるのは、預貯金、貯蓄型保険、有価証券・投資信託、会員権、マイホームを含む不動産、マイカー、家具・家電、貴金属、美術品など。ローンなどの負債も夫婦で分担することになりますが、一方が自分のものを買うために勝手に借りたローンは対象外。嫁入り道具として持参したものや独身時代に築いた財産、洋服など日常的に使うものは分ける必要がありません」(豊田さん)。

【POINT】
夫の退職金は、退職前でも分与される
「退職金は給与の後払いという性質があるので、財産分与の対象になります。すでに退職金が出ている場合だけでなく、夫が退職前であっても分与されるケースがあります」(岡野さん)。それは、会社の規定で定められているなど退職金が出る可能性が高い場合。ただし、対象となるのは、婚姻期間に応じた分のみというのが基本。
【POINT】
夫婦間の年金分割に期待しすぎない
「妻も夫も国民年金(基礎年金)には加入しています。なので、妻が夫の扶養(3号被保険者)であっても、離婚時分割の対象になるのは、婚姻期間中の厚生年金部分の2分の1。夫の収入や婚姻期間の長さにもよりますが、それほど多いわけではありません」(豊田さん)。基本は合意に基づく分割だが、’08年4月以降分は、3号被保険者は手続きのみで分割OK。
50代の離婚

5.ひとりで戦わない!似た境遇の人に話を聞く

「離婚を決める前に、ぜひ離婚経験者に話を聞いたり、立場や状況が似ている人に相談してほしいですね。離婚の現状がわかりますし、悩みを解決する糸口が見つかるかもしれません。自治体が運営する『女性センター』や『男女共同参画センター』で、離婚に関するカウンセリングを受けるのもよいですし、離婚カウンセラーや離婚に詳しい弁護士やFPに相談するのも一案です」(豊田さん)。「信頼できる友人の言葉はぜひ参考に。あなたを理解している人なら、それは客観的で的確なアドバイスだと思います。そうした友人がいないなら、NPO日本家族問題相談連盟の勉強会や座談会などで、同じ境遇の友人をつくってみては?」(岡野さん)。

50代の離婚

6.子供の養育費、学費についてきちんとした話しあいを

夫と妻のどちらが親権者になるにしても、子供にとって親であることは変わらない。そのため、子供が成人するまで双方ともに扶養の義務は続き、養育費が発生する。家庭裁判所に申し立てをし、調停委員を介する「調停離婚」や、裁判所を通す「裁判離婚」の場合は、扶養義務者の収入や子供の年齢によって定められた養育費算定表をベースに養育費が決められる。「双方が離婚に合意している協議離婚の場合は、話しあいで金額や支払い方法を決めます。『早く離婚したいからお金はいらない!』という人は少なくありませんが、子供の将来にかかわることなので、きちんと話しあい、納得のいく額を確保してほしいですね」(豊田さん)。

【POINT】
未払い多発!!とりっぱぐれないために
「調停離婚」なら調停調書、「裁判離婚」なら判決書といった、法的効果のある"証拠" が残るが、夫婦の話しあいが基本の「協議離婚」の場合は要注意。「養育費の金額はもちろん、支払い方法など細かく決め、必ず公正証書や離婚合意書を作成しましょう。口約束では、履行されなくなったときに法的手段がとれません」(豊田さん)。

7.いきなり離婚ではなく、まず別居という手段もある

50代の離婚
「夫と距離を置きたいなら、離婚ではなく、別居という手もあります。私がおすすめするのは、いつでも行き来できるくらいの近距離に、一時的に避難する"お試し別居"。離婚する・しないにかかわらず、お互い夫婦関係を見直し、今後について冷静に考えるいい機会になると思いますよ。離れることで、相手のよさに気づくケースもあるかもしれませんし、夫が心を入れ替えてくれるかもしれませんしね。遠く離れてしまったり、荷物をすべて運び出すような本格的な別居は、そのまま離婚につながる危険性が高いので慎重に。しつこいようですが、離婚は大変。避けられるなら、それに越したことはありません」(岡野さん)
【POINT】
別居中の生活費も請求できます
「別居しても、法律上は夫婦。収入のあるほうが、ないほうに、結婚生活を維持する費用(婚姻費用)を分担する義務があるのです。金額は、お互いの話しあいで決め、決まった内容は文書にして残すこと。話しあいがまとまらない、決めた額が支払われないといった場合は、家庭裁判所に調停を申し立てることもできます」(豊田さん)

 

⑤養育費は?慰謝料は?離婚にまつわる「数字」の話

「離婚までに用意しておきたい生活費は?」「裁判になったら弁護士費用は?」など、大事なことだけどなかなか聞けない「数字」の話。離婚にまつわる数字をお金のプロが解説!

裁判になったら弁護士費用は?

60~120万円が目安

50代の離婚

話しあいで離婚の合意が得られず、家庭裁判所の調停でも不成立となると、裁判へと発展。そこで気になるのが裁判費用。「裁判費用は手数料と書類郵送代だけなので1万円台で収まりますが、問題は弁護士に依頼する際の費用。弁護士によって異なりますが、依頼時に着手金、依頼目的を果たした際に報酬が、それぞれ30万~60万円というのが多いよう。交通費など実費も必要です。なかには、財産分与や養育費の総額○%という契約の仕方もあります」。

月々の生活費は?
ふたり分がひとり分になっても半分にはならず7掛け程度に

「夫婦ふたりからひとりになったとしても、生活費はそれまでの半分になるわけではありません。ローン返済の終わった持ち家にそのまま住むか、新たに家を借りるかなど、住居形態によっても変わりますが、現在の7掛け程度はかかると思っておいたほうが安全です」

離婚までに用意しておきたい生活費は?

6カ月分

いざ離婚となると、住居費用をはじめ何かとお金がかかるもの。これから仕事を探す場合、すぐに見つかるとはかぎらないし、養育費の支払いが遅れる場合だってある。「離婚や別居を意識しはじめたら、自分の自由になるお金をためておくこと。目安は生活費の半年分」。
50代の離婚

養育費をきちんと支払っている人の割合は?

20%台

子供の成人まで養育費を払い続けてもらえる割合は……、なんと2割程度とか!「 元夫が再婚したり、収入が減ってしまうなど、状況が変わったのを機に、滞ることが多いようです」。そうなったら、まずは元夫に連絡して交渉を。それで解決できなければ法的手段に進む。調停調書や審判調書、判決書などがあれば、家庭裁判所が、「履行勧告」→「履行命令」→「強制執行」の順に対応してくれる。

慰謝料の一般的な額は?

財産分与も含めて200~300万円

慰謝料=浮気や暴力など、離婚の原因をつくった側に対する損害賠償請求。数億円という額も耳にするけれど、「それは芸能人など特殊なケース。一般的な会社員だと、財産分与も含めて200万~300万円程度。理由によっては慰謝料が払われないこともあります」。

65歳以上のシングル女性の貧困率は?

約45%

厚生労働省「平成25年度国民生活基礎調査」によると、単身高齢女性の貧困率(この年は年収122万円以下)は約45%。「夫と死別なら死亡保険や遺産相続、遺族年金などで潤う場合もありますが、離婚だとなかなかそうはいきません」。やっぱり離婚は、経済的には損のよう。
50代の離婚

知っていますか? 「死後離婚」という選択

【夫の親族との関係を解消するのに有効】
夫が亡くなれば婚姻関係は終了するものの、夫の親族との関係は法律上切れない。以前から折り合いが悪かったとしたら、義両親の世話や介護をするのは負担だし、同じお墓に入るのも気が重くなりそう。そんな悩みを解決する策のひとつが、「姻族関係の終了」、いわゆる「死後離婚」。義両親の同意は特に必要がなく、戸籍法の規定に従って役所に届けるだけでOK。亡き夫からの遺産相続や遺族年金を受け取る権利は継続する。ただ、一度手続きしてしまうと取り消せないので注意を。

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