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アラフィー世代の今が考えどき!「夫の定年後」の暮らし方をプロがアドバイス

夫の定年まであと5~15年。まだしばらく先ではあるものの、夫の定年に対する思いは、「いろんな意味で不安」という声もある一方で「忙しくてできなかったことに、ふたりで挑戦したい」「一緒に世界一周をしたい」など、夢と希望に胸を膨らませる人もいて……。不安を解消するにも、夢を実現させるにも、カギとなるのは「エクラ世代の今」。定年後、夫婦そろって充実した日々を過ごすためにも、今から「夫婦関係」「住まい」「お金」について、夫婦で考え、しっかりと準備を!
教えてくれたのは…

ファイナンシャルプランナー 井戸美枝さん

複雑なお金の話をわかりやすく解説。年金制度に詳しく、定年後のライフプランや資産運用アドバイスにも定評がある。『知ってトクする! 年金の疑問71』『届け出だけでもらえるお金』など、著書は累計64万部以上。

住生活コンサルタント 大久保恭子さん

住宅情報誌編集長などを経て、’05年に「風」設立。「マンション評価ナビ」(www.mansion-hyoka.com)の運営をはじめ、一般財団法人住まいづくりナビセンター理事、国土交通省 社会資本整備審議会委員などを歴任。

ノンフィクション作家 髙橋秀実さん

’61年、横浜市生まれ。『定年入門 イキイキしなくちゃダメですか』ではリアル定年を取材。著書に『「弱くても勝てます」 開成高校野球部のセオリー』『損したくないニッポン人』『人生はマナーでできている』など。

心療内科医 姫野友美さん

東京医科歯科大学医学部卒業、’05年、ひめのともみクリニックを開設。栄養療法に精通し、脳・心・体からストレスや病気にアプローチする。『主治医が見つかる診療所』(テレビ東京系)など、メディアでも活躍。

 

【1】専門家が徹底ジャッジ! 定年後の「夢」と「不安」

アラフィー100人にアンケートを実施。“夫の定年”に「いろんな意味で不安」という声が多い反面、「忙しくてできなかったことに、一緒に挑戦したい」といった夢と希望に胸を膨らませる人もいるなど実に様々。50代女性に行ったアンケートに寄せられた、「夢」と「不安」の声を専門家のアドバイスと共にご紹介。

 アンケートに寄せられた「夢」と「不安」をエキスパートがジャッジ!

【不安①】
夫には、これといった趣味がなく、交友関係も会社がらみが中心。定年したら家に引きこもり、人付き合いもなくなるのではと心配。社会とのかかわりをもってほしいのだけど。(55歳・専業主婦)

【ジャッジ!】なんらかの役割を与えれば張り切って社会に参加します

「男性は、誰かに必要とされたい性。なので、ボランティアでもサークルでも、何か役割を与えれば、張り切って参加しますよ」(姫野さん)


「老後は、ご近所との助け合いが必須。関係性を築くには時間がかかるので、定年後すぐに地域とかかわるのが得策。それを夫に認識させたうえで、一緒に地元付き合いを深めては? 行きつけの店をつくったり、町内会活動をしたりすれば、夫ひ

とりでも外出するようになるのでは」(大久保さん)

「私のまわりには、定年を機に犬を飼うご夫婦が少なくありません。犬を散歩させるために最低でも一日一度は外に出ますし、同じく犬を散歩させている人たちとの交流も生まれるみたいです。歩くことは健康につながるので、一石二鳥。犬をと

おして夫婦の会話が増えるかもしれせん」(井戸さん)

【夢①】
お互いに仕事が忙しくて長期の休暇がとれなかったので、定年後は、ふたりでゆっくり世界中を旅するのが夢。キャンピングカーで、全国をまわるのもいいな。(47歳・デザイナー)


【ジャッジ!】退職金は大切な老後資金。慎重&計画的に使うように

「旅行資金に退職金をあてにしているならちょっと待って。退職金は貴重な老後資金。旅行にしても、大きな買い物にしても、将来を見据えて計画してください。ローンを組むのも厳禁。定年後は、借金しないのが基本です。キャンピングカーは購入ではなく、リースやレンタルが賢い選択」(井戸さん)


「経験者いわく、旅行するなら客船がおすすめだとか。荷物の持ち運びも、面倒な乗り換えもないため、ストレスフリーで、夫婦でもめることが少ないそうです。ただし、女性は船内での社交も難なくこなすでしょうが、男はそうはいきません。妻だけが頼りとばかりに、片時も離れない可能性があることは覚悟してください(笑)」(髙橋さん)

【不安②】

年とともに、覇気がなくなってきた夫。定年後は一日中家でゴロゴロしていそう。これまでの自由な時間がなくなる

のではと憂うつです。(55歳・医療関係)

【ジャッジ!】「一緒に長生き」という言葉が、妻に自由をもたらします

「『一緒に長生きしよう』をコンセプトに、コトを運ぶのがよろしいかと思います。『社会とつながっていたり、生きがいがあると、長生きできるそうよ』などといっていただけると、夫は『オレに長生きしてほしいのか』とうれしくなって、せっせと再就職先を探しますし、趣味やボランティアに励みます。結果、家から出ていけば、自由が手に入るのでは」(髙橋さん)

「中高年男性に覇気がなくなるのは、食べた物をエネルギーに変える回路が変わるため。若いころは瞬発力重視の解糖系だったのが、年をとると、女性と同じく持久力のミトコンドリア系に。瞬発力を司る男性ホルモンのテストステロンが低下し、攻めの姿勢が失われていくのです。彼だけの現象ではないと、理解してあげて」(姫野さん)

【夢②】

人生100年時代、定年後の時間はたっぷりありそう。生きがいと収入を手に入れるため、ふたりで何か事業を

始めたいと思っています。(51歳・会社員)

【ジャッジ!】夫のキャリアやスキルに頼るのが正解

「ふたりで起業、素敵ですね。ご主人は、それまで長年社会で働いてきたのだから、ある程度のノウハウをもっているはず。男性は、助けることに喜びを感じますから、大いに頼って。新たな目標が見つかれば、ご主人も老け込むことなく、若々しくいられるかもしれません」(姫野さん)


「私の知り合いにも、定年後、自宅の一角を利用して、飲食店を始めた夫婦がいらっしゃいます。営業はランチだけと、無理のない範囲で働いていることもあり、収支は赤字が出ない程度だとか。もっとも、収入を得ること以上に、生きがいとしての意味合いが大きいよう。日々やるべきことがあり、いろんな人とかかわれる。それは、定年後の生活の張りになると思います」(大久保さん)

【不安③】

私も同時期に定年を迎える予定。夫にはまだ話していないけれど、実は私、語学留学したいと思っています。その間夫はどうするのか不明ですが……。(46歳・会社員)

【ジャッジ!】夫の意向をたずねたあと、プレゼンのつもりで説明して

「いきなり『語学留学したい!』と切り出されると、我々男はショックを受けます。妻にとって自分がじゃまな存在なのかと、思ってしまうからです。おすすめなのは、『定年したら、あなたはどうしたい?』と、まずは相手の意向をたずねること。たいていの男は先のことなんて考えていませんから、十中八九、『君はどうしたいの?』と、聞いてくるでしょう。そうしたら、やりたいことを発表されればよいのです。ご主人は、自分に敬意を払ってくれたことだけで満足しているので、すんなり受け入れると思いますよ」(髙橋さん)


「男性は、理路整然と説明されると、納得します。どんな目的で、どの国の、どの学校へ、どのくらい滞在するか、費用はどうするかなど、プレゼンのつもりで伝えるのが得策」(姫野さん)

【夢③】

人生で一度くらいは海外で生活してみたい!夫が定年するころには、子供も巣立っているはずなので、海外移住を考えています。なじみのあるハワイあたりがベストかな?(49歳・公務員)

【ジャッジ!】年1~2カ月のお試し移住を数年続け、適性を判断して

「旅行なら、毎日観光したり、外食したりと、楽しいことがたくさんあるでしょうけれど、何年も暮らすとなると別。どんなに好きな国でも、“日常”になれば、飽きてしまうかもしれませんよ。それでも移住したい先が決まっているなら、まずは

コンドミニアムなどを1~2カ月程度借り、毎年季節を変えて数年間、お試し移住をするのがおすすめ。政治経済や社会、文化の違いを知ったうえで、自分たちに合うと思えば、本格的に移住を計画すればよいのでは?」(大久保さん)


「現地の言葉ができ、海外生活に慣れているのならよいと思います。でも、言葉ができないと、せっかく移住しても家に閉じこもってしまい、会話する相手は夫だけなんてことにも。それでは、移住した意味がないような気がします」(姫野さん)

【不安④】

家事がいっさいできない夫。今は、平日のお昼は私ひとりなので気ままにしていますが、夫の定年後は、一日3食作ることに!?想像しただけでも、夫源病になりそう……。(50歳・専業主婦)


【ジャッジ!】「やってほしい」と言葉にし、具体的に指示をして、教育を

「家事ができないのは、将来的にも困ります。年をとってからだと新しいことを覚えるのが面倒になるので、今から始めてもらいましょう。大切なのは、具体的な指示。食器洗いなら、『水でさっと汚れを流してから洗剤で洗い、最後に水ですすいで』など、細かく教えて」(姫野さん)


「申しわけないことに、我々男性は、日々の生活がまわっているのは妻の尽力のおかげだということに、思い至らないのです。鈍感なので、態度で示されても気づきません。でも、『疲れているから、お昼は作って」など、はっきり告げていただくと、『えっ、そうなの? じゃあやるから、休んで』と、案外素直に従うと思います」(髙橋さん)

 

【2】定年前にまず取り組む、夫婦の3本柱

定年後、夫婦そろって充実した日々を過ごすためにも、今から「夫婦関係」「住まい」「お金」について、夫婦で考え、しっかりと準備を! 定年が見えてきた際に夫婦で取り組むべき3本柱をお教えします。

夫の定年

定年前に夫婦で取り組む3本柱は「夫婦関係」「住まい」「お金」

1.【夫婦関係】夫婦間のギャップを賢く埋める
夫の定年=在宅時間が増える。それは、よくも悪くも、妻の生活や心情に大きな変化をもたらすはず。トラブルの火種になりそうなことは早めに見つけ、お互いに歩み寄りを。

2.【住まい】今後どんな暮らしをしたいか話し合う
定年すれば、通勤の必要がなくなる。老後を意識する年代ということもあり、住み替えを考える夫婦も少なくない。将来を見据え、どんな住まいや暮らしがベストか話し合いたい。

3.【お金】定年後の収支を試算し、早めに対策
最大の気がかりは、定期収入がなくなること。老後資金は十分か、支出は今までどおりでOKか、年金受給まで間がある場合、生活費をどう工面するか。今のうちに見直して。

 実際に何が変わった!? ケーススタディを紹介 

定年を期に夫との関係が悪化という話をよく耳にするけれど、実際のところどうなの?定年後の3本柱「夫婦関係」「住まい」「お金」について、実際のケーススタディをご紹介します。

【case study1】夫が家事に参加するようになったものの、今ではそれが悩みの種に

家の中のことは私任せだった夫が、定年を機に、「これからは家事を分担しよう」と。これで少しは楽になると、最初は私も期待しました。ところが、いざ任せてみると、色柄ものと白いものを一緒に洗濯し、食器用スポンジでフライパンを洗い、掃除をすれば、掃除機を家具に当てまくって傷をつけ……。しかも、そのことを注意すると不機嫌になり、「気に入らないなら、もう手出ししない!」と。年をとって、頑固になった夫を今から教育するのは、思った以上に面倒。頭も心も柔軟なうちに、ゆっくり&少しずつ促すべきだったと、後悔しています。(60歳・パート/夫65歳)

【case study2】1階は夫、2階は私と住み分けしたら、ストレスがなくなり、会話も増えました

夫との仲は悪くはないものの、一日中顔を合わせるとなると別。テレビをつけたままのうたた寝やしょっちゅうするせき払いなど、ささいなことが気に障り、イライラしがちでした。そこで実行したのが、家庭内住み分け。1階の和室を夫の部屋にし、私は2階に寝室と趣味部屋を確保。1階に下りるのは食事と入浴のときぐらい。夫がリビングでゴロゴロしていようと、ドアを乱暴に開け閉めしようと、目にも耳にも入らないから気になりません。むしろ、食事時か顔を合わせないので、以前より会話が増えたほど。当分はこのスタイルを続けるつもりです。(63歳・専業主婦/夫66歳)

【case study3】退職金で初めて投資にトライ。3年で10%も値下がりし、大後悔

 夫の退職金は、半分を住宅ローン完済にあて、残り半分は思いきって投資することに。きっかけは、給与口座をもっていた銀行からの“お得なご案内”。超低金利の今、預金では心もとないと思っていたので、銀行の担当者にすすめられるまま、国内外の投資信託や債券などに分散投資。初めは順調だったけれど、3年たった今、トータルで10%近くの損に!
痛かったのは、新興国のファンド。ハイリターンを期待したけれど、政情不安で大暴落してしまい……。これ以上減らしたくないけれど、今解約すると大損だし。どうすればいいのか、途方に暮れています。(63歳・専業主婦/68歳)

【case study4】20年ぶりに社会復帰したことで、収入・やりがい・夫の協力を得て、一石三鳥

 定年後再雇用に応じた夫ですが、収入は現役時の3分の1にダウン。少しでもカバーできればと、私も意を決して社会復帰を。仕事はベビーシッター。専業主婦歴20年、特別な技能がないので不安だったけれど、子育て経験が評価され、大手派遣会社に採用されました。しかも、「先輩ママなので安心」「子育ての悩みを相談できる」と、リピーターがつくように。今は月15万円の収入を得ています。子育ての喜びをもう一度味わえることや、私よりも早く帰宅するようになった夫が夕食の支度をしてくれるなど、うれしい副産物もありました。(57歳・ベビーシッター/夫62歳)

 

【3】“定年前”と“定年後”何が変わる!? ①夫婦関係

アラフィー女性100人に実施したアンケートの中でも目立ったのが「夫と一日中顔を合わせるのが不安」といった声。専門家が良好な夫婦関係を続けるためのコツをアドバイス。

夫の定年によって、夫と妻の格差が露呈することも

アンケートでは、定年した夫との時間を楽しみにしている人もいたものの、目立ったのは、「夫と一日中顔を合わせるのが不安」という声。それも、「今も、週末になるとテレビの前でゴロゴロ。昔はアクティブだったのに」(53歳・会社員)という“夫に幻滅派”と、「夫が会社に行っている間の自由な時間が失われそうで憂うつ」(50歳・専業主婦)という、“自由喪失派”に二分される。

「男性は50歳を過ぎたあたりから、攻めの姿勢を司る男性ホルモンのテストステロンが減少します。いわば、夫がゴロゴロするのは加齢による自然現象。誰にでも起こることなのです」と、心療内科医の姫野先生。 

 避けられない自然現象……。やはり定年は、夫婦関係の危機に!?

「テストステロンは、筋トレや、異性へのときめきによって分泌が促進されます。たまには、夫の前でおしゃれをしてみては? “きれいな妻”を見るだけでも、効果は期待できます。また、幸せホルモンのセロトニンや快感ホルモンのドーパミンの前駆物質は、脳だけでなく、腸でもつくられているんですよ。夫婦で腸内細菌が喜ぶような食事をすれば、夫は気力がアップし、妻は夫へのイライラが抑えられるかもしれません」

夫の定年

よりどころをなくした夫は妻だけが頼りに

“自由喪失問題”について、夫の心情を解説してくれたのは、定年男性を多数取材してきた作家の髙橋さん。

「皆さんがそろって口にしたのが、妻への感謝。会社というよりどころをなくした男にとって、頼れるのは妻だけ。ゆえに、ひとりで出かけようとする妻に、『どこに行くんだ』『いつ帰るんだ』『オレも行く!』と、すがってしまうのです。なので、夫が定年した途端、『自由が欲しいの』とは切り出さず、うまくコトを運んでいただければ」

 髙橋さんは、「定年は、夫と妻との格差を露呈させる」とも。

「エクラ世代だと、家のことは妻がメインでというケースが多いかと思います。イレギュラーなことも起こりますから、日常生活を維持するのは大変なこと。たいていの男は、定年後、初めてそれに気づきます。そして悟るのです、『生きるという土俵では、妻はプロで、自分はアマだ』と。そのくらい力量が違うのですから、妻が夫をハンドリングするのは簡単。夫の定年に思うことはいろいろおありでしょうが、上手にリードし、良好な夫婦関係を続けていただけると、我々男としては大変ありがたいのです」(髙橋さん)

 賢者からのアドバイス 

1.夫がゴロゴロするのは誰にでも起こる自然現象なのだと理解を
2.居場所をなくした定年夫は不安。妻だけが頼りという胸の内を察して
3.生きるプロたる妻が、アマである夫を上手にリードすべし

 

【4】“定年前”と“定年後”何が変わる!? ②住まい

定年を機に住み替えを検討している人が、快適な生活を送るための住まいの選び方を専門家がお教えします。

夫に通勤という縛りがなくなり、暮らし方に合わせて選べます

 定年を機に住み替えを考える人は少なくない。実行に移した夫婦を取材した髙橋さんも、「家の中のことは妻主体で行ってきたとしたら、夫に、『お箸はここ』などと教えなくてはなりません。でも、引っ越せば、夫婦でゼロから始めることに。教える・教えられるというストレスがなくなるうえに、新たに生活を築く楽しさもあり、大正解だったとか」と。

 では、定年前とあととでは、住まい選びはどう変わるのだろう。「定年前は通勤と子育て優先の家だったと思いますが、定年後は、“今後どう暮らしたいか”がカギに」と、住生活コンサルタントの大久保さん。

「これまでの暮らしを棚卸しすると、『畑仕事をしたいから田舎に』『文化に触れたいから都心に』など、具体的な場所がイメージできます。もしかしたら、お互いの希望が異なるかもしれません。だからこそ、今から話し合い、5~10年かけて、夫婦ですり合わせをするのが大切です」

 さらに、場所選びは、家事、人付き合い、運動のしやすさも重視して。「これらは、ずっと元気に、楽しく暮らすために欠かせない習慣。リサイクルが盛んな場所なら、物をため込まずに済み、家が片づきますし、地域活動が充実していれば、頼りになる“ご近所さん”ができます。遊歩道が近くにあれば、散歩する気に。そんなふうに、町を住みこなしてほしいですね」(大久保さん)
夫の定年

今の家に住み続ける場合も 見直しが必要

 定年後も今の家に住み続ける場合も、将来に備えて見直しを。

「高齢になると、あまり広すぎず、フラットな家のほうが便利。戸建ての場合は生活空間を1階に集約し、マンションの場合はダイニングキッチンとリビングをワンルーム化してはいかがでしょう。また、水まわりを隣接させ、IHなど安心・安全な設備の導入もおすすめです」(大久保さん)

 どの場合も、“ひとりの時間”がもてるように、夫婦各自に居心地のよいスペースは確保したいところ。「その部屋は、外から見える位置がベスト。何かあったときに、ご近所さんが異変を察知することができますから。マンションなら、共有スペースを積極的に利用し、孤立しないように注意を。定年後は、プライバシー重視の家からオープンな家にシフトするのが安心です」(大久保さん)

 賢者からのアドバイス 

1.場所や居住形態を決める前に、「今後どう暮らしたいか」を明確に
2.定年後の住み替え&リフォームは、老後を意識して
3.プライバシー重視から、オープンな家にシフトを

 

【5】“定年前”と“定年後”何が変わる!? ③お金

夫の定年後は収入が減る分をどうカバーするか、シニアのマネーライフに精通するプロが定年後の支出と収入の例を元にアドバイス!
夫の定年

夫の定年後は収入が減るのでどうカバーするかの対策を

「定年前とあととでは、お金の出入りが大きく変わります。それを認識し、早めに手を打たないと、老後破産に陥ってしまうかもしれません」

 そう指摘するのは、シニアのマネーライフに精通する井戸さん。
「80歳で貯蓄はマイナスに転じてしまいます。そうならないためにも、定年まで猶予があるエクラ世代のうちに、対策をとっておきましょう」

 まずすべきは、定年後に「入るお金」と「出るお金」の把握。左ページの表を参考に、自分たちの場合を試算し、収支を予測してみること。「赤字になりそうなら、『入るお金』を増やすか、『出るお金』を減らすしかありません。とはいえ、生活に必要なお金を、さらに削るのは至難の業。楽しいことに使うお金はコントロールしやすいけれど、節約しすぎるのもさびしいですよね。ということは、『入るお金』を増やすのが一番。人生100年時代ですから、65歳で定年するとしても残り30年以上あるのです。元気に、いきいき過ごすためにも、再雇用に応じたり、再就職するのがおすすめ」

 ここで大きなカギを握るのが妻。特に、妻が現在働いていないなら「入るお金」の大幅アップが可能に。

「人出不足が続いている今、エクラ世代が再就職するチャンスは増えていますし、ネットを利用して起業やおこづかい稼ぎをするのも手。たとえ少額でも、長期間働けばそれなりの額になりますし、年金受給までの補填にもなります。すでに働いている人は、夫と同じく働く期間を延ばすように。また、配偶者控除の適用限度額内で働いている人は、自分で社会保険料を負担するくらいまで働くことを考えましょう。将来受け取れる年金額が増えるという点でも、お得。ちなみに、公的年金の受給開始は原則65歳ですが、上限の70歳まで遅らせれば、月額が約4割アップします。70歳まで働けば、老後のお金にかなり余裕が生まれますよ」

退職金はひとまず貯蓄を。いっきに投資は厳禁!

定年時、退職金を受け取るケースも多数。それはどう活用を?

「老後資金をふやそうと、退職金を元手に投資を始める人もいるようですが、そこは慎重に。投資は、長期間、積み立てで行うのが安全。たとえ投資信託や債券などに分散しても、一度に大金を投じるのはリスクが高すぎるので厳禁です。退職金は一度に使いきらず、ひとまず貯蓄し、慎重に使い道を考えましょう」

 むしろ投資をするなら、エクラ世代から始めるのが得策だそう。井戸さんが推奨するのは、
60歳未満が利用でき、60歳以降に受け取れる積み立て制度、確定拠出年金。会社が掛金を払う「企業型DC」と本人が掛金を払う「個人型DC」があるが、特に注目なのは、iDeCo(イデコ)と呼ばれる後者。専業主婦や自営業者でも利用ができ、掛金は全額所得控除、運用益は非課税で、受け取り時も退職所得控除などが適用されるなど、税制上のメリットも高い。「すでに60歳前後なら、『つみたてNISA』を活用しましょう。毎月一定の額で投資信託やETF(上場投資信託)を積み立てで購入する制度で、最大20年間、利益への課税なく、積み立てできます。iDeCoは原則中途解約できませんが、こちらはいつでも売却可能。いざというときの出費にも対応できます」

 お金への備えは、エクラ世代から始めるのが賢明!

 賢者からのアドバイス 

1.定年後に「入るお金」と「出るお金」を把握する
2.夫婦ともに、少額でもよいので 「入るお金」を増やす
3.年金受給開始を繰り下げ、毎月の受給額をアップ
4.老後資金のための投資は、積み立て&長期で手堅く

 定年後に「入る」お金 

・今、持っているお金

現金や預金だけでなく、有価証券、その他の投資資産、あるいは将来の給付が見込める個人年金保険や確定拠出年金を含める。会社員の場合、社内制度(持ち株会や財形貯蓄)でふやした資産もプラスを。

・公的年金
会社員は厚生年金、自営業は国民年金。65歳以上で受け取れる額は、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認できる。支給額合計は、「毎年の支給額」×「65歳~平均寿命までの年数」で試算を。

・退職金・企業年金
退職金や企業年金が支給されるかどうか、今一度確認を。支給予定金額は、総務部や人事部にたずねると、教えてもらえるはず。

・定年後に働いて得るお金
夫が定年後も働くかどうか、働く場合、どんなかたちで何年くらい働くかによって収入は変わる。妻が収入を得るかどうかもカギに。

 定年後に「出る」お金 


・生活に必要なお金

食費、住居費・光熱費、通信費、社会保険料、税金など

・楽しいことに使うお金
趣味、娯楽、教養、旅行、学習など

・予定していないお金
住宅リフォーム、子供の結婚資金援助、孫の養育費援助、車・家電の買い替え、病気・介護、家族の葬式費用など

〈予定していないお金って、一体どれくらい?〉
・リフォーム、修繕費…300~500万円
・耐久消費財買い替え…100~300万円
・子供の結婚援助…100万円
・医療、介護費…800万円(夫婦合わせると1,600万円)
・家族の葬式費…200~300万円

夫の定年後の暮らしに役立つ本
定年夫の生態から医学で解決する夫婦問題、お金や家問題と、役立つ良書をピックアップ。

夫の定年

『ネットではわからない 空き家問題の片づけ方』(大久保恭子 ¥1,000/主婦の友社)

夫の定年

『100歳までお金に苦労しない 定年夫婦になる!』(井戸美枝 ¥1,300/集英社)

夫の定年

『急に不機嫌になる女 無関心になる男』(姫野友美 ¥890/青春出版社) 

夫の定年

『定年入門 イキイキしなくちゃダメですか』(髙橋秀実 ¥1,500/ポプラ社)

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