アラフィーから始めたい!年齢とともに進行する「声・のどの老化」の予防&改善法

若いころより高い声が出なくなったり、いざ話そうとすると声がしゃがれたり、話し相手に何度も聞き直されたり。ふと私の声、変わってきたのかも……と思ったことはない? さらに、よくむせる、飲み込みにくい…ということも。アラフィー世代は肌や体同様、声やのどの老化も要注意。今からでも間に合う「オバ声」&「のど老化」の予防&改善法をプロが伝授。
教えてくれたのは…
Minnie P.先生

Minnie P.先生

作詞・作曲家、音楽プロデューサーとして、世界を舞台に活躍。多くのメジャーアーティストの作品を手がけるとともに、アーティストの育成、楽曲提供、音楽プロデュースまで行う。先生のレッスンを受けると、大成するというジンクスもあり。

 

【1】「オバ声」をもたらす原因

若いころより高い声が出なくなったり、いざ話そうとすると声がしゃがれたり、話し相手に何度も聞き直されたり。肌や体同様、アラフィー世代は声も年齢とともにエイジングが進行している!そのメカニズムをプロが解説します。

オバ声

今のうちから始めれば、若々しい声は保てます

 アラフィー世代は、声の変わり時!
「更年期や閉経によりホルモンが減ると、声帯がむくんだり、ゆるんだりするため、声のエイジングが一気に進行します。さらに、加齢とともに唾液量や肺活量の低下、筋肉の衰えが追い打ちをかけ、ますます声は低く出にくくなり、雑音も入るように。そのまま若いころと同じ声のトーンで話していると、のどを痛めてしゃがれ声になるケースも多いんです」と話すMinnieP.先生。

「声は年齢を隠せない」ともいわれる。どんなに外見や内面を磨いていても、オバ声だとぐっと印象が変わってしまうからこそ、なんとかしたい。

「訓練されたアナウンサーがハリのある若々しい声を保てるように、皆さんもオバ声の予防&改善ができます。まず日常生活においては、のどにダメージを与えないことが先決。のどを乾燥させないようにしつつ、お酒やタバコ、炭酸水、辛いものなど、刺激となるものをなるべく控えましょう。そして、オバ声への最強ケアとなるのが、ボイストレーニング! 加齢で弱った声帯をはじめ、声に関するあらゆる筋肉を鍛えます。しかも副次的な効果として顔のくすみ、たるみ、むくみ、ほうれい線の改善などいいことずくめです」

オバ声をもたらす原因とは?

オバ声

■表情筋のこわばり

肩や首、頭、顔の筋肉が固まり、凝っていると、口が開きにくくなってしまう。特に、アラフィー世代は、大きく口を開けず、口先だけで話すケースが多いため、筋肉の衰えは進む一方。まず、肩や首、頭、顔の表情を柔らかくほぐすことから。

■唾液量の減少

のどや声帯が乾燥していると傷つきやすくなり、オバ声の要因に。特に、アラフィー世代は唾液量が減少し乾きやすくなるので、こまめな水分補給(ミネラルウォーターがベスト)に加え、冬は加湿やマスクによる防御をすることが決め手。

■肺活量の低下

年齢とともに肺活量が下がるのに伴い、声量も低下する。これは声が響きやすい正しい姿勢で、腹式呼吸を心がけることが有効。また、肺をはじめ、内臓の位置が全体的に下がることも声の通りを悪くする原因のひとつに。

■口と舌の筋肉の衰え
加齢が進むと、滑舌やろれつが悪くなるのは、口や舌の筋肉が衰えてきたことが大きい。改善策は、口を縦に突き出すように話す、舌を根元から動かす運動をすることの2つ。

■声帯のむくみorゆるみ

のど仏の2本のひだ状の声帯を、息で振動させて音を出していく。この声帯が加齢やホルモンの低下、刺激物などでむくんだり、ゆるんだりすると、すき間から息が漏れ、声が低く、出にくくなる要因に。声帯を鍛えてピタリと閉じられるようにすることが、若声のカギ。

 

【2】「オバ声」を予防&改善するエクササイズ

低くなった、かすれるetc.……私の声、なんかヘンと感じたら、それは声エイジングが進行しているのかも。今からでも間に合う方法をボイストレーニングのプロが伝授!

自宅でトライ! オバ声予防&改善エクササイズ

たった5~10分の空き時間に自宅でできる、ボイストレーニング法をMinnie P.先生がレクチャー。声が通りやすい姿勢をとる→上半身の固まった筋肉をゆるめる→口を縦に開くようにして発声と、誰でも簡単にマスターできる。たったこれだけで、全身のめぐりもよくなり、顔の若返り効果まであるのがうれしい。

オバ声

❶声が通りやすい姿勢に正す 立つ際の姿勢で、声の出方が違ってくる。壁に背中から腰までをピタッと押し当てながら、膝はゆるめてリラックスしたまっすぐの姿勢が基本。息の通り道ができ、声が響くように。

オバ声

❷おしりの穴をキュッと締める 年齢や悪姿勢で、内臓の位置が下がると声の響きが低下……。おしりの穴をぐっと締めると、内臓が上がり正しい位置に。 それだけで気道がまっすぐになり、息や声を出しやすくなる。

オバ声

❸首まわりを柔らかくする 筋肉に硬い部分があると、音の共鳴が悪くなり、聞きづらい声に。腰に手を当てながら、首を左右に大きく、ゆっくり20回ずつ回して。凝り固まった首まわりが、ゆるまって柔らかく。

オバ声

❹さらに肩甲骨をゆるめる 首をゆるめたら、カチッと固まった肩甲骨をゆるめて。こぶしをわきの位置あたりでキープしながら、両肩を耳につけるように、ゆっくり、大きく回していく。前後、各20回ずつ。

オバ声

❺口を縦に開いて声を出す 「縦に開く」ことに慣れる練習を! 両頰を親指と人さし指で軽くはさみながら、唇をとがらすようにして声を出す。ふだん話す際も「縦」を意識すると、声に奥行きが出て品のよい印象に。

オバ声

❻縦開きのまま母音を発声 口を大きく縦に開いて突き出したまま、「あ・い・う・え・お」の母音を長めに(各5秒ずつ)発音。口の形はなるべく変えず、おなかから声をゆっくり、大きく出して! 各3回行う。

 

【1】のどの老化はなぜ起こる?

加齢による筋力低下がやがて寝たきりを招くことはよく知られているが、実は「のど」の老化も要注意。“飲み込み力”が衰え続けると、将来、誤嚥性肺炎を招いて命の危険も! 今のうちから「のど老け」を防いで、健康年齢を延ばしておこう。

教えてくれたのは…
西山耕一郎先生(西山耳鼻咽喉科医院理事長)

西山耕一郎先生(西山耳鼻咽喉科医院理事長)

医学博士。東海大学客員教授、藤田保健衛生大学客員准教授。これまでに1万人以上の嚥下治療患者の診療を行い、嚥下障害を専門的に治療できる名医として多くの患者が受診に訪れる。著書『肺炎がいやなら、のどを鍛えなさい』(飛鳥新社)が大ヒット中。

のどの老化で誤嚥性肺炎による死亡リスクがUP

「健康長寿を実現するために、体で最も衰えさせてはいけない器官が、実はのどなんです」と語るのは、耳鼻咽喉科医の西山耕一郎先生。

 近年、肺炎による死亡者数が増え続け、現在、がんや心臓疾患に次いで、日本人の死因の第3位になっている。その大半は、飲み込んだ飲食物と細菌を誤って肺に入れてしまって起きる“誤嚥性肺炎”なのだそう。

「ですから、のどの機能、つまり“飲み込み力”をどれだけ維持できるかが、寿命を決めるカギなんです」

 飲み込み力というと高齢者の問題と思うかもしれないが、実は40〜50代から徐々に低下するという。「“最近、よくムセるようになった”と感じている人もいると思いますが、これはのどの老化のわかりやすいサイン。これを無視しつづけるとどんどん飲み込み力が落ち、誤嚥で命を失うリスクが高まってしまいます」

 そこで知っておきたいのが、飲み込み、つまり“嚥下”のメカニズム。

のどの老化

「のどの、空気と食べ物を仕分ける部分を“喉頭”といい、その前にあるのが“のど仏”です。空気が送られる気管と、食べ物が送られる食道の分岐点には“喉頭蓋”というフタがあり、これは、呼吸をしたり声を出すときは開きます。一方、食べ物を飲み込むときは喉頭蓋が倒れて気管の入口にフタをします。同時に、呼吸のときは開いている声帯が閉じ、気管をふさぎます。こうして食べ物が気管に入るのを防いでいるのです。そして“咽頭”が上から絞られて食べ物が奥へ送られると食道の入口が開き、食道や胃へ送られます」

 この嚥下のときに重要な働きをするのが“喉頭挙上筋群”なのだとか。「喉頭挙上筋群は、のど仏を引っぱり上げたり、下ろしたりする筋肉。食べ物を飲み込むたびにこの筋肉がのど仏を引っぱり上げ、喉頭蓋を閉めます。年をとるとこの筋肉が衰えるので、のど仏を上げる力が下がり、位置も下がってきます。すると喉頭蓋が閉じにくくなり、フタのすき間から飲食物が気管に侵入しやすくなるため誤嚥が生じるのです。ムセるのも飲食物が気管に入りそうになったのを出そうと働くためで、喉頭挙上筋群の衰えが大きな原因です」

 つまりのど老けを防ぐには喉頭挙上筋群を衰えさせないことが肝心。「実はこの筋肉はトレーニングで鍛えることが可能。簡単な動きで喉頭挙上筋群を効果的に鍛えられるのです。のど仏の位置は40代から下がりはじめ、60代以降にガクンと落ちるというデータがあります。60代以降に誤嚥に悩まされないためにも、今からトレーニングを習慣にしましょう」

飲み込み力の低下チェックリスト

のどの老化

□ 食事中、ムセたり、せき込んだりすることが多くなった。

□ 薬やサプリメントなど大きめの錠剤が飲み込みにくくなった。

□ 食後に、声が「ガラガラ声」になることがある。

□ しょっちゅうせき払いをしている。

□ 最近、声が小さくなった気がする。

□ 食後に、痰がからまることが多い。

□ 食べるスピードが遅くなった。

□ おしゃべりが好きでなく、口数が少ない。

□ このごろ、歩くスピードが遅くなったと感じる。


4つ以上心当たりがある人は、要注意!

嚥下・呼吸・発声機能を高めれば、のどが若返る

のどの老化は、ふだんの生活習慣でも防げるそう。

「のどには嚥下、呼吸、発声という機能があり、飲み込み力を鍛えるにはこの3大機能を総合的に高めることが大切。嚥下機能に関しては、先に述べたトレーニングでも高められますし、ふだん飲み込む前に“さあ飲み込もう”と意識すると確実に物を飲み込めるようになり、誤嚥も防げます。呼吸については、呼吸機能が悪く、呼吸回数が多いと誤嚥をしやすくなるので、トレーニングや全身運動などで呼吸機能を向上させましょう。発声については、おしゃべりやカラオケなどでよく声を出すだけで喉頭挙上筋群が刺激され、飲み込み力が高まります」

ふだんから 飲み込み力 をキープするなら?

のどの老化

体をバランスよく動かす全身運動を!

飲み込み力は全身の体力と相関し、体力が落ちると飲み込み力も低下。体力アップのために取り入れたいのが全身を動かす有酸素運動。おすすめなのはウォーキング。ちょっと遠いスーパーまで歩くなど、生活の中でよく歩く習慣を。

のどの老化

おしゃべり&カラオケで盛り上がるのが◎

カラオケやおしゃべりは飲み込み力の維持に効果的。のど仏は高い声を出すと上がり、喉頭挙上筋群がしっかり上下するので、カラオケは高い声を出す曲を選んで。"笑い"ものどが鍛えられるので、笑いながら楽しくおしゃべりを。

のど通りが気になるときは、「うなずき嚥下」。誤嚥率の高い飲み物に注意!

のどの老化

ムセやすい人におすすめなのが、飲み込む瞬間だけ下を向いてゴックンする“うなずき嚥下"。頭を少し前に倒すとのどが狭くなり、気管より食道に食べ物が流れやすくなって誤嚥を防げる。上を向いて食べるのは誤嚥しやすくNG。

のどの老化

飲み込みやすいものの条件は、ほどよく「軟らかい」「まとまりがある」「ベタベタしない」の3つ。勢いよく流れる液体は、実は誤嚥しやすいので、油断禁物。

 

【2】飲み込み力UPのための「のど体操」

今のうちから「のど老け」を防いで、健康年齢を伸ばす、のどの呼吸&発声トレーニングをご紹介。

あごと指の押し合いで、のど筋強化

【あご持ち上げ体操】

のどの老化

1.あご下の骨に両手の親指を当てる。

2.顔を下へ向けて力いっぱいあごを引き、同時に親指に力を入れて、あごを押し返す。この押し合っている状態で5秒キープ。このときのど仏が上がっていればOK。これを5 〜10回。

「イィ〜」の口で小顔効果も!

【のどE 体操】

のどの老化

アルファベッドの「E」を「イィ〜」と長く発音させる感じで口を横に伸ばし、奥歯を食いしばるように力を入れて、のどの筋肉を緊張させて5秒間キープ。のど仏を上げることを意識しながら、これを5 〜10回。

慣れてきたら、あご持ち上げ体操と、のどE体操を同時に行ってみよう。効率よく喉頭挙上筋群が鍛えられる。

意識を集中してゴックンするだけ

【カラ嚥下】

のどの老化

カラ嚥下とは、ゴックンとつばを飲み込むこと。この動きを、つばを飲み込むことにできるだけ意識を集中して、ゆっくりと2〜3回。

つま先を見る動きでのどが鍛えられる

【シャキアトレーニング】

のどの老化

1.布団やマットなどの上に、枕をせずにまっすぐあおむけに寝て、力を抜き、リラックスする。

2.両肩を床につけたまま、頭だけをゆっくりと持ち上げ、つま先を見て30秒〜1分間キープ。次にゆっくりと頭を下ろし、1に戻る。これを5 〜10回、一日2 〜3セット行う。

※頸けい椎つい症などの首の疾患がある人、高血圧症の人は、行わないこと。

呼吸機能も嚥下機能も上がる!

【ペットボトル体操】

のどの老化

1.1L ~ 2Lの柔らかいからのペットボトルを用意(自分の肺活量に合わせて材質や容量は変えてOK)。ペットボトルを口にくわえ、思いっきり息を吸い、クシャッとぺしゃんこになるまでしぼませる。

2.次に、思いっきり息を吐いて、ペットボトルをパンパンになるまで膨らませる。肺の中の空気をすべて出しきるくらいのつもりで吐くのがコツ。これを5回ほど繰り返す。

深い呼吸が身につき、のどが若返る

【口すぼめ呼吸】

のどの老化

1.軽く口をすぼめて、肺の中の空気を全部外に出しきるようなつもりでゆっくりと口から息を吐き、おなかを徐々に引っ込めていく。慣れないうちは、おなかに手を当てて、おなかの動きを確認しながら行うのがおすすめ。
2.次に、鼻から深く息を吸って、おなかを膨らませる。再び1に戻って、吐く時間が吸う時間の2倍くらいになるように、ゆっくりと1〜2分繰り返す。

演劇部の発声練習風に声を上下

のど仏スクワット】

のどの老化

母音が、「ア」「イ」「エ」の場合は思いっきり高い声を、「ウ」「オ」の場合は思いきり低い声を出すようにし、ア(高)、エ(高)、イ(高)、ウ(低)、エ(高)、オ(低)、ア(高)、オ(低)と発声する。次に、カ行、サ行と同様に続けていく。できるだけ大きな声で、高低差をつけて、はっきりと発音すること。

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