プロに教わる、絵を上手に飾るための基本ポイント5選

「絵は家にあるにはあるけど、飾っていない…」という人は、飾り方のポイントが分かっていないかも。アートアドバイザー・奥村くみさんが教える、絵をセンス良く飾るポイントをご紹介。

1.初めてアートを飾るなら、小品でもOKな玄関から

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玄関で、西村盛雄の平面と立体を組み合わせた例。このスペースにいずれか一点ではやや物足りないが、二点組み合わせると決まりやすい。
初めて家に絵を飾るときは、まず玄関から始めてみましょう。リビングなどに比べれば小さな空間ですので、比較的求めやすい小ぶりな作品でも映えます。玄関は家の顔ですから、人をパッと明るくお迎えできたり、季節を感じられるような作品がおすすめです。また、ニッチやコンソール、下駄箱の上などのスペースがあれば、そこに立体作品や花などをあしらって、絵と組み合わせても。視線が集中し、両方がより引き立ちますよ。

2.絵をかけるときは気持ち低めに。空間全体でのバランスもチェック

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ひとつの視界に複数の作品が見える例。それぞれのバランスは、肉眼で確かめながら調整を。移動とともに変化するアートの見え方を体験できるのは住空間ならでは。
絵を飾るときは、作品を見上げないよう、「気持ち低め」を心がけて。平均的な2m強の天井高の場合、真ん中より少し高いくらいが目安です。玄関ホールやリビングダイニングなど、見渡せる場所に何点かの作品をかける場合は、肉眼で見渡したときにちょうどよい位置や高さに感覚的にそろえる方がしっくりきます。一点一点、作品の前に立ち、対峙して見る美術館とは違って、自宅では空間全体の中でバランスよく見えることが大切。階段のように上がったり下がったりする場所は、傾斜に合わせるなど、高さに変化をつけて複数の作品をかけてみましょう。
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3.額を複数かける場合は、どこかに基準線をつくって

異なるサイズの作品を雑然とかけているようでいて、まとまりがあってかっこよく見えることってありますよね。これは、どこかしらでラインがそろっているのがポイント。フレームのいずれかの辺同士、さらに上級技になると、額縁ではなくマットと作品ぎわのライン同士がそろっているケースもあります。並べ方を決めるときは、まず床でシミュレーションをしてみること。そして、一番真ん中にくる作品から順に壁にかけていくのがコツ。
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写真の例では、右の大きい絵に合わせてまとまりをつくるため、左の3作品の構成に基準線が意識されている。左端上の作品のフレーム下端と、マットの右端の2つのラインに注目。

4.ソファの後ろの絵のサイズは、ソファ幅の1/2以上を目安に

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豊富春菜の作品をソファの後ろに。壁と同系の地色なので、サイズが大きくてもなじみやすい。クッションの色を合わせると一体感が。
日本のリビングでは、ソファの正面はTVで、アートは背面の壁に収まりがち。その場合、作品の大きさはソファの幅の半分以上を目安に選ぶのがおすすめ。飾りたい絵が小さい場合は、掛け花入などと組み合せたり、いくつか小さな絵を飾る手もあります。壁と作品のバランスを考えるうえでは、作品の実寸法よりも「強さ」がポイント。小さい作品でも力強く、鮮やかな色彩なら1点でも持ちますし、壁と同系の色彩であったり、イメージが穏やかな作品は、多少大きくても、圧迫感なくなじんでくれます。

5.和の空間にこそ、抽象的な現代アートを

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飾られているのは、2点ともチュン・ルオビンの抽象作品。すっきりした和風建築は、現代アートと相性がよい。
洋風化した私たちの生活の中でも、和室のあるお宅はまだまだ多いと思います。床の間には掛け軸を……が通例ですが、「掛け軸なんて持っていないし」という方にはぜひ現代アートをおすすめします。意外にも和室の床の間にもとても合います。写真は純和風建築の古民家をリノベーションしたお宅の廊下ですが、こんなふうに現代アートを飾り、下に花をあしらった姿が実にしっくりなじんでいます。茶道と同じ“見立て”の精神で、和の空間にシンプルな現代アートを合せる妙を楽しんでみてはいかがでしょう。

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