<アラフィーにおすすめの本4選>本当の多様性とは何かを考える朝井リョウ『正欲』

アラフィー女性にこそ読んで欲しいおすすめの本を、編集部がピックアップ! 朝井リョウの作家生活10周年記念作『正欲』をはじめ、雨の日の読書時間に読みたい4冊をご紹介。

常識と魂を揺さぶる、作家生活10周年記念作

『正欲』

『正欲』

朝井リョウ

新潮社 ¥1,870

不登校の息子をもつ検事、男性恐怖症ぎみの女子大生、特異な性的嗜好を隠し孤独に生きてきた寝具店勤めの女性。やがて世間を揺るがす児童ポルノ事件で逮捕される者たちと深くかかわり合うことになる3人の視点で、物語は進んでいく。読むほどに、これまで信じていた「あたりまえ」が粉々に打ち砕かれる。正しい性欲ってなんなのか。この世に、あってはならない欲望や、いてはならない人間が存在するのか……。多様性という言葉に託して著者が投げかける問いは、重い。

SF界のトップランナーが誘う未知の世界

『宇宙の春』

『宇宙の春』

ケン・リュウ 古沢嘉通/編訳

早川書房 ¥2,090

宇宙の変遷を四季になぞらえ詩的につづる表題作、ネット炎上の規制が逆に悪意をエスカレートさせていく「思いと祈り」、過去をのぞく技術が開発されたことで76年前の戦争犯罪があばかれる「歴史を終わらせた男」……。短編SFの名手による10編は、さながら未知との遭遇だ。

亡き父と猫から学んだ「ラクに生きる知恵」とは?

『命とられるわけじゃない』

『命とられるわけじゃない』

村山由佳 

集英社 ¥1,650

猫写真満載の癒し系エッセー集かと思ったら、内容は濃く深い。母との葛藤、孤独死した父への思い、2度の結婚と離婚を経て気づいたこと、50代半ばになり感じる老いとの向き合い方……。父の口癖からとったというタイトルをはじめ、生きるのがラクになる知恵がつまっている。

トラブル続出の旅から人生が見える3つの物語

『田舎のポルシェ』

『田舎のポルシェ』

篠田節子

文藝春秋 ¥1,760

よく知らない相手とロングドライブをする主人公たち。3編とも味わい深いが、特に「ロケバスアリア」が秀逸だ。憧れのオペラ歌手が立った舞台で歌いたいと、介護士の女性が孫の運転するロケバスでコロナ禍の街を行く。その人生と秘めた決意に、勇気と元気をかきたてられる。

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