50代から「人生最高のセックス」を経験するには?「ちつのトリセツ」原田純さんがアラフィーのセックスの悩みにズバリお答え!

中高年女性が直面する性と性器の問題に真っ向から取り組み、10万部を越えるベストセラーとなった『ちつのトリセツ 劣化はとまる』を出版した、径(こみち)書房代表取締役&編集者の原田純さん。二度の結婚・離婚と、20年間におよぶセックスレスを経て、原田さんがたどり着いたのは、「60代で人生最高のセックスをめざすこと」。その激しくも心躍る性生活の軌跡を、原田さんに伺った。
原田純

原田純

はらだじゅん●1954年、東京都生まれ。径書房代表取締役として経営と編集を兼務。取材で知り合った助産師のアドバイスで膣ケアに取り組み、その効果を実感したことから、『ちつのトリセツ 劣化は止まる』を執筆する。現在は、老後の人生と性について講演を行うなど、活躍の幅を広げている。最新著は、『人生最高のセックスは60歳からやってくる:ちつのトリセツ恋愛実践編』。

セックスをしないと膣は劣化する?

「あなたの膣は乾いてカチコチです」20年のセックスレスが招いた膣の劣化!

原田さんが『ちつのトリセツ』を書いたきっかけは、取材で知り合った助産師さんから「あなたの膣は乾いてカチコチになっている」といわれ、衝撃を受けたこと。
「2度の結婚と離婚を経験し、二度目の夫とは20年以上もセックスレスでした。膣は粘膜に覆われた筋肉で、適切なケアを怠ると、どんどん乾燥して縮んでしまう。でも、過去の経験から『セックスなんてもう必要ない』と思っていた私は、お手入れどころか、膣に触れてみることさえしていなかったんです」
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恋愛中や出産直後は気にしても、子育てや仕事に追われてセックスレスになると、膣をかえりみなくなる。さらに、年一回の子宮がん健診で膣に痛みや出血があっても、「年齢だし、セックスもしてないし。とりあえず日々の生活で大きな問題はないから」と、スルーしてしまう。こういう女性は少なくないと思うけれど、これって、自分の体に対して無頓着過ぎ??
「おっしゃる通り、無頓着ですね(笑)。健診で膣鏡を入れられたとき、強い痛みがあるのは膣が萎縮しているから。自覚症状がなくても更年期やストレスの影響で劣化は進むし、膣を支える骨盤低筋群が緩むと、尿漏れが起こって下着を汚したり、便秘や痔の原因にも。劣化がさらに進むと、膣の中に子宮やぼうこう、直腸などの臓器がはみ出てくる、骨盤臓器脱が起こることも。重度になると手術をするしか治療法がないので、ぜひ自分の目で見て触って膣の状態をチェックしましょう。出産を経験した女性はとくに、症状が出る割合が高くなるそうので、気をつけてほしいですね」
原田さん

老化は性器の劣化からも始まる。入浴時の膣ケア&膣トレで健康をキープ!

乾燥や緩みによる性器の劣化によっても進む体の老い。肌や髪の毛、体型の変化には敏感なのに、女性に固有の『膣』に対してノーケアであっていいはずがない。 原田さんは60歳にして膣のお手入れをスタート。68歳になった今も入浴時のオイルマッサージと、骨盤底筋体操を欠かさないという。
「以前は全身にオイルを塗ってマッサージしていましたが、今はちょっと忙しいので、骨盤底筋体操を行ってから、オイルを塗った指で膣内をやさしくマッサージするだけにしているので、数分で終わります。体操といっても、鼻から思いきり息を吸って、フーっと吐き出すだけだから、とても簡単。ただし、おなかの中の息を全部出しきってそのまま5秒間息を止めるので、最後はちょっとキツイかもしれません。息を最後まで吐き出すと膣口と肛門がキュッと締まり、上に引っ張りあげられるのを感じると思います」
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膣ケアを続けた結果、原田さんの体は激変する。長年、悩んでいたヘビーな便秘と腰痛が改善され、さらに骨盤底筋を鍛えることで体幹が整って猫背が治り、姿勢がよくなった。タイトなパンツを履きこなす姿は、とても68歳には見えない。
「自己満足かもしれませんが(笑)、全身がシュッとしてスタイルが良くなったと思います。膣ケアには優れた効果があるし、膣についての正しい情報をより多くの女性たちに知ってほしい。そう思って『ちつのトリセツ』を書きました」
原田さん
日本では長い間、性や性器について語ることは「はしたない」とタブー視されてきた。その状況を変えるためにも、いま現在、膣の劣化に直面する女性たちが、自分の娘や次の世代に膣ケアの情報を伝えることが必要なのかもしれない。
「私にも娘がいますが、こちらが恥ずかしそうにしたり、深刻な顔で話しかけたりすると、なんとなく気まずい雰囲気になります。膣の話は明るくオープンに語るのがベスト。膣を若々しく保つにはマスターベーションも大事なので、つい先日も、『お母さんがバイブレーターを買ってプレゼントするからね!』と、明るく笑いながら伝えたところです(笑)」
※妊娠中に行う会陰マッサージと、原田さんが実践している膣ケアはまったく違うものです。妊娠中の方は必ず医師の指導を受けた上で会陰マッサージを行うようにしてください。

64歳で恋人と27年ぶりにセックス!その結果は?

年齢とともに性欲が衰えたり、夫婦や恋人との間で「セックスがめんどくさい」と感じるようになっても、日本人は「しかたがない」と諦めてしまいがち。けれども海外では、オーバー60の夫婦が積極的に性生活を楽しんでいるし、何歳になっても愛し合う男女の姿は色っぽくてステキだ。原田さんの新たなテーマは、27年ぶりに再入門を果たしたセックスで、すばらしいオーガズムを得ること。新著『人生最高のセックスは60歳からやってくる』では、64歳で知り合った恋人とともに「人生最高のセックス」を目ざす姿が、赤裸々に綴られている。

64歳でできた恋人と27年ぶりにセックス!果たしてその結果は…?

過去の結婚生活から、「恋愛なんてこりごり。セックスもしなくていいし、ひとりで楽しく生きていく」と心に決めていた原田さん。ところが膣が若返り、自己肯定感が上がった効果なのか、60歳になった頃から心境に大きな変化が生まれる。
「ステキな人がいればもう一度恋愛をしたいし、セックスだって楽しみたい。そんな、恋愛に前向きな気持ちが湧きあがってきたんです」
原田さん
そして、64歳になったある夜、ひとりで飲んでいたバーのカウンターで、原田さんは〝運命の人〟との出会いを果たす。
「明るく感情表現が豊かで、ラテン系男子の彼が私にはとても魅力的で、ほぼ私のひとめ惚れでした(笑)」
お互いの結婚や離婚経験など事情を伝え合ったうえでデートを重ね、彼女はついに重大な決心をする。27年ぶりのセックスを彼とする!と。
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「体の線は崩れているし、膣ケアはしているけど、濡れなかったり痛かったりするかもしれない。ふつうにセックスができなかったらどうしよう?と、迷いや不安だらけでした」
「できないかもしれない」と彼に伝えて始まった、初めての夜。結果は……まったく問題なし! 膣ケアのおかげで苦痛を感じることもなく、彼を受け入れることができた。とてもハッピーなはずなのに、原田さんは新たな悩みを抱えてしまう。
「彼のセックスは前戯もそこそこで、自分の欲望を満たすだけのものでした。もちろん肌を合わせるだけでもうれしかったけど、オーガズムに至ることもなく、がっかりしてしまって……」
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人生最高のセックスを経験するために自分を解放して素直な気持ちを伝える

男性が射精までにかかる平均時間は10分だが、女性がオーガズムに達するには20分近くかかるという。前戯やセクシャル・ファンタジー(※)によってオーガズムを得やすくなる女性の場合、自分が何をしてほしいのか、どうされると気持ちよくなるのかを、相手にきちんと伝えることが必要だと原田さんはいう。
「夫婦でも恋人同士でも、セックスについて口にするのは恥ずかしいものですよね。でも、男性が自分の快感=射精だけを求めていたり、女性がイってないのにオーガズムに達したフリをしていては、われを忘れるような快感を味わうことはできません。恥ずかしさや過去の思いこみを捨てて、素直な言葉で自分の欲望を伝える。そして、彼に何をしてほしいかを聞いてみる。ふだんの自分から解放されないと、新しい自分、新しい喜びには出会えませんから」
 原田さんと恋人は現在も、人生最高のセックス、最高のオーガズムを求めて試行錯誤中。「前戯をしてほしい」という要望を伝えるのはもちろん、バイブを使ったり、セクシーな下着をつけてみたり。ときにはふたりで笑い出してしまうこともあるが、至高のオーガズムに向かって歩み続けている。 
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YouTubeなどで見る数年前の原田さんには、自信を持って働く女性の凛とした美しさを感じる。でも、いま目の前にいる彼女は全身から艶やかな色気を発していて、心だけでなく、体で愛し愛されることのすばらしさを感じてしまう。セックスってスゴい!
「老後の長い人生を、夫やパートナーと冷たい関係になって過ごすのは寂しいでしょう。セックスや性器についての悩みをフランクに口にできて、セックスって楽しいものだよと明るく伝えられる、そんな社会になるように私もがんばりたいと思います」
※セクシャル・ファンタジー 性的興奮をあおる為に使う空想のこと

原田純さんが50代女性にアドバイス!

アラフィー世代が抱える夫婦生活、セックスのお悩みについて、原田純さんがズバリお答え!

Q1:韓流ドラマやK-POPにハマっています。若くて美しい『推し』たちの姿を見ていると、夫とセックスをしようという気持ちには、なかなかなれなくて‥‥。こんな私でも「人生最高のセックス」を経験できますか? (51歳・会社員)
恋愛の熱は4年で冷めるといいます。長年連れ添った夫に欲情しないのは、ごく自然なことといえるかも。女性の場合、オーガズムを得るには体への刺激だけでなく、脳を稼働させることも必要になってきます。セックスをするときに、大好きな『推し』の顔を思い浮かべて、彼とのエロティックな場面を妄想してみてはどうでしょうか。セクシャル・ファンタジーの中に入りこむと、日常の自分から解放されて、オーガズムを得やすくなりますから。女性向けのAVでも、レディースコミックでもOK。セクシャル・ファンタジーを大いに活用して、どんどんセックスを楽しんでください。
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Q2:不妊治療が終わったあたりから、夫とすっかりレスになっています。私から誘ったこともありますが、「疲れているから」という理由で断られてしまいました。夫に無理をしてもらうのも……と思ってそのままにしていますが、このまま一生レスになってしまったら、どうしよう?! (49歳・専業主婦)
排卵日に合わせて決めたスケジュールでするセックスは精神的にかなりキツく、不妊治療を経験すると、新婚でもセックスが嫌になってしまう男性が少なくないそうです。女性が思っている以上に男性はセンシティブなので、心を癒すことから始めてみてはどうでしょうか。リラックスしたムードの中でキスをしたり、ペニスを触ってあげたり。大事なのは、セックスをしたい、さあセックスをするぞ、という雰囲気を出さないこと。スキンシップを繰り返して、ふたりがともに「楽しいセックスをしたいね」という気持ちになったら、自然と以前の関係に戻れるかもしれません。
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Q3:もう何年もレスですが、久しぶりに夫とセックスしてみようかな?という気持ちになっています。とはいえ、きっかけづくりがわからなくて……。セクシーな下着やネグリジェを着てみるのはどうでしょうか?(53歳・会社員)
いきなりセクシーなアイテムを使うのは、男性にとってはちょっと重いですね(笑)。久しぶりのセックスで相手に期待しすぎると、男性は『勃起しなかったらどうしよう?』とか、プレッシャーを感じるかもしれません。日本では、『いい年をして何をやってるの?!』みたいな風潮がまだまだあるので、セクシーな下着は、それを相手の男性がおもしろがって受け入れてくれるような関係になってからトライしましょう。おすすめは、かつての恋人時代をもう一度やり直すこと。二人でお酒を飲みに行ったりカラオケに行ったり。腕を組んで街を歩くのもいいと思います。さりげないスキンシップを重ねて、気持ちが盛りあがったら、突然、笑いながらほっぺにチュッとしてみるとか。セックスをしなくても、お互いに触り合うとか、スキンシップがあるだけでも関係性が変わってきますよ。
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『人生最高のセックスは60歳からやってくる ちつのトリセツ恋愛実践編』  原田純著 関口由紀監修 径書房 ¥1,760

『人生最高のセックスは60歳からやってくる ちつのトリセツ恋愛実践編』

原田純著 関口由紀監修 径書房 ¥1,760

結婚と離婚を繰り返した経験から、「セックスについて真剣に考えたことがなかった」という原田さん。ところが、60歳から始めた膣ケアで心境に変化が生まれる。64歳で恋人と出会い、27年ぶりのセックスを経験した彼女が、悔いのない人生を送るために気持ちのいいセックスとは何か?を考え、実践する。自身の赤裸々なエピソードも綴られた、ちつのトリセツ実践編。

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