【50代におすすめの元気がでる本3選】ライター山本圭子さんが選ぶ。疲れている時にエネルギーチャージできる本はこれ!

心身ともにお疲れがでがちなこの時期、じっくり本を読む時間をとり、心を落ち着けてみては? エクラ書評班がおすすめする、50代におすすめする「元気がでる本」。第一回はライター山本圭子さんのセレクトです。「慌ただしい年始ですが、ぽっかり空いた時間に本でエネルギーをチャージできるといいですね」。
●山本圭子(やまもとけいこ) エクラをはじめ女性誌ほかで新刊書評や著者インタビューを手掛けているベテランライター。2018年に開始した「文芸エクラ大賞」の4人の選者のうちの1人でもある。

伝説の農業コンサルタントは食べっぷりも見事!

『森田繁子と腹八分』 河﨑秋子 徳間書店 ¥1,980

『森田繁子と腹八分』 河﨑秋子 徳間書店 ¥1,980
前職は羊飼い、実家は酪農家。本作はそんな著者だから書けたエンターテイメント。主人公は50代の農業コンサルタント・森田繁子で、農家や酪農家の悩みを聞くと素早くリサーチ。その後の驚くべき提案には納得の理由があって……。3件の悩みが描かれているが、どれも水面下にあるのが人間関係の齟齬。それらを明らかにし、専門知識を駆使して経営の助言をする繁子の有能さと自分にも他人にも厳しい態度、“食”を大事にする心意気に惚れる!

軽妙、でも真摯。人生で大事なことが伝わる短編集

『逆ソクラテス』 伊坂幸太郎 集英社文庫 ¥792

『逆ソクラテス』 伊坂幸太郎 集英社文庫 ¥792
著者の入門書としてもおすすめ。表題作は「僕」が小学6年生のときの思い出を振り返るという形式。転校生の安斎が“先入観で人を判断する威圧的な担任にゆさぶりをかけよう”と言いだし、「僕」はその作戦に半信半疑で協力。結局微妙な終わりかたになったものの、安斎の発言がのちのミラクルにつながる。長いものに巻かれず、「自分はそう思わない」と内心確認すること。たとえ小さなことでもその積み重ねが人の強さを作っていくと思え、前向きな気持ちに。

気の持ちようが変わる、そっと勇気をもらえる!

『うそコンシェルジュ』 津村記久子 新潮社 ¥1,980

『うそコンシェルジュ』 津村記久子 新潮社 ¥1,980
11の物語に登場するのはみんな身近にいそうな人たち。思わずため息が出るような“困りごと”を抱えているが、信頼できる知り合いの協力を得てうそをつくなど、意外な方法や知恵でそれらをやり過ごしていく。私たちはいつも何かしらの悩みを抱えているが、根本的な解決にこだわり過ぎず、とりあえずの着地点が見いだせればこじれた部分がほぐれるかも――表題作とその続編からはそんなことが感じられ、心がぽっと明るくなる。
文/山本圭子、本誌編集部
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