50代のお悩みに、少女漫画家 一条ゆかりさんがお答え!

今年、画業60周年を迎える少女漫画界のレジェンド・一条ゆかり先生。この2月には、初めての塗り絵ブック『一条ゆかりポストカードBOOK 塗り絵倶楽部』と、金言集第二弾『男で受けた傷を食で癒すとデブだけが残る』(電子書籍限定)の二冊を同時発売し、話題となっています。75歳になった今もポジディブに人生を楽しみ、いつまでも若々しい一条先生。読者からのお悩みにも痛いところをと突きまくり、その切れ味鋭い回答にドキッとしたり、爆笑したり。一条哲学のエッセンスが学べるはずです!!
少女漫画家一条ゆかりさん
作品のみならず、ご本人もとても素敵! 率直で辛口なアドバイスの中にも、優しいお人柄が滲み出る。撮影/田村伊吹
漫画家 一条ゆかり

漫画家 一条ゆかり

いちじょう・ゆかり●1949年9月19日岡山県生まれ。1967年りぼん新人賞漫画賞準入選。1968年「りぼん」で受賞作『雪のセレナーデ』でデビューする。『デザイナー』『砂 の城』『有閑倶楽部』などヒット作多数。1986年「有閑倶楽部」で第10回講談社漫画賞少女部門受賞。2007年「プライド」で第11回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞受賞。同 作は2009年に映画化された。金言集第一弾『不倫、それは峠の茶屋にも似ている』も好評(紙と電子で購入可能)。
『男で受けた傷を食で癒すとデブだけが残る たるんだ心に一喝!! 一条ゆかりの金言集 2』 (集英社女性誌eBOOKS)
『男で受けた傷を食で癒すとデブだけが残る たるんだ心に一喝!! 一条ゆかりの金言集 2』 (集英社女性誌eBOOKS)Success、Love、Happyなど、迷えるあなたに送る、一条流の人生を楽しむエッセンス。大ヒット漫画『プライド』のキャラクターの現在を語ったスペシャルインタビューや、カトリーヌあやこ作画による 漫画「ゆかりが見た未来」など、一条ワールド満載のデジタル本。

【お悩み 其の一】年々太って、痩せづらくなっています。少し運動や食事制限をしているのですが、全然やせません。いつまでも現役感のある一条先生は、何かダイエットをしてますか? また自分をコントロールするような言葉などお持ちでしょうか?(45歳・商社)

「少し運動や食事制限をしている」とあるけれど、「少し」じゃダメなんです。年齢とともに代謝が悪くなるから、45歳過ぎたら何もしなければ太るのは当たり前。「1か月で3キロやせるぞ!」くらいの勢いで頑張って、やっと現状キープなのよ。
 それとこの質問を見る限り、緊迫感がまったくない(笑)。「やせたらいいな」くらいの感じよね。でも、ダイエットって、いつでも自分の意志でやめられるし、「今日だけは……」ってズルもできる。とくに言い訳上手な人は、「今月はお誕生会があったから~」って理由をつけて、自分を追い詰めることから逃げちゃう。切羽詰まってないと、そういう心の隙間を埋められないのよ。
 一番いいのは、たとえば「3か月後に同窓会があるから、それまでに何としても痩せたい」という差し迫った目標があると必死になると思うのよね。もしくはワンサイズ下の高いワンピースを買って、それを冷蔵庫の横にかけておくの。そうすると、「高いワンピースを無駄にしたくない」という気持ちも働くから冷蔵庫を開ける回数も減ります。だからケチほどダイエットは成功します(笑)。
 私の場合、世の中の「一条ゆかり像」っていうのがあるから(笑)、人生死ぬまでダイエット!!  とくに甘いものや炭水化物はできるだけ昼間にとって、夜はたんぱく質をメインにしています。あと大事なのは、食事は寝る3時間前に終わらせること。「食べたら寝るな! 寝るなら食べるな!!」(笑)。

【お悩み 其の二】生涯現役で働きたいと思っています。定年まで10年をきりましたが、何をやっていいのかわかりません。思い切って会社を辞めて、起業しようか悩んでいますが、勇気がなくて一歩が踏み出せません。(55歳・メーカー)

 この人は何をしたいかわからないのに、起業したいと考えているのね。「勇気がありません」っていうけれど、いや、十分勇気あります。私だったら怖くて、とてもできない(笑)。だってあまりに漠然としてるんだもん。「フラワーアレンジメントをずっと習ってきたのでフローリストになりたいです」っていうならわかるけれど、これだと中学生が「スターになりたい」と言ってるのと同じ(笑)。絶対うまくいかないと思うのよ。まずは自分ができることは何かを考えないと。
 大きく分けると、ものを作る人になるか、売る人になるか。アーティスト的才能や特別なスキルがあればものを作る人になるという選択肢があると思います。「技術はこれから身につける」なんて考えてないわよね。無理無理。体力は落ちるし、老眼で細かい作業なんかできなくなるし(笑)。今の時点で、どれだけのことができるかを考えてください。
 もうひとつは、お金を稼ぎたいのか、人の役に立ちたいのか。「アパレルのネット販売で稼ぎたい」みたいな人もいれば、「会社員生活で培った技術があるから発展途上国に行って役に立ちたい」という人もいると思うので、そこも仕事を決める分岐点になります。
2月に発売したエッセイ集『男で受けた傷を食で癒すとデブだけが残る』でも書いたけれど、みんな自分のことを正しく理解してないのよ。自分は何が得意で、性格はどうなのか。客観的にこれらを把握することが成功への近道なのに。ということで、私のアドバイスはひとつ。己を知れ!!(笑)

【お悩み 其の三】母は70代後半ですが、年々もの忘れがひどく、同じことを何度も話すので、イライラしてしまいます。自分はもともと親思いで、親孝行したいと思っているのですが……。どうしたらいいでしょうか?(46歳・金融)

 母の物忘れがひどい? 普通普通(笑)。年をとったら誰でも忘れっぽくなるし、何度も同じことを言うのよ。そこらへんの老人の集まりに行ったらよくわかります。みんな人の話なんか聞かないで好き勝手にしゃべってるから。で、「あの人、すっかりボケちゃって」って言うんだけど、相手も絶対そう思ってる(笑)。
 そんなご老人を相手にするときに大事なことは、とにかくうまくスルーする技術を身につけることですね。だっていくら一生懸命諭しても、どんなに怒ってもお母さんが若返ることはないのよ。だったら「お母さんはこういう人なんだ」とひとつの個性として受け入れる。今流行りの多様性を認めるということですね。
 私も若い頃は母とは衝突してばかりでした。母は学校の先生で常識を重んじるタイプ。娘にもエリートコースを歩んでほしいと期待していたけれど、私が学業をかなりスルーして漫画に夢中だったのに腹を立て「またポンチ絵なんか描いて!!」って。私は「ポンチ絵って何??」って(笑)。でも、年を重ねて悟ったのは、結局、母のこういう考え方は変わらないということ。それで「こういう考え方の人もいるよね」って多様性を認めて(笑)受け入れました。
 この人も母親にいちいち腹を立ててたら、自分の身がもたないから諦めてください。自分に被害が及ばないようにすることが大事。そしてこれ以上、お母さんにボケてほしくないならお母さんにラクさせちゃダメです。「お皿、洗って」「掃除して」ってコキ使うほうが親孝行なのよ。いつまでも母親に元気でいてほしいなら豆をまいて拾わせましょう(笑)

【お悩み 其の四】推し活が生きがいです。が、最近推しが落ち目で、私までふさぎこんでしまっています。他にこれといって趣味もなく、このまま続けていってもいいのでしょうか。(51歳・派遣)

この年齢で推し活ができるって幸せよね。お金はそこそこあるから推しに貢げるし、人の目が気になる年齢でもないから、地方までおっかけて行ったりして。でも、そんな推しが「最近落ち目で……」。それはたいへん。その推しはすぐに捨ててください(笑)。
 残酷なことを言うようだけれど、推し活って、しょせん趣味、遊びだから楽しくてナンボでしょう? それが辛いなら勢いのいい推しに乗り換えたほうが気分もアガっていいと思うの。というか、リスクを考えて、推し活は、最初から二股、三股をかけておくべきよね。
落ち目になった推しを支えてこそ……っていう考え方もあるけれど、若い人ならいざしらず、50歳を過ぎたら、そこまでの気力も体力もないと思うのよ。こっちが支えてもらいたいくらいなのに(笑)。そもそも推しは自分の男じゃないんだからそこまでの責任はないです。それにあなたが捨てても推しの面倒をみてくれる人はちゃんといるだろうから安心して捨てて大丈夫(笑)。ちなみに私の推しは私自身です。だって自分以上に興味を持てる人がいないのよ。自分が推しだといいわよ。自分のためにお金を使えるし、自分で自分の言うことをきかせれば幸せになれちゃうんだから。ただ、他の人と楽しみを共有するみたいなことはないから、ちょっと孤独かも。孤独に耐えられる人はぜひ自分推しにチャレンジしてみてください。

【お悩み 其の五】子供も巣立って、女友達と再会や会う時間が増えています。でも、価値観や経験が違うのか、話が合わないことも多くて……。「いる友達」と「いらない友達」どうやって仕分けしたらよいでしょうか。(48歳・メーカー)

 簡単に言うと、これからの人生にメリットのある人は「いる友達」、メリットのない人は「いらない友達」です。「メリット」というのは「人脈が広くて、自分の仕事で役に立つ」とかだけじゃなくて、「一緒にいると楽しい」とか、「その子といると心がラクになる」とか、そういうことを含めてです。
 一方、メリットのない友達は、一緒にいると不愉快になることのほうが多い人。会うたびに自分の愚痴しか言わない人とか、マウンティングしてくる人とかね。
 ところが多くの人は、「私はそんなことで友達を捨てるようなひどい人間じゃない」という気持ちに縛られて、本当は面倒くさいのに愚痴をずっと聞いてしまったりするのよ。「人に良く思われたい」という気持ちが大きくて、いい人を演じようとしてしまうんです。でも、たいていの人は、そんなにいい人間じゃないから辛くなるのよ(笑)。
 だからまずはいい人ぶらないことですね。苦手な友達に「冷たい」と言われても、「私は好きな人にはやさしくするからいいんです」と自分中心で考えるようにしてください。もちろん「彼女は苦手だけれど、おごってくれるから友達でいたい」(笑)というなら頑張ってつきあえばいいし。日本人は「ギブ&テイク」というと何かドライな人間に思われがちだけれど、ごく普通のことだと思うのよね。
 人生はもう残り少ないことを考えると、好きな人と楽しい時間を過ごしたいじゃない? メリット、デメリットで冷静に判断して、ストレスのない友人関係を目指してください。

取材・文/佐藤裕美
『一条ゆかりポストカードBOOK 塗り絵倶楽部』
『一条ゆかりポストカードBOOK 塗り絵倶楽部』 「デザイナー」「砂の城」「有閑倶楽部」「プライド」といった代表作の扉絵や、漫画雑誌の表紙、ふろく用のイラストまで、本人が選んだ美麗なカラー原画20枚と、それを丁寧に再現した塗り絵が20枚、ミシン目で切り離せる計40枚を収録したポストカードBOOK。見て、塗って、飾って、さらに送っても楽しめる贅沢な1冊。
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