ボルボ・カー・ジャパン株式会社 代表取締役社長 不動奈緒美さん「苦労より、未知を知る喜びが先に立つ。自分に与えられた使命に、今も一生懸命です」【エクラ トップリーダーズvol.04】

どんなときも、心の底からわいてくる思いを原動力に。そう信じて、走り続けている同年代のトップがいる。アメリカと日本で、さまざまな業界に身を置きながら広い世界を俯瞰し、次の世代に思いを馳せる。混迷する時代にこそ忘れてはならないものを、胸に抱いて。

ボルボ・カー・ジャパン株式会社 代表取締役社長

不動奈緒美さん

不動奈緒美さん

profile

不動奈緒美

’91 アメリカ・メリービル大学卒業後、現地企業で働きはじめる。
’98 日本に帰国し、ソフトウェア会社に勤務。
’10 アクサ生命保険に入社。
’18 マニュライフ生命保険に入社。
’21 ボルボ・カー・ジャパンに入社し、CX/DX関連部門の本部長を務める。
’23 ボルボ・カー・ジャパンで初の女性代表取締役社長に就任。

持続的な組織づくりとともに人の温かみを伝えていきたい

暮らしの相棒である車は、生き方を表すアイテムともいえるだろう。安全なつくりと北欧のデザイン性が生きたボルボのコンパクトSUV「EX30」。フル・エレクトリックで環境にも優しいモデルは、エクラ世代の女性にも好評だという。「丈夫なだけでなくエレガントであり、ディテールまでこだわったつくり。きっと楽しんで乗っていただけると思います」

不動奈緒美さんは、そういって快活な笑顔を見せた。2年前、国内の自動車会社で初の女性社長に就任するまでは金融や保険などの別業界で手腕をふるってきた、業界では異色のトップである。「自分の生きていく目標は、邁進(まいしん)すること。とにかく好奇心が強く、行ってみよう、その先に何があるか見てみたいという思いが、常にあるんです」

学生時代は建築を専攻。留学先のアメリカでCAD(コンピューターを用いた設計手法)を学んだこともあり、現地のテック企業でインターンからキャリアをスタートさせ、ソフトウェアを作って企業へ導入するまでを担うプロジェクトマネージャーの資格も取得。帰国後は、ソフトウェア会社に勤め、航空会社や金融企業でのシステム導入で実践を重ねた。今は一般的になった保険契約のタブレットでの手続きも、保険会社勤務時に不動さんが実現したIT化のひとつである。「’10年代半ばからは、デジタルトランスフォーメーションによるビジネスのプロセス改善が重要な仕事になりました。仕事に勉強にと日々、追われてはいましたが、知らないことを学べるおもしろさのほうが、やはり大きかったんです」

夢中で駆け抜け、迎えた50代。さらに不動さんは、「これまでとは違う産業に身を置きたい」と、自動車業界というまったくの異業種へ転身する。「お客さまがお金を払う際にワクワクしてくださるもの、すぐ体感できるものを扱う仕事を経験してみたかった。しかし、入ってみると想像と違った部分が多く、相当苦労しました。商品の在庫をもつ重みはこれまで経験しなかったもので、ときどき押しつぶされそうになりますし。それでも、発見はたくさんあって」

そのひとつが、人の力。大きな買い物をする顧客との信頼関係の決め手になるのが、ディーラー担当者の接客やブランドを通じて発信するメッセージであるという学びは「これから生きていくうえで財産になりました」と不動さん。学び続ける姿勢を、持ち前の好奇心が支えている。「社会が大きく変化する中、解決しなければならない課題はどんどん出てくると思います。でも、自分は前に進む使命をもって生まれてきたのだろうから……」

ひたすら懸命に。そして、時期が訪れたら、自分が先頭を走るのではなく、組織を持続させるサポート役に回りつつ今までとは違った形で会社や社会に貢献する──そんなビジョンも描いている。「情報化した今の社会では10年先、20年先がなかなか見通せませんが、変化に耐えられる仕組みをつくるとともに、社会から失われそうな人の温かみの大切さも伝えていきたいと思っています」

愛車はプラグインハイブリッドのXC60。革製のキーケースはストラップでバッグに提げられる 

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ロレックスの時計は初の管理職昇進時に購入。建築士の父から贈られたモンブランのボールペンと万年筆は、アイデアを書きとめるノートにも書類のサインにも 

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「社員たちにちょっかいを出してます(笑)」と不動さん

社長就任時に役職を廃止しフラットな組織に。デスクワークの合間にフロアをまわり「社員たちにちょっかいを出してます(笑)」と不動さん

motto

「神輿に乗っても絶対に人にマウントしない。そう決めています」。

自らは謙虚に、相手を尊重する。高校まで学んだカトリックの学校でシスターからかけられた言葉が今も胸に。「神輿に乗っても絶対に人にマウントしない。そう決めています」。


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