一歩踏み出す勇気をくれる、ソン・ガン主演『ナビレラ -それでも蝶は舞う-』の名セリフ【韓国ドラマ:心に刺さる、あのセリフ vol.6】

人気韓国ドラマのセリフやタイトルに注目し、ドラマ鑑賞がもっと楽しくなる豆知識をご紹介。今回は、年齢差47歳のおじいちゃん×青年がバレエを通じて絆を育む『ナビレラ -それでも蝶は舞う-』(2021)から、背中を押してくれる名セリフをお届けします。
ナビレラ -それでも蝶は舞う- ソン・ガン
Netflixシリーズ「ナビレラ -それでも蝶は舞う-」独占配信中

私たちの日常をときめきや感動で彩ってくれる韓国ドラマ。昨今の韓国ブームによって「表情管理」「花道だけ歩こう」のように、韓国由来の表現が日本でも少しずつ浸透してきて、注釈なしでも伝わる言葉が増えています。外国語に触れる楽しさや、知識・視点が増える喜びを感じられるのも海外エンタメの魅力のひとつですよね。

この連載では、韓国ドラマのセリフやタイトルに注目し、ドラマ鑑賞がもっと楽しくなる豆知識をご紹介。韓国語能力試験(TOPIK)の最上級である6級を取得したライターが独自の視点からお届けします。

『ナビレラ -それでも蝶は舞う-』

韓国のオンラインサイトで連載されていたウェブ漫画を実写ドラマ化。本当にやりたかったことに挑戦する70歳の男性と、彼の指導者となる才能あふれる若きバレエダンサーが織りなすヒューマンドラマ。

あらすじ

70歳のドクチュル(パク・イナン)は、バレリーノを目指して自主練習する青年チェロク(ソン・ガン)を見かける。彼の踊りに魅了され、『白鳥の湖』に憧れた幼い頃の夢を思い出すドクチュル。大切な友人との別れをきっかけに、ドクチュルはずっとやりたかったバレエに挑戦することを決意する。

このフレーズに注目!

「완벽하게 준비되는 순간은 안 오더라고. 그냥 지금 시작하면서 채워. 」(完璧な状態は一生来ない。まずはスタートを切れ)

ナビレラ -それでも蝶は舞う- パク・イナン
Netflixシリーズ「ナビレラ -それでも蝶は舞う-」独占配信中

「“遅かった”と感じた時が一番早い時だ」という有名な言葉がありますが、『ナビレラ -それでも蝶は舞う-』はまさに、それを具現化したような作品です。

幼い頃にバレリーノを見かけてバレエに憧れるも、父親から反対されて諦めたドクチュル。大人になってからは懸命に働き、3人の子供を立派に育て上げ、気づけば70歳になっていました。ひとり、ふたりと旅立つ仲間も出てくる中で、”残された時間“と”やり残したこと“を意識するようになったドクチュルは、ずっと好きだったバレエを始めます。

そこで、バレエ熱が再燃するきっかけとなったソン・ガン演じる若きバレエダンサーのチェロクに弟子入りを頼み込みます。チェロクはまだバレリーノの卵ですが、彼の踊りに感銘を受けたドクチュルは、チェロクの生徒兼マネージャーになります。ちなみに、ソン・ガンは半年間バレエのレッスンを受けて撮影に臨んだそう。186cmの長身をしなやかに駆使したソン・ガンの美しい踊りも見どころとなっています。

ナビレラ -それでも蝶は舞う- ソン・ガン
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一方で、チェロクは多少複雑で難しい境遇にあり、バレエに専念できずスランプに陥っていました。最初はドクチュルの頼みを断っていたチェロクでしたが、根気よく真面目にバレエに取り組むドクチュルと過ごすうちに、自身もバレエと本気で向き合うようになり、少しずつスランプを克服していきます。韓国ドラマらしい派手な展開こそないものの、おじいちゃんが弟子×若者が師匠という異色のケミが新鮮で、世代を超えて互いをリスペクトし高めあう絆に心がじんわりと温かくなります。

特に、遅いと分かったうえで果敢に挑戦し、気後れすることなくコツコツと練習するドクチュルが眩しい。年齢を重ねたからこその包容力のある厚かましさもチャーミングで、前向きなドクチュルを見ているうちに、自分も頑張ろうというエネルギーが湧いてくるはず。今回紹介するフレーズは、そんなドクチュルのセリフから。

描かれない主人公の背景を想像してみる

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「완벽하게 준비되는 순간은 안 오더라고. 그냥 지금 시작하면서 채워.(完璧な状態は一生来ない。まずはスタートを切れ)」

スラングや隠された意味などは一切なく、ただひらすら真っすぐ心に響くセリフ。これはドラマの後半で、チェロクの高校時代の同級生ホボム(キム・グォン)にドクチュルがかけた言葉です。

ホボムは、サッカー部の顧問だったチェロクの父の不祥事によってプロになる夢を絶たれ、チェロク親子を恨んでいました。その確執が解消され、バレエに打ち込むチェロクに背中を押されて、再びサッカーを始めることにしたホボム。まずは体力をつけて、プロテストは数年後に……と考えるホボムに、ドクチュルは一歩踏み出すことが大事なのだとアドバイスを送るのでした。

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人生の先輩であることに加えて、年齢的にも体力的にもベストな時期をとうに過ぎた70歳で、“好きなことをやる”という強い意志を原動力にバレエを始めたドクチュルが言うからこそ特別な説得力があります。

ドラマでは描かれませんが、ドクチュルの年齢を考えると、民主化運動(1980年代)やIMF危機(1997年)など、激動の時代を生きてきたことが想像できます。ということは、時代的にも経済的にも“好きなことをやる”という選択肢はきっとなかったはず。元郵便配達員(公務員)で住所を丸暗記する真面目な性格であることからも、もしかしたらドクチュル自身も心のどこかで「余裕ができたら」「準備ができたら」と、無意識のうちに“完璧な状態”を待ち続けてしまったのかもしれません。そうした背景を想像しながら見てみると、セリフがより味わい深く感じられますよね。

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こうしてバケットリストをかなえたドクチュルですが、彼がバレエを始めたきっかけにはもう一つ大きな理由があって……。それを知ると、「완벽하게 준비되는 순간은 안 오더라고. 그냥 지금 시작하면서 채워.(完璧な状態は一生来ない。まずはスタートを切れ)」という言葉がより強く心に刺さるはず、

時間は有限だけれど、もしかしたら遅いかもしれないけれど、今からだって、いつだって始めることはできる。そんな勇気をくれる『ナビレラ -それでも蝶は舞う-』。ドクチュルのセリフを嚙みしめながら、ドクチュルとチェロクの成長を見届けてください。

轟 友貴

轟 友貴

K-POPアイドル、俳優にインタビューを行うフリーランスライター。学生時代からライターとして活動、韓国在住経験もあり。TOPIK6級取得。
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