50代を取り巻く今どきのお墓事情!「親の墓の探しどき」が「自分の墓の考えどき」

親のお墓を新たに建てたり、遠方にある親のお墓を自分たちの住まいの近くに移したり、そろそろお墓が身近な問題になるアラフィー世代。そのときふと頭をよぎるのは、「自分たちのお墓はどうしよう!?」 費用や管理、継承者問題など、お墓にまつわるトラブルは多数。「まだ先のこと」と見て見ぬふりをするなかれ!”そのとき”まで余裕がある今だからこそ、お墓についてじっくり考えてみませんか?

 

教えてくれたのは…
シニア生活文化研究所所長 小谷みどりさん

シニア生活文化研究所所長 小谷みどりさん

第一生命経済研究所を経て、’19年から現職。著書に『お墓どうしたら?事典』(つちや書店)、『没イチ パートナーを亡くしてからの生き方』(新潮社)など。

 
①「お墓のお悩み」リアルな声

私たち夫婦が入れるお墓がない!

「私の実家のお墓はもういっぱいだし、夫の実家のお墓は親族間でもめていて……。私たち夫婦が入れるお墓がない!私の母や弟、娘や将来の家族も入れるようなお墓を新たに建てることを検討中」(50歳・主婦)

お参りに行くのが大変

「両親のお墓は故郷にあり、お参りに行くのが大変。なので自分のお墓は自宅のそばにと考え、納骨堂と一般墓地を候補に今から子供たちと話し合っています」(44歳・会社役員)

お墓について

夫の家のお墓には 入りたくありません

「それは、ワガママかなと思う一方、死後くらい好きにさせてほしいという気持ちもあって。ひとり娘が2つのお墓をみるのはしのびないので、私は集合型のお墓に入るか散骨とか?」(50歳・フラワーデザイナー)

お墓を探すのが大変だった

「実父が亡くなったとき、お墓を探すのが大変だった。娘たちに同じ苦労はさせたくないので私たち夫婦のお墓は自分たちで用意するつもり」(54歳・主婦)

 
②そもそも“お墓”ってなんですか?

家族のかたちが変わればお墓のあり方も変わります

エクラの読者にアンケートをとったところ、「実父は次男なので、お墓を新しく建てなければいけない」「義父母のお墓があるのは遠方。子供たちのことを考えると、自分たちのお墓は近所につくるのがよさそう」「夫も私もひとりっ子で、子供もひとり。となると、両家合同のお墓でないと維持はむずかしいかも」といった悩みが多く寄せられた。そんなふうに、新しいお墓を模索している人たちがいる一方、「お墓を継ぐ人がいない」「このままだと、将来は娘がひとりで複数のお墓をみることに」という声も。

「お墓は、家族のかたちと密接に関係しています。少子化がすすみ、核家族が主流になった今、従来のお墓のあり方が現実にそぐわなくなってきたのも当然です」と、お墓に精通している小谷みどりさん。「そもそも日本で長らく主流だったのは土葬。田舎では、誰かが亡くなったら、その集落の墓地に、ひとりずつ埋葬していました。『お墓はひとりひとつ』がスタンダードだったのです。しかも昔は、生まれた土地から一度も離れることなく、そこで生涯を終える人が大半。なので、お墓を新設しなければならないという状況に陥ることもなければ、子供の数が多かったので、墓守がいないという悩みとも無縁でした」


小谷さんいわく、私たちがなじんできた「○○家之墓」という“家墓”が広く普及しはじめたのは、戦後のことだとか。「家墓は、墓石の下に複数の骨壺を納める、いわば家族の“共同墓”。それは、火葬でなければできません。東京や大阪といった大都市圏は、土地に余裕がなく、人口密度も高かったため、比較的早く火葬が主流になりましたが、火葬の全国平均が50%を超えたのは1935年。’70年でも、5人にひとりは土葬だったんですよ」


ということは、家墓が一般的になったのは、ここ70〜80年ほど。長年お墓の枕詞のように使われていた“先祖代々”は、実は、せいぜい曽祖父以降、わずか3、4世代程度というわけだ。

「ちなみに、多くの人が『お墓は長男が継ぐもの』と思っていらっしゃるようですが、そうした決まりもありません」

お墓どうする?

夫婦墓や親子墓だけでなく、仲間との共同墓が増えそう

高度成長期以降、進学や就職を機に大都市圏に移り住む人が急増し、核家族化がすすんだことや、親戚付き合いが薄れてきたことも、お墓に影響を与えた。

「本来お墓は、誰と入らなければいけないといった決まりはありません。ですから、骨壺を入れるスペースに余裕があれば、かなり遠い親戚でも一緒に納骨できます。にもかかわらず、現在の居住エリアに“自分の家族だけのお墓”を建てるケースが増えてきました」


その家族は誰をさすかというと、「実際に生活をともにしている人たち」。エクラ世代だと、祖父母も家族と認識している人が多い気がするが、若い世代は、親と子のみととらえている人が多いという。


「お墓参りをイメージするとわかりやすいと思いますが、皆さん、親戚のお墓参りにはあまり行かないのでは? 祖父母のお墓にしても、両親と同じお墓ならお参りするかもしれませんが、両親とは別で、しかも遠方にある場合、足が遠のいているのではないでしょうか。読者の子供や孫世代になると、その傾向はますます強くなるでしょう」

お墓

そんなふうに“家族の単位”が小さくなりつつある現代、お墓の規模が縮小しても不思議はない。夫婦や親子のみというお墓や、承継の必要がない永代供養墓などが、今後は主流になっていきそう。


「今は、老人ホームやシニア住宅で最期を迎える人も多いですよね。お墓は、生活共同体が入るものだと考えると、その仲間たちと同じお墓に入るケースも増えてくるだろうと思います」

 
さらに、あと数十年もしたら、お墓そのものがなくなる可能性も。

「アメリカやイギリス、韓国など、海外の一部では、『遺骨をなくす』というムーブメントが生まれています。骨を溶かすなど、化学的な処理をして、完全に自然に還(かえ)るような方法が試行されているのです。いわば、究極のエコ。そうなると、お墓そのものが不要になるかもしれません。弔い方を含め、お墓は今後さらに変わるかもしれませんよ」

 

永代供養墓が主流になる日も近い!? 主な3つのタイプ

 個別安置型 

一般墓同様、専用区画に、墓石などを 建てて安置し、一定期間を過ぎたら、 遺骨を合祀型のお墓に移す形式。期間 は、13年、17年、33年など、墓地や霊 園によって異なる。墓石の種類や安置 場所を指定されるケースが多いが、個人でお墓を建てるよりは安価に済む。

 集合安置型 

それぞれの遺骨に専用スペースを与え、小さな石碑や石塔などを建て、同じ場所に集めてひとつのお墓に見立てる、いわばマンションタイプ。遺骨は専用の骨壺に納められるが、専有スペースが小さいぶん、通常のお墓よりも費用が抑えられるケースが多い。

 合祀型 

永代供養墓の中で最も多いスタイルで、「合同墓」「合葬墓」とも呼ばれる。遺骨は骨壺から取り出し、墓所内に直接納骨されるため、あとから遺骨を返してもらうことはできない。永代供養の中で最もリーズナブルで、費用は数万円~25万円前後が一般的。

 

  
③お墓の素朴な5つの疑問

Q1.実家のお墓に入ることはできる?

A.六親等までOKというお墓が大半

お墓には、「どのお墓に、誰と入るか」を明確に定めた法律はありません。なので、嫁ぎ先ではなく、実家のお墓に入ることは可能です。一般的な墓地や霊園は、『使用者から見て六親等以内の血族、配偶者、または三親等以内の姻族までしか納骨できない』とされていますが、それでも、自分から見た曽祖父母や甥・姪、ひ孫とその配偶者、いとことその子供・孫まで含まれるなど範囲はかなり広いんですよ。ただし、『自分とその配偶者、実子のみ』など独自ルールを設けているところもあるので、まずは、実家のお墓のルールを確認しましょう。

 

Q2.そりの合わない長男ではなく次男にお墓を継いでほしい

A.承継者は誰でも大丈夫

民法では、お墓や仏壇などの先祖を祀る財産を引き継ぐ「祭祀承継者」をひとり決めなくてはならないのですが、誰にするかという規定はないんですよ。ですから、次男や嫁いだ娘、孫や甥・姪が継ぐのも問題ありません。本人や家族が同意し、墓地が許可するなど条件はありますが、友人が承継するケースも出てきたほどです。

 

お墓や仏壇といった祭祀財産は相続財産とは区別されているので、相続税はかかりません。とはいえ、墓地の年間管理料の支払いやお墓の手入れなどが発生するので、そのあたりを承継者にしっかり理解してもらったうえで、託すことをおすすめします。

お墓の素朴な疑問

Q3.お墓を放置していたらどうなってしまう?

A.無縁墓として撤去されることも

年間管理料が発生する墓地や霊園にお墓があり、管理料の支払いが何年も滞ってしまうと、無縁墓とみなされ、撤去されるケースもあります。もっとも、無縁墓と認定されるには、行政上煩雑な手続きが必要になるうえ、墓石を撤去する費用はお墓の管理者の負担に。しかも、お墓を撤去したあと、新たな使用者の応募が見込まれるのは、アクセスのいい都心部のごく一部の墓地にかぎられます。それ以外の墓地は、採算が合わないため、そのまま放置されることも珍しくありません。

 

Q4.遠方の父母のお墓を近くに移したい

A.「墓じまい」をしたうえで新たなお墓を

まずは、遠方のお墓の「墓じまい」を。家族や親族など関係者の同意が得られたら、墓地管理者に連絡し、改葬の手続きを行います。同時に、次のお墓をどうするか、納骨の仕方や場所なども考え、準備しましょう。お墓の移し方にも、「埋蔵されている骨壺と石碑をすべて移す」「骨壺だけをすべて移す」など複数の方法があるので、最適なものを選んでください。親族の遺骨も同じお墓に納められている場合は、墓じまいはせず、「父母の骨壺のみを移す」「父母の骨壺から一部の遺骨のみを取り出して移す」といった方法もあります。

 

Q5.お墓を承継する人がいない場合は?

A.永代供養墓を選ぶのが安心

承継者問題が年々深刻化する中、注目が高まっているのが永代供養墓。遺族にかわって墓地の管理者が供養と管理を行う、承継を前提としないお墓です。子供がいない人やシングルだけでなく、子供がいても、遠方に住んでいたり、嫁いでしまった娘だけなど、墓守をさせたくないという人に支持されています。承継を前提にしないため、入れる人数には制限があり、夫婦のみとか、その子供までなど、せいぜい4名程度というのが多いようです。なお、永代供養墓には、「個別安置型」「集合安置型」「合祀型」の3種類があるので、それぞれの特徴を知ったうえで、慎重に検討してください。

  
④あなたにふさわしいのはどのタイプ?今どきお墓事情

教えてくれたのは…

シニア生活文化研究所所長 小谷みどりさん

第一生命経済研究所を経て、’19年から現職。著書に『お墓どうしたら?事典』(つちや書店)、『没イチ パートナーを亡くしてからの生き方』(新潮社)など。

鎌倉新書「いいお墓」担当 藤田吉雄さん

お墓の基礎知識から全国の墓地情報まで提供する、日本最大級のお墓検索サイト「いいお墓」(https://www.e-ohaka.com)担当。

お墓事情

友人とともに墓地ツアーに参加するアラフィー世代も

ひと昔前までは、お墓=縦長の墓石に苗字を刻んだ家墓が一般的だった。ところが今は、ユニークな形状やメッセージを刻んだお墓が珍しくなくなり、樹木を墓標とする樹木葬や、屋内に遺骨を収納する納骨堂など、選択肢がぐっと増えた。

 
「お墓の種類が豊富になったこともあり、早い段階で、自分たちのお墓について検討するかたが増えています」と指摘するのは、お墓の情報を幅広く提供している「いいお墓」の藤田吉雄さん。

 

「昔は、必要に迫られて探しているかたのご相談が大半でしたが、ここ数年は、将来に備えて今から準備しておきたいというかたが目立ちます。特に、読者世代の女性からのお問い合わせが多いですね。女性のかたが、ご自分の人生の締めくくりについて、真剣に考えていらっしゃるような気がします。当社では、樹木葬や納骨堂など、いろいろなお墓を組み合わせたお墓見学ツアーを年に数回開催していますが、それに、女性のご友人と参加されるかたも珍しくありません。“墓友”という言葉もあるくらいです」

 
墓友!?それほどまで、お墓が気軽で、オープンな存在になっているとは! お墓で肝試しなどされていた時代を知る身としては、隔世の感がある。

 

「実際、樹木葬の墓地などは、たくさんの種類の花が植えられていて、さながら公園のようですしね。お参りにいらっしゃるかた自身も、癒されたり、リフレッシュできたりするようです」

お墓事情

心と時間に余裕があるうちに家族で話し合っておくと安心

樹木葬や納骨堂など、新しいお墓のかたちが支持されているとはいえ、それは大都市圏にかぎったこと。地方では、まだまだ伝統的な家墓が選ばれているのだろうと思いきや、「最近は、家墓を閉じて、納骨堂に引っ越しするケースも増えているんですよ」と、小谷さん。
 

「もともと土地に余裕がある地域では、広い区画に、大きくて立派な墓石を建てる家墓が主流でした。ということは、お供えするお花もそれなりに多くなければいけないですし、お掃除も手間がかかります。しかも、周辺に親族が住んでいたり、一族のお墓が隣接していたりで、まわりの目も気にしなければなりません。そうした負担から解放されたいと思う人が増えてきたのでしょう」
 

確かに、供花があがっていなかったり、お墓が汚れていたりしたら、ご近所から「あの家は、ご先祖さまをないがしろにしている」などと陰口をたたかれるのは、容易に想像できる。その点、納骨堂であれば、供花や掃除の心配はない。そもそも参拝したかどうかを周囲に知られること自体なさそうだ。

 
「立派な家墓が維持できたのは、世話をする遺族が多かったからこそ。少子化、核家族化がすすむ現代には、そぐわなくなってきているのでしょう。散骨したり、手元供養するなど、お墓をもたないという選択をする人が増えてきたのも、自然な流れだと感じます」(小谷さん)

 

もっとも、読者の親世代だと、昔ながらのお墓にこだわる人もいるだろう。その場合、お墓の成り立ちを説明することから始めるのが得策。正しく認識してもらったうえで、一緒に墓地の見学などをすれば、案外すんなりと受け入れてくれる可能性も。

 
「従来のしきたりに縛られず、現代に生きる私たちだからこそのベストなお墓を選んでほしいですね」(小谷さん) 

 

「家族が亡くなると、葬儀や相続、家の片づけなど、お墓以外にもすべきことが多々あります。また、新たに購入するとなると、永代使用料や墓石代など多額の費用がかかるケースもありますし、毎年支払う管理料にしても、お墓の種類や墓地によって大きく変わってきますからね。遺族の負担を軽くするためにも、お墓のことは、家族で早めに話し合っておくのがおすすめです。時間と心に余裕があれば、じっくり検討することが可能。本人もご遺族も、きっと満足するお墓になると思いますよ」(藤田さん)

【購入したお墓の種類】

【購入したお墓の種類】
「第11回お墓の消費者全国実態調査 2019年」(鎌倉新書)より
メディアで取り上げられるなど、数年前から注目を集めてきた樹木葬が、一般墓を抜いてトップに! 特に女性の支持が高いとか。すがすがしく、明るいイメージに加え、リーズナブルな価格も人気の理由。

【お墓選びで重視したことベスト5】

【お墓選びで重視したことベスト5】

1位:お墓の種類 43.4%

2位:自宅から霊園までのアクセス 17.3%

3位:金額 16.3%

4位:ペットと一緒に入れる区画があること 5.0%

5位:園内の管理状況 3.6%

一般墓も、従来の和風タイプだけでなく、モダンなデザインのお墓が増え、樹木葬も、庭園型や公園型など複数種類があるためか、「お墓の種類」が1位に。昨年はランク外だった「ペットと一緒に」が4位に入ったのにも注目。

 

【永代供養墓を選ぶ理由】(複数回答)

【永代供養墓を選ぶ理由】
新しくお墓を建てるケースでは「永代供養墓」を選ぶ人が急増。子供の有無にかかわらず、残された遺族に管理の面倒をかけたくないと考える人が多いよう。

 
④お墓のタイプとお墓を選ぶ5つのポイント

お墓のタイプは4つの組み合わせで決まる!

多種多様なお墓があるものの、どれも4つの要素の組み合わせで成り立っている。項目ごとに自分の希望するものを選んでいけば、最適なお墓が導きやすい。例えば、「子供には継がせたくない」「夫婦だけでOK」「宗教不問で、できるだけ安価に」「納骨堂がいい」という場合は、「自治体運営の納骨堂で、夫婦用の永代供養墓」という具合。

お墓のタイプは4つの組み合わせ

・承継の有無:承継、永代供養

・誰と入るか:夫婦のみ、家族のみ、友人…

・お墓の形状:墓石、樹木、納骨堂

・経営・運営母体:宗教法人、民間、自治体

 

お墓選びの5つのポイントはこれ!

【1】お墓のタイプ 

昔ながらの一般墓だけでなく、納骨堂や樹木葬など、さまざまなタイプのお墓があり、さらに経営母体も、寺院や民間、公営と、大きく3つに分かれている。故人の希望を尊重するのはもちろん、それぞれのメリット・デメリットを比較し、家族も納得できるものを慎重に選んで。

【2】交通アクセス・立地 

お墓は、建てたあとも、お参りなど定期的に足を運ぶ必要がある。となると、気になるのがアクセスや立地。交通の便はよいか、最寄り駅と墓地までの道は平坦か、駐車場は整っているかなど、細かくチェックを。お参りする人が高齢になったときのことを想定して、検討するのが安心。

【3】周辺の環境

近くに工場がある、商業施設が隣接している、幹線道路に面しているといった墓地だと、騒音などが気になって落ち着いてお参りできないことも。また、地盤がゆるい土地に建っていないか、氾濫のおそれがある河川が近くにないかなど、自然災害の危険についても調べておきたい。

【4】園内の設備・施設・管理状況

法要施設の有無や、休憩所、会食所など、利用が想定される施設とともに、お花やお線香、水や手桶が用意されているかどうかなども確認しておくのがベター。特に、管理体制は重要なポイントのひとつ。掃除が行き届いているかなど、実際に現地に赴き、自分の目で確かめて。

【5】費用・価格

お墓の主な費用は、「永代使用料」と「墓石代」「管理料」。その金額は、お墓の種類や経営母体、立地などによって大きく異なる。特に管理料は、お墓を使用している間は毎年支払うものなので、承継者に負担がない金額内に収めるのがおすすめ。

 
今人気のお墓のかたち
<樹木葬><一般葬><屋内墓><納骨堂><海洋散骨からペット供養まで>

教えてくれたのは…

シニア生活文化研究所所長 小谷みどりさん

第一生命経済研究所を経て、’19年から現職。著書に『お墓どうしたら?事典』(つちや書店)、『没イチ パートナーを亡くしてからの生き方』(新潮社)など。

鎌倉新書「いいお墓」担当 藤田吉雄さん

お墓の基礎知識から全国の墓地情報まで提供する、日本最大級のお墓検索サイト「いいお墓」(https://www.e-ohaka.com)担当。

 
⑤今人気のお墓のかたち<樹木葬>

樹木を墓標としたリーズナブルなお墓「樹木葬」

人気上昇に伴って、墓地数が増えている樹木葬。でも実は、樹木葬に明確な定義はないのだとか。

「しいていえば、墓石のかわりに木や植物を墓標にしているお墓ということでしょうか。墓地の立地と環境によって、里山タイプ、公園タイプ、庭園タイプに分けることもありますが、こちらも厳密な基準があるわけではなく、名乗り方は墓地しだいというのが現状です」(藤田さん)

「1999年、岩手県一関市の寺院が、墓地として認められている雑木林の中に遺骨を埋蔵し、目印として花木を植えました。これが、日本初の樹木葬といわれています。ただ、現在、こうした方法をとる墓地はごくまれ。お墓ひとつにつき1本の木となると、広大なスペースが必要になりますから。特に都市部では、もともと墓地だったところに、樹木葬エリアを設けるケースが大半。なので、必ずしも、豊かな自然に囲まれているとはかぎらないんですよ。また、自然に還るというイメージがあるかもしれませんが、火葬した遺骨は完全に土に還るわけではないことも理解しておいてほしいですね」(小谷さん)

樹木を墓標としたリーズナブルなお墓

墓標となる樹木は、墓地によって異なり、シンボルツリーと呼ばれる大樹の場合もあれば、街路樹や花壇を利用するところも。お墓にしても、木のまわりに1体分の納骨スペースが並ぶ集合タイプに、しっかり区画が区切られた個人墓タイプ、ほかの遺骨と一緒に納められる合葬墓タイプなど、複数あるそう。

「タイプによっても異なりますが、シンプルでコンパクトなお墓が多いので、一般墓を新たに建てるよりは費用が抑えられると思います。墓地側が用意したプレートを利用するケースもありますしね。また、基本的には永代供養で、お墓を継ぐ承継者が不要という点も、支持されているようです」(藤田さん)


「植樹の場合、将来木が枯れる危険性もあります。そうなったときに植え替えはしてくれるのか、費用はどうするのかなども、墓地側に確認しておくと安心です」(小谷さん)

 <メリット>

●墓石を建てるのに比べると費用が安く抑えられる

●永代供養が基本なので、承継者が不要

●夫婦墓、個人墓、合葬墓など、さまざまなタイプがあるので、自分に合ったものを選びやすい

<デメリット>

●植樹の場合、将来木が枯れてしまう危険性がある

●合葬墓の場合、あとで遺骨を取り出すことができない

●里山タイプは、アクセスが悪いことも

●寺院内だと、法要はお寺の宗派でなど規則がある場合も

<価格帯>

価格帯約60~80万円

立地やお墓の種類にもよるが、一般墓と比べるとリーズナブル。また、通常は個人墓より合葬墓のほうが安い。

 

樹木葬のスタイルは大きく分けてこの3つ

 里山タイプ 

山間部や森林など、いわゆる“里山”に位置。敷地が広大なので、ひとつのお墓に対して1本の木を植えている墓地もある。自然豊かな半面、交通の利便性は今ひとつの場合も。敷地内にアップダウンがあることも多いので、高齢者が利用しやすいかどうか要チェック。

人気のお墓 里山タイプ

 公園タイプ 

そこかしこに木々や花々が植えられ、公園のように整備された墓地。墓地内の一区画を樹木葬エリアとして整備しているところが大半。1~数本のシンボルツリーを植え、周囲に納骨するタイプが主流だが、なかには、区画ごとに異なる木や花を植えるところもある。

人気のお墓 公園タイプ

 庭園タイプ 

霊園や寺院の墓地などの一角に、シンボルツリーや花木を植えたタイプ。街路樹沿いなど、墓地内の道を利用して設けるケースもあり、省スペースの都市型樹木葬ともいえる。基本的には樹木葬は宗教不問だが、寺院内にある墓地の場合、事前に確認するのが安心。

人気のお墓 庭園タイプ

気になるお墓を拝見!横浜市営墓地 メモリアルグリーン

昨年、家族を亡くし、リアルにお墓探し中の本誌編集J。樹木葬というと木や花のそばに埋蔵するというイメージだけど、実際のところはどんな感じ? どうお参りするの?

横浜市営墓地 メモリアルグリーン

木が植わるマウンドの土中に合葬

「芝生型」「合葬式慰霊碑型」など、3つのスタイルの納骨施設があるメモリアルグリーン。「平成14年に行われた市民アンケートの結果、ニーズが多様化していること、近郊都市の比較的新しい墓地が芝生型や集合型などを採用していることを参考にしました」と横浜市健康福祉局環境施設課の担当者。ケヤキ、クスノキ、ヒメシャラの3種のシンボルツリーがある「合葬式樹木型納骨施設」は骨壺を土中に直接埋蔵、手前にある献花台で参拝するスタイル。

木が植わるマウンドの土中に合葬
シンボルツリーや低木、芝、花などで覆われたマウンド上の区画に1カ所で1000体分、計3000体を収蔵。自然の中に眠り、土に還るといったイメージを実現させるため、骨壺を直接埋蔵に。管理者が行うため納骨立会は不可。
シンボルツリーや低木、芝、花などで覆われたマウンド上の区画に
シンボルツリーや低木、芝、花などで覆われたマウンド上の区画に
花と緑に囲まれ、なんともさわやかで開放的! 使用者以外にも近隣のかたが散歩やジョギングに訪れ、花の開花時期には絵を描きにくるかたもいるそう。
花と緑に囲まれ
花と緑に囲まれ
「芝生型」はA3用紙くらいの大きさの四角いプレートが墓標。1区画に6体程度埋蔵可能。「合葬式慰霊碑型」は地下の納骨施設内の棚に骨壺を収蔵。手前にある献花台で参拝。
「芝生型」はA3用紙くらいの大きさの四角いプレートが墓標
「芝生型」はA3用紙くらいの大きさの墓標

 
⑥時代に合わせて進化を遂げる<一般葬><屋内墓>

<一般葬>オリジナリティあふれる唯一無二のお墓も可能

一般墓
さまざまなタイプのお墓が登場したことで、私たちが古くからなじんできた、専用の区画に家ごとに墓石が建てられたお墓を、「一般墓」と呼ぶように。承継を基本とするため、お墓を購入する際、永代使用料を支払うことになる。


「これは、お墓の土地を使用する権利=永代使用権を得るための費用。もっとも、この場合の“永代”は永遠ではなく、『使用者の代が続くかぎり』という意味で、代が途切れてしまったら権利を返さなくてはいけません。ただし、新たな承継者を立て、速やかに名義変更して、年間の管理料を納めれば、永代使用権は持続できます」(小谷さん)


「一般墓は、割り振られた区間を自由に利用できるので、オリジナルの墓石を建てることが可能です。最近は、横型をはじめ、モダンな形状の墓石に、苗字ではなく、メッセージや漢字一文字といった好きな彫刻を施すケースも増えてきました。もっとも、墓石のデザインに制約がある墓地や霊園もあるので、事前に確認する必要がありますが」(藤田さん)

特に、寺院墓地は、従来タイプのお墓を指定されるケースが珍しくない。宗旨・宗派不問とされている場合でも、「ほかの宗教色を出してはいけない」といった暗黙のルールもある。公営墓地の場合も、墓石の大きさが決まっていることが多いとか。
「最も自由度が高いのは、民間霊園でしょう。ハート形やガラス製のピラミッド形、故人の似顔絵を転写したものなど、個性豊かなお墓も多数見受けられます。私も審査に携わっているのですが、デザインコンテストもあるくらい、近年は、墓石の形状が多種多様になってきましたしね。お墓に個性を出したいなら、民間霊園を選ぶのも一案だと思います」(小谷さん)

一般墓のメリット

●家族や親族のための専用のお墓なので、故人の好きだった食べ物や花を供えるなど、手厚い供養が可能

●スペースに余裕があるかぎり、何人でも納骨できる

●オリジナルのお墓を建てやすい

一般墓のデメリット

●永代使用料や墓石代、年間管理料のほか、寺院墓地だと法要費用がかかる場合もあるなど、費用が高額になりがち

●承継前提なので、承継者がいないと無縁墓になることも

●草むしりや掃除など、家族で管理しなければならない

一般墓の価格帯

約150〜250万円

’19年の平均購入額は全国が約170万円、東京は約200万円(「いいお墓」調べ)。オリジナル墓石の場合、デザイン料や彫刻費が上乗せに。

 

<屋内墓>天候に左右されない快適な屋内で、一般墓同様のお参りができる

まだあまり多くはないものの、屋内に一般墓が並んだ墓地も登場。

「平屋ではなくビル型がほとんどで、納骨堂と同様、狭い土地に多くのお墓を設けるために考案された都市型墓地ともいえます。そのぶん、便利な場所に位置していることが多く、納骨堂と同様、『天候や季節に影響されない』『バリアフリー化が進んでいる』『セキュリティがしっかりしている』といったメリットがあります」(小谷さん)

屋内墓
「一般墓との違いは、屋外か屋内かということ。墓石にお水をかけたり、お花を供えるなど、一般墓と同じようなお参りができる施設もありますので、納骨堂に抵抗があるというかたにもおすすめです。また、屋内なので、雨風にさらされる心配がなく、お墓の管理も楽。管理者が掃除をしてくれる墓地もあります」(藤田さん)


 ただし、土地がないことから生まれた墓地のため、ひとつの墓が専有できる区画は、一般的には小さめ。大人数で参拝する場合は、多少きゅうくつに感じることもありそう。また、墓石のデザインがあらかじめ決められていて、オリジナリティを出すことができない場合も。費用は、屋外の一般墓よりは安価。
屋内墓

<メリット>

●アクセスがよい場所に立地

●天候や季節に左右されることなく、お参りできる

●バリアフリー化が進んでいる

●セキュリティ面も安心

●一般墓と同じような参拝ができる施設もある

●墓石の手入れが楽

<デメリット>

●自然を感じることはできない

●屋外の一般墓に比べると、区画が小さい場合が多い

●納骨堂に比べると、価格は高めの設定に

●あらかじめ墓石の大きさやデザインが決まっているケースが多く、個性を出せない

<価格帯>

約150~250万円

屋外墓とほぼ同額。ある程度のスペースが必要になるため、納骨堂に比べると高価格に。また、墓石をオリジナルでデザインするかどうかでも変わってくる。

 

 
⑦安い・近い・手間いらずで人気の<納骨堂>

駅近&ハイスペックで快適にお参りできる

 都市部に増えている納骨堂の中でも、ひときわ目立つのが、主要駅から徒歩数分という好立地のもの。なかには、寺院経営ながら、境内をもつ昔ながらのお寺ではなく、高層ビル内に位置しているものも。


「最近は、お墓の利便性が求められています。特に優先順位が高いのが、アクセスのよさ。そのため、都市部の駅に近いお墓のニーズが高まっているのですが、そうした場所に新たにお墓をつくろうとすると、横に広げるのはむずかしい。土地がありませんし、あったとしても地価が高いため、永代使用料が何百万円にもなってしまいますから。となると、解決策は“縦に広げる”しかない。由緒あるお寺が、ビルに建て替えて納骨堂を設けるのは、そうした理由もあるのです」と、小谷さん。


 もともと納骨堂は、遺骨を一時的に収蔵するための施設として、昔から存在していたもの。それが、近年、新しいスタイルのお墓として注目されるようになったのだとか。

「ロッカー式や自動搬送式など、複数のタイプがありますが、共通するのは屋内だということ。天候や季節にかかわらず、いつでも快適にお参りでき、バリアフリー化が進んでいて、高齢者にも安心です。また、自分たちで管理する必要がないことや、費用がお手ごろといったあたりも人気の理由でしょう」(藤田さん)

納骨堂

永代供養墓が主流なものの、ニーズの高まりに応じて、永代使用が可能な納骨堂も登場。永代供養にしても、最初は遺骨を個別に安置し、3年や13年など規定の期間が過ぎると合葬されるタイプもあれば、最初から合葬のタイプも。遺骨を安置する区画も、個人用、夫婦用、家族用など、複数の選択肢が用意されている。


一般的には、合葬タイプが最もリーズナブルで、次いで個人用、夫婦用、家族用と続く。

「法事が行える施設を併設していたり、広い休憩室があったりと、納骨堂それぞれに特徴があります。費用やアクセスだけでなく、設備・サービスを含めて検討することをおすすめします」(藤田さん)

<メリット>

●屋内のため、いつでも快適にお参りができる

●バリアフリー化されていて、高齢者も安心

●遺族が管理する必要がない

●一般墓に比べると費用が安い

<デメリット>

●屋内のため、自然を感じることができない

●従来のお墓になじんでいる世代から理解を得られないケースもある

●故人の好物や好きだった花を供えるのは基本的には不可

<価格帯>

約50~100万円

立地に加え、個人型か家族型か合葬型かなどタイプによって変動。有名寺院だと200~300万のケースも。

 ▼納骨堂のスタイルは大きく分けて4つ 


<ロッカー式>

ロッカー内に骨壺を納めるタイプで、ロッカー前でお参りする場合と、堂内に参拝用の本尊が設置され、そこで行う場合がある。位置によって費用が異なるケースも。お参りしやすい、目線に近い位置は価格が高め、一番下や一番上は価格がやや低めに。

納骨堂 ロッカー式
東京都・正福寺納骨堂 彼岸殿 Ⓒ鎌倉新書

<仏壇式>

仏壇タイプの納骨壇が並んでおり、「霊廟(れいびょう)型」とも呼ばれる。位牌を安置する仏壇がある上段と、骨壺を納める下段に分かれているのが一般的で、遺影や花を飾ることも可能。納骨堂の中では比較的高価で、100万~200万円が相場。

納骨堂 仏壇式
愛知県・万松寺納骨堂 氣昇閣 Ⓒ鎌倉新書

<位牌式>
本尊などの周囲に位牌を並べた納骨堂で、仏壇と納骨堂、両方の機能をもったものともいえる。遺骨は別のところに納められるケースが大半だが、なかには位牌と一緒に置けるところも。費用は納骨堂の中で最も手ごろで、30万~80万円ほど。

納骨堂 位牌式
愛知県・万松寺納骨堂 阿弥陀堂 Ⓒ鎌倉新書

<自動搬送式>
参拝ブースでタッチパネルなどを操作すると、バックヤードに納められていた骨壺や位牌が自動で搬送されてくる。遺影がスクリーンに投影されたり、故人が好きだった音楽が流れることも。入退館もコンピュータで管理されているため、セキュリティ面でも安心。

 

 
⑧50代の注目度が高い<海洋散骨からペット供養まで>

<海洋散骨>はセレモニー要素大で「お墓はいらない」という人からの支持率高し

 エクラ読者からも希望が多かったのが、パウダー状に砕いた遺骨をまく「散骨」。陸地の場合、許可された場所に限定されるため、「海洋散骨」がポピュラーだ(海洋散骨のガイドラインを制定している自治体もある)。

海洋散骨
「お墓はいらないという人に人気がありますが、実際は、墓じまいの方法として選ぶ場合以外は、遺骨の一部は残しておき、手元供養や納骨堂に納めるケースが多いようです。後日参拝したいと思っても、遺骨がないと、どこに手を合わせればよいかわからなくなってしまいますから。お墓は、いわば遺(のこ)された人のためのもの。自分の死後散骨を希望する場合も、家族の意見には耳を傾けていただきたいですね」(小谷さん)


海洋散骨の主な方法は、業者に遺骨を預けて散骨してもらう「代行散骨」、複数の遺族が同乗して行う「合同散骨」、ひと家族で船をチャーターする「チャーター散骨」の3つ。

「チャーター散骨は、散骨場所に着くまでに喪主のスピーチがあったり、同乗者が水に溶ける紙に手紙を書いて散骨時に一緒に流すなど、セレモニーも可能。法要クルーズなどもあり、新しい弔い方として認識されつつあります」(藤田さん)
50代の注目度が高い「海洋散骨」
50代の注目度が高い「海洋散骨」

東京湾を中心に全国の海で海洋散骨プランを実施する「ブルーオーシャンセレモニー」(blueoceanceremony.jp

<メリット>

●承継者が不要

●費用が抑えられる。業者に代行散骨してもらう場合などは数万円で済むことも

●年間管理料など、お墓の維持費がかからない

●お別れの儀式など、セレモニーも同時に行える

<デメリット>

●手元供養などとの組み合わせで、分骨して一部残すのではなく、全骨の海洋散骨を選択した場合、遺骨が残らない

●天候や波の状態によっては船を出すことができない

●船酔いの心配がある

<価格帯>

8万円程度〜

粉骨のみだと3万円程度から。他者と乗り合いになるか、親族でチャーターするかのほか、オプションの有無や内容によっても異なるため、上限額の目安はなし。

 

故人を身近に感じる<手元供養>は承継者問題の解決策としても注目

「遺骨の一部もしくはすべてを自宅に安置する手元供養は、昔から行われていました。法律上、遺骨を納められるのは墓地のみですが、自宅に安置するぶんには問題ありません。ただ、以前はお墓をもっている人たちが、『故人を身近に感じたい』という思いで、遺骨の一部を手元供養するケースが多かったと思います。でも最近は、お墓をもたないための選択肢のひとつとしてとらえられているようです」(小谷さん)

手元供養
手元供養の普及に伴って、骨壺も、装飾が描かれた小物入れタイプやゴルフボールのようなユニークな形状のものなど、リビングなどに置いておいても違和感のないデザインのものが増加。また、遺骨をロケットペンダントに入れるなど、身につけられるかたちで供養する方法もあり、遺骨をほかの石と一緒に溶解して人工宝石に変え、ペンダントやリングを作製することも可能だという。

「承継者がいないかたが、家族を手元供養にし、自分の死後は、それらの遺骨と合わせて海洋散骨を希望するというケースもあります」(藤田さん)

 選択肢がぐっと増えたお墓事情。メリット・デメリットをしっかり検討し、最適なものを選びたい。
手元供養

「手元供養サロン TOMONi」(https://www.towani-tomoni.com/)では遺骨を樹脂で硬化して作るネックレス(右/K18YG、K18PG ¥86,000〜)やリング(左/K18YG、K18PG ¥149,000〜)などを多く扱う。

<メリット>

●故人を身近に感じられる

●お墓参りに行く必要がない

●お墓を建てなくて済むぶん、費用が抑えられる

●承継者問題の解決策としても活用できる

●遺骨を分散できるので、親族それぞれが手元供養することも可能

<デメリット>

●アクセサリーにした場合、紛失する危険性がある

●供養していた人が亡くなったあとはどうするか決めておかないと、遺族間でもめる可能性も

●「納骨しないと成仏できない」と考える人もいるなど、理解を得られないケースもある

<価格帯>

約3000円~50万円

骨壺は、材質やデザイン、大きさによって数千円~数万円、ロケットペンダントは1万円~10万円が相場。遺骨ダイヤモンドは比較的高く、数十万円にも。

 

思い出の地に眠る<リゾート葬>を選ぶ人も増えています

リゾート葬
お墓は、自分たちが住んでいるエリアか出身地というのがスタンダードだったが、最近、そのどちらでもない場所にある永代供養墓を選ぶ人も。「故人が大好きだった富士山を望む霊園や、家族でよく訪れた湘南の海沿いの墓地、別荘がある軽井沢にたたずむ墓地など、リゾートエリアが多いですね。ですので、私たちはそれを“リゾート葬”と呼んでいます」(藤田さん)。

たとえ自宅からは遠くても、家族でよく訪れたなじみのある場所ならば、お墓参りに出かけるのに抵抗はなさそう。むしろ、故人を懐かしみつつ、思い出の地を満喫できて、家族の絆がいっそう深まるかも!?

愛するペットと入れるお墓を探す人が急増!気になる最新お墓事情

ペット埋蔵可のお墓
「ここ数年、ペットと一緒に入れるお墓を希望されているかたが増えています。まずはペットの遺骨を納め、その後ご自分たちが、という流れが多いですね」(藤田さん)。

そうしたニーズに応え、一般の墓地でペットの埋蔵を受け入れるところが登場。しかも、飼い主とペットが同じお墓に入れる墓地もあれば、人間用のお墓とは別にペット用の合葬墓を用意しているところや個別墓を設けているところなど、タイプもさまざま。納骨堂や樹木葬でもペット可の墓地が見られるようになってきた。

「散骨用にペットの遺骨を粉砕するサービスを行っている墓地や業者もあります」(藤田さん)。
ペット埋蔵可のお墓
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