倉田真由美さんが語る、アラフィー女性の肌と心を癒す「化粧水でのお手入れ方法」

使っていない人はいない、というくらい、日本女性なら誰もが大好きな化粧水。感触や香りを吟味し、何を選ぶかも大切だけれど、アラフィー世代にとっては、どう使うかも大切。大人になった今こそ実践したい「化粧水でのお手入れ方法」を、美容ジャーナリストの倉田真由美さんが語ります。

“化粧水を使う、というプロセスは、大人の肌と心を癒す最上級の美容法”

ー倉田真由美

究極の“自己愛”化粧水
さっとつけて終わり――。簡単で合理的なお手入れがいい、と思っていたときもあった。利便性こそが正義と信じて疑わなかったこともある。けれど、手早くできてしまうなんて、実は味けないことなのかもしれない、と思うようになった。自分と向き合い、生きていることを確かめるようにスキンケアをすることは、大人になった今だからこそできること。そして、私たち日本人の嗜好性に最もフィットする化粧水なればこそ、化粧水を使う、というプロセスそのものを楽しむこともできるはず。

例えば、みずみずしさの中にわずかなとろみのある化粧水なら、手のひらに直接とり、ゆっくり肌全体を包み込んで。保湿と角質ケアが同時にできるハイブリッド機能をもつ化粧水なら、コットンにたっぷり含ませ、肌の上を優しく滑らせながらなじませる。ここ最近、人気を集めているミストタイプの化粧水は、顔から少し離して、ふわっと霧を広げ、顔と髪に浴びるように。いずれも目を閉じ、ゆっくりとした動作で、それぞれの心地よさを五感で感じ取るようにしてみる。手のひらやコットンの感触、香り、化粧水そのものの存在……。肌が喜ぶだけではなく、気持ちや感性までがみずみずしく潤い、クリアになっていくような気がするから侮(あなど)れない。

元来、私たち人間には、子供やペットなど、何かをかわいがりたい、という本能と、誰かからかわいがられたい、という本能の両方がある。気持ちをこめたていねいなスキンケアは、そのどちらの欲求も満たしてくれる最上級の習慣。自分の肌を愛(め)でることにより、自分が愛されていることを感じられ、肌も気持ちも満たされる。脳からは幸せホルモンと呼ばれるオキシトシンが分泌され、血流や代謝が本来あるべきバランスに整っていく。

お気に入りの化粧水を使いながら、鏡の中の自分に声をかけてみるのもいい。「今日もがんばったね」「肌の調子、なかなかいいじゃない」。自分に対する労いやほめる言葉を声に出すことで、脳がそれを認知。肌にも体にもいい影響が及ぼされるといわれている。

自己愛というと、自分好きのナルシストのようでもあり、気恥ずかしくも感じる。けれど、自分を大切にすることほど前向きなことはない。長い間、がんばってきた肌だもの、これからは、うーんとかわいがり、いたわってあげよう。丹精こめてつくられた選りすぐりの化粧水が、大人の女性ならではの自己愛を優しく、力強く後押ししてくれる。
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