「これまではラストが悲劇的な作品が多かったので、愛と許しで幕を下ろすこの作品を楽しんでいます。俳優にとってあるひとつの作品だけが特別ということはないと思いますが、それでも再演舞台に出られることは、どれほど光栄で幸運なのだろうと実感する日々です。公演中は水を飲むタイミングひとつでさえ、すべての日常が舞台中心。筋力トレーニングとストレッチをして、常に最高の状態をつくる努力も欠かせません。ただ、なんといっても最高の管理法は“沈黙”。のどを守るため、言葉を発しないように気をつけています」
そんな徹底した自己管理で臨む彼の、歌手としての舞台も評判だ。特に日本では、’19年から2年続けて開催したマイクレスによるクラシックコンサートがファンの間で話題となった。
「日本のファンのかたがたは、いつも劇場に足を運んでくださり、韓国まで見にきてくださることも。皆さんとの交流が、今とても恋しいですね。コンサートとミュージカルでは、違いを見せようとしたこともありましたが、今は自分をありのままに表現しようと心がけています。違いがあるとすれば、コンサートでは自分の声を聞くようにしますが、ミュージカル舞台では相手の声に耳を傾ける、ということでしょうか」
今は誰にとっても大変な時期だが、舞台から降りた彼はそんなときをどのように過ごしているのだろう。
「ふだん考えすぎてしまうタイプなので、テニスや水泳、筋力トレーニングなど、体を使う時間もつくろうと考えています。読書も楽しみのひとつ。今のような危機の時代には基本に立ち返る努力が必要とされるでしょうから、俳優として体を管理し、今後に備えて常に勉強を怠らないようにしたいですね」