チョン・ヘインの底なしの甘辛沼にハマる『スノードロップ』【見ればキレイになる⁉韓流ドラマナビvol.21 後半】

エクラの美容記事でもおなじみのライター・山崎敦子がお届けする韓流ドラマナビ。21回目の今回は、人気俳優チョン・ヘインと、ドラマ初挑戦となる世界的アイドルグループBLACKPINKのジスが共演のメロドラマ『スノードロップ』をご紹介!
スノードロップのチョン・ヘインとキム・ジス
イム・スホ役のチョン・ヘイン(左)とウン・ヨンロ役のキム・ジス  © 2021 Disney and its related entities

監督、脚本家、脇を固める俳優陣……、すべての力量がスゴイ!

 民主化運動高まる1987年を舞台に、チョン・ヘイン演じる北朝鮮のスパイ・スロとドラマ初挑戦となるBLACKPINKジスが演じる女子大生・ヨンロのイノセンスな極上メロドラマ「スノードロップ」。

 脚本と演出は、お受験ドラマで話題になった「SKYキャッスル」のチョ・ヒョンタク監督とユ・ヒョンミ脚本家。ドラマの主軸となるのは、もちろんスホとヨンロの穢れなきメロドラマではありますが、それと同時に、北と南のそれぞれのあきれ返るような思惑と駆け引き、女子大寮長の謎めいた行動、女子大生にはなれなかった寮の電話番ブノクの憤懣、与党ナンバー2の座を巡る争いと安企部幹部の妻たちのマウント応酬などなど、二人とは対極的ともいえるいくつものストーリーを複雑に絡み合わせながら進行していくという展開は、さすが再びタッグを組んだ監督と脚本家の力量ならでは。人の持つ欲望や浅ましさをコミカルに描き出しながら、幾重にも伏線を張り巡らせてスリリングに展開させるその巧みな手法で、より鮮烈に、より美しくスホとヨンロの物語を際立たせていきます。
 ユ・インナ(「トッケビ」)、ユン・セア(「SKYキャッスル」)、キム・ヘユン(「SKYキャッスル」「偶然見つけたハル」)、ホ・ジュノ(「キングダム」)、パク・ソンウン(「空から降る一億の星」)、キム・ジョンナン(「愛の不時着」)などなど、脇を固めるキャストも錚々たる顔ぶれ。その腹のさぐりあいや、敵味方が二転三転する目まぐるしいキャラ設定を絶妙にリアルに演じきる力量も見応え充分。
 そして、もちろん、主演のチョン・ヘインとジスです。そんな手練手管満載の脇役陣にびっしりと掘り割りまで埋め尽くされるなか、最初から最後までふたりの運命の行方に、観る人の興味をギューッと集中させる、一瞬たりとも途切れない主演の主演たるオーラ。
スノードロップのキム・ジス
世界的アイドルグループBLACKPINKのメンバーでもあるキム・ジス  © 2021 Disney and its related entities

ドラマ初挑戦のジスも芯の強いヒロインの存在感を発揮!

 ヨンロを演じるジスは、世界的人気を誇るガールズグループBLACKPINKのメンバーで、この作品がドラマ初挑戦。幼い頃に母を亡くし、野心バリバリの継母になじめず、安企部部長の娘という身分を隠して、ひとり勉学に励む初々しい女子大生ヨンロ。メロドラマにおけるヒロインの占める重要性はかなり高いかと思われますが、真っすぐで清らかで、そして内には芯の強さをも秘めたヒロイン像として、この役を違和感なくナチュラルに映し出したジスの存在は、あまり期待していなかった私にとっては、ちょっとした驚きでもありました。とにかくめちゃくちゃ可愛いし、全ての表情に品がある。韓国ではジスの声や発声へのダメ出しもあったようですが、その鼻にくぐもるような声のたどたどしい未熟さにヨンロの無垢が重なっているようにも思えるほど。
 そして、言わずもがなのチョン・ヘインです。昨年の超話題作ドラマ「D.P.」ジュンホ役の硬派な表情で、人をとろけさせるような笑顔だけでない新たな魅力を存分に見せてくれた彼。今回は、表向きはベルリン大学経済学部大学院生で、実は北朝鮮の工作員という、聞くだけでゾクゾクしてしまいそうな役設定。

 工作員のリーダーとしてのカリスマ性あふれるタフな肉体と精神と、愛するものを守ろうとする迷いのない行動力と、そして、ヨンロに注がれる柔らかな視線と優しさと。それぞれに全く異なる表情を次々と繰り出すチョン・ヘインに、見始めたらもう最後、彼の底なしの甘辛沼にズブズブと溺れる以外に、もはや手立てはありません。
 さてさて、結ばれるにはあまりにも超えなければならないハードルが多すぎるスホとヨンロ。はたして二人にハッピーエンドは訪れるのか。己を犠牲にしてでも守りぬきたい想いが貫かれるというのは、メロドラマの王道。感情の起伏をこれでもかと揺さぶり続けるそんなメロドラマの極上の醍醐味を、好きな人はもちろん、苦手派も(=私)、たっぷりと堪能できる全16話。

 韓国では制作サイドの意図とは異なり、歴史歪曲問題として大きく取り沙汰されたことでも話題となったこの作品。当事国でないだけに、自分ごととしてその問題を体感できない私たちではありますが、これを機に、改めて韓国の現代史を紐解きながら、現在の韓国の礎ともなった民主化運動という歴史の真実を深堀りしてみるのもいいかもしれません。

『スノードロップ』 ディズニープラス「スター」で日本独占配信中

https://disneyplus.disney.co.jp/program/snowdrop.html

山崎敦子

山崎敦子

旅行記事に人物インタビュー、ドラマ紹介、実用記事から、着物ライターとさまざまな分野を渡り歩き、今では美容の記事を書くことも多くなったさすらいのライター。襲いかかるエイジングと闘いながら、ウキウキすること、楽しいことを追い求め続ける日々を送る。

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