伝説のピアニスト・ブーニンさんの映画公開! 初日舞台挨拶へ【ウェブエクラ編集長シオヤの「あら、素敵☆ 手帖」#119】

伝説のピアニスト、スタニスラフ・ブーニンさんのドキュメンタリー映画が公開に。ケガと闘病、9年のブランクを経て復活された軌跡を追ったその映画の、初日舞台挨拶に伺いました。

ブーニン 映画初日舞台挨拶

以前この編集長コラムの連載50回目に、ピアニストのスタニスラフ・ブーニンさんについて書かせていただきました。

感動の再会に涙……。伝説のピアニスト、ブーニンさんのこと #50

ケガと闘病に伴う9年のブランクの後、見事に復活され、その後シオヤも2024年、2025年のコンサートへ足を運んでおりましたところ、約3年にわたりブーニンさんに密着取材を続けてきたNHKのドキュメンタリー番組が映画化されると聞いて、ひとりのファンとして大変楽しみにしておりました。そして公開日の2月20日、初日舞台挨拶としてブーニンさんご本人が登壇されるとの情報を得て、会場に伺いました。

ブーニン 映画初日舞台挨拶

会場の新宿の映画館で朝9時半からの1回目の上映が終わり、ブーニンさん、監督の中嶋梓さん、総合プロデューサーの小堺正記さんが舞台に登壇されました。ブーニンさん、杖をついていらっしゃいますが、変わらずとてもエレガントです。

ブーニン 映画 

映画『ブーニン 天才ピアニストの沈黙と再生』より

ブーニンさんは「こんなに大勢の方にいらしていただき、感謝いたします。こんなに大きなスクリーンで自分を見るのは、人生で初めてです」と笑顔で語り、自分のドキュメンタリーが映画になると聞いたときには「とても驚いて、思わず笑ってしまいました」と告白。
とてもエレガントですが、お話の端々にチャーミングなお人柄が垣間見えます。

ブーニン 映画

映画『ブーニン 天才ピアニストの沈黙と再生』より

総合プロデューサーの小堺さんは「テレビの放映後、非常に多くの反響があり、より広く記録、そして歴史としてブーニンさんの演奏を残したいと思いました」と劇場公開への想いを語り、音楽監修も務めたブーニンさんが、作品内の演奏はこれまでの中の選りすぐりのものを選んだことを説明。映画はブーニンさんの生い立ちからショパン国際ピアノコンクールでの優勝、そして旧ソ連からの亡命、日本人の奥様との結婚……といった軌跡から、闘病、復活、その後まで丁寧に描きだし、終始美しいピアノの旋律に彩られています。また映画後半には、昨年12月、シオヤもチケットを入手して行ったサントリーホールでの公演の様子も完全収録されています。

ブーニン 映画初日舞台挨拶

映画のネタバレ的なことを申し上げるつもりはありませんが……作品内でブーニンさんがショパンについて”最も偉大な亡命者”と語るシーンがあります。ブーニンさんも20代の頃に旧ソ連から、西ドイツへ亡命された経緯があり、舞台挨拶ではその点について、より深い思いを語られました。

「私にとってショパンは単に生まれ故郷を離れた”亡命者”ではありません。彼は、より広い世界へ出ていくために亡命という道を選んだ人だと思っています。そしてショパンの目的は世界を高尚なものにする、その一点にあったと思います。私はそこに連なりたい、その後を追いたいと思っております。そして皆さんと一緒に真剣にこの世界をどうしたら高尚なものにできるのか、音楽の美によってより高尚なものにできるのか。美しいもの、音楽の美と世界を一体化させられるのか。そんなことを考えて、私はショパンが最高の亡命者であると思っています。ショパンはそれを成し遂げた人で、私もそれに続きたいと思っています。」

より広い世界へ出て、世界を美しいものにしたい。これまでのブーニンさんの人生を思うと、その言葉の重さと純粋さがより心にしみいります。

ブーニン 義足

映画『ブーニン 天才ピアニストの沈黙と再生』より

登壇していた中嶋梓監督は、1985年のショパンコンクールから40年にわたりブーニンさんの音楽が支持され続けてきた理由について「どういうことなんだろう」と考え続けた3年間だった、と語ります。確かに……シオヤは当時14歳。アイドル的な人気をリアルに目にしていた世代ですが、それにしてもブランクを経て、ここまで長く聴衆を惹きつける魅力とは? 中嶋監督はブーニンさんが手と脚のケガに見舞われながらも「それでもなお、ピアノを弾き続けるという強い意志から、みなさんに何かが伝わればいいなと思います」と続け、さらに長い密着取材の中のエピソードも披露。

「ブーニンさんは日本語のヒアリングがほぼ完璧で、私がドイツ語を話せないこともあり、普段は日本語で会話していました。時代劇がお好きな影響か、お殿様が使うような言葉をよく使われて。”くるしゅうない””下がれ”といった言葉が飛んでくるんです」と話すと、ブーニンさんが「ちこうよれ」と返すやり取りも!

ブーニン 映画 初日舞台挨拶

ブーニンさんは「もしこの映画に意義があるとすれば、私が考えるに人生においてどんなことがあっても、自分自身の道を見失わないことではないでしょうか。その道を見失ってしまえば、それは自分自身を見失うことになるからです。自分に提示された道あるいは自分が決めた道というのを、いろいろな面において決して見失わないこと。その道から外れてしまわないこと。それが大事だと思っています。」と語り、中嶋監督も「自分の人生を生ききるとは、どういうことか、ということを伝えたかった」と続けます。
先行きの不安の多い世の中ですし、自分の人生について、50代になってもゆらぎを感じる人は多いと思います。シオヤもその一人ですが、信念をもって生きる人の強さを間近に見せていただいた感がありました。

さて、チャーミングなブーニンさんが「最後に一言」とマイクを向けられると、強い口調で「皆さまに、どうしてもお伝えしたいことがあります!」と話されます。
「どうか皆さん、お願いですから、脚を折ったり、手を怪我したり、関節を傷めたりすることのないように……それだけは、どうかお気を付けください。皆様が、これからも健康で、元気に過ごされますように!」
その瞬間、会場に笑顔と拍手があふれたのでした。

映画には、コンサートの収録のほか、85年のショパンコンクールを共にした小山実雅恵さん、ジャン=マルク・ルイサダさん、そして若き俊英ピアニストたち……桑原志織さん、反田恭平さん、亀井聖矢さんらも登場。また、ずっと一番近くでブーニンさんを支え続けた妻・榮子さんも、ブーニンさんへの想いを語ります。貴重な資料でもあり、感動のドキュメンタリーでもあり、映画館の美しい音響で楽しむべきライブ映画でもある……深い魅力を湛えたこの映画、ぜひ映画館でご覧になっていただきたいと思います。

ブーニン 映画

『ブーニン 天才ピアニストの沈黙と再生』

全国公開中
Ⓒ2026「ブーニン 天才ピアニストの沈黙と再生」製作委員会
配給:KADOKAWA
2026年/日本/111分/5.1ch/カラー

映画『ブーニン 天才ピアニストの沈黙と再生』公式サイト
ウェブエクラ編集長 シオヤ
ウェブエクラ編集長 シオヤ
50代女性のための雑誌&ウェブメディア「エクラ」のウェブ担当編集長。155cmのアラフィー。ビューティ・小柄担当多め。鈍感肌。盛ってます。

合わせて読みたい

おかえりなさい! パーク ハイアット 東京の内覧パーティに伺いました【ウェブエクラ編集長シオヤの「あら、素敵☆ 手帖」#115】
お茶に食材……50代、2泊3日台湾への旅で買ったもの【ウェブエクラ編集長シオヤの「あら、素敵☆ 手帖」#114】
卒業式や入学式などに着たい!50代に似合う春のセレモニー服【人気記事週間ランキングTOP10】
【韓国ドラマ】あなたならどうする?真実と嘘に揺れる「法廷ドラマ」5選

ranking

what's new

pick up

recommend

feature

recommend

人気のヘルスケア記事がWebエクラにお引越し! ウェルビーエクラSTART! eclat Gourmet&Voyage eclat Maison
”MYスタイル”にぴったりな服、見つけました! éclat premium2026年3月号特集 売れ筋ランキング Room no.8 for E by éclat 大人のための「春レース」誕生! クリーンカラーの春スニーカー