パリに長く住み、日々現地のおしゃれに刺激を受けているという雨宮塔子さん。4回に分けて、パリで出会ったおしゃれの発見を雨宮さんの書き下ろしエッセーとともにお伝え。3回目は、パリの肌見せの極意についてお話しします。
大胆な露出なのに、エレガント。パリの肌見せの極意とは
――文・雨宮塔子
肌を出すことって抵抗がありますよね。とくに私たちの世代は「二の腕を出したくない」「膝は出すべきではない」といったその人なりの服選びの基準や暗黙の了解があって、肌を出す、ましてやそれを楽しむことなんてあり得ないという空気があります。そうは見えないかもしれませんが(笑)、じつは私もそうでした。とくに職業柄、信頼性や清潔感が最も求められ、私もそれは大事にしてきたつもりですが、パリに長く暮らすうちに、それでも場によってはもっと自由にファッションを楽しんでもいいのでは?と思うようになったのです。
一昨年くらいからベアトップやチューブトップの流行で、肩や背中を出したスタイルをよく見かけるようになりました。とくにそれを30代以上の女性が上手に取り入れているのに目が留まります。ある結婚式に参列した時には、60代のマダムが“KHAITE(ケイト)”の胸の真ん中が切れ込んだ黒のベアトップの膝下ワンピースを着こなしているのに目が釘付けに。露わになった肩やデコルテの肌のハリはもちろん年相応のものでしたが、肌の露出が多いのに痛いどころかエレガントなのはなぜだろうと考えさせられました。
実際、フランス人が大事にするのはエレガンスです。周りのパリジェンヌを見ていても、華やかな会ではセクシーさも演出したいけれど、それが下品に転じないようにものすごく神経を使っています。そこが他の欧米と比較しても肌見せが圧倒的に素敵に見える所以なのではないかと。そしてその姿勢こそ、私たち日本人が参考にしやすいと思うのです。
ではどのようにすればエレガンスを保てるのか……。肌を出すなら他のセクシーさやフェミニンな要素は重ねないことに尽きます。たとえば肩やデコルテを出すなら、体のラインがはっきり出るものや、ミニ、レースや透けたヒールなどを同時に着用しない。色はシックな色を選ぶことくらいでしょうか。あとは個人的には、肌の露出が多い時こそ、姿勢や立ち居振る舞いに気をつけたいと思っています。
ジャケットをはおるときちんと感もあるセットアップ。旬のギャラリーには、ベアトップくらいの攻め感は欲しい。上下ともZARAのもので「チャレンジング(肌見せだけでなく、今回のようなすそを引きずるぐらいの長め丈も)なアイテムは、コストパフォーマンスのよいブランドで買うことが多いです」
今回の撮影場所は、フランスを代表する建築家ジャン・ヌーヴェルが設計したギャラリー。高い天井から自然光が入る広々とした空間に博物館所蔵レベルの名品が展示されている。テーブルはシャルロット・ペリアンとピエール・ジャンヌレ(1952)、椅子はジャン・プルーヴェの「メトロポール」(1950)。奥のパネルもプルーヴェ作品
上半身の肌見せが多いぶん、ネイルはナチュラルなベージュに。黒のアンクルストラップのサンダルで品よく仕上げて。こんな微調整がエレガンスへとつながる
今回の撮影は雨宮さんのお気に入りのギャラリーで。ジャン・プルーヴェとシャルロット・ペリアンによるウォールキャビネット(1952)とピエール・ジャンヌレデザインのデスク(1957 〜58)
一見すると黒い箱のようなギャラリーの外観。この扉の内側に、コレクター垂涎(すいぜん)の名品の数々が
バスティーユ界隈で1889年から続く「ギャルリー・パトリック・スガン」。20世紀のフランス人デザイナーの家具、特にジャン・プルーヴェ作品のスペシャリストとして世界的に有名
プルーヴェ、シャルロット・ペリアン、ピエール・ジャンヌレの1950年代の作品で構成されたコーナー
DATA
Galerie Patrick Seguin Paris
ギャルリー・パトリック・スガン
5 Rue des Taillandiers, 75011 Paris, France
☎︎+33(0)1・47・00・32・35 9:00 〜19:00 ㊡日曜