デザインは主張しないけれど、誰から見ても素敵に見える最上級の上質さがある「黒ジャケット」。“その日のための特別な一着”として持っていたい一着を紹介。
MIKAKO NAKAMURA
セミオーダーでかなえる気配まで洗練される逸品
セミオーダーメイドで、ていねいに時間をかけて仕立てられるノーカラージャケット。ミニマルなたたずまいをきわだたせるのは、最高品質の絹生糸と選びぬかれた梳そ毛もうウールを用いた二重織の逸品素材。ふっくらとした張りと美しい光沢を備え、構築的なフォルムをいっそう端正に描く。重厚な中にも漂う優美な雰囲気を深く刻む。
ジャケット¥308,000/ミカコ ナカムラ 南青山サロン(MIKAKO NAKAMURA)
JUN ASHIDA
改まった場所に映える実用にも長(た)けた信頼の一着
極上のシルクを思わせる、ハイエンドな質感のポリエステルクレープ。そのしなやかな落ち感が描くたたずまいは、このうえなく美しい。動きやすく、軽やかでしわになりにくいという実用性に加え、ほどよくシェイプされたシルエットが体をきれいに見せ、いつでもすきのない美しさを演出する。長時間のセレモニーや出張など、あらゆる場面でこれほど心強い一着はない。前身頃と袖、背中部分は上部のみ裏地をつけた背抜き仕立てで、オールシーズン着られるよさも。
ジャケット¥159,500/ジュンアシダ(ジュンアシダ)
最上級の礼節をまとう揺るがない信頼の一着
おごそかなセレモニーや重要なビジネス、家族の大切な節目など、求められる責任や立場が高まるのがエクラ世代。礼節と品位が問われる場面が増えるにつれ、等身大の延長にある黒ではどこかそぐわず、もの足りなさを感じるかたも多いのではないだろうか。成熟した今、必要なのは、装う人のたたずまいにふさわしい気品と品格を醸す、“その日のための特別な一着”だ。
注目したのは、日本人の体型を研究し、エグゼクティブやセレブリティの装いを知りつくした2つのブランド、「ミカコ ナカムラ」と「ジュンアシダ」。前者は最高品質の素材を原点に引き算の美学を貫き、セミオーダー
を基本として、生涯に寄り添う服づくりを行う。着る人のために作られた一着は、品格を内側からきわだたせ、柔らかく上品に華を添える。後者は“エレガント&プラクティカル”を軸に、半世紀以上もの間、培われたテクニックを駆使し、厳選された素材をもとに、プレタポルテで実用性の高い「マルチブラック」シリーズを展開する。深みある黒と極上の仕立てのジャケットは、まとうだけで気高さが生まれ、オフィシャルな立場において自信と余裕を与えてくれる。
場にふさわしい確かな黒をまとうことは、気くばりと敬意をかたちにすること。絶対を物語る一着は、自らの品格を成熟させる一助になってくれるに違いない。
撮影/渡辺修身(物) スタイリスト/古田千晶 取材・原文/松井陽子 ※エクラ2026年4月号掲載