40代・50代女性は絶対知っておくべき「ホルモン補充療法(HRT)」とは?

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更年期を迎え、閉経が近づくにつれて減少していく女性ホルモン。それに伴うさまざまな不調(更年期症状)に対して効果的な標準治療がホルモン補充療法(HRT)です。女性ホルモンの変化をめぐる「閉経マネジメント」を提唱する産婦人科専門医の吉形玲美先生に、40歳を過ぎたら知っておきたいHRTの基礎知識について教えていただきました。

【教えていただいた方】

吉形玲美さん
吉形玲美さん

産婦人科医、医学博士・大学病院で医療の最前線に立ち、女性医療・更年期医療のさまざまな臨床研究にも数多く携わる。女性予防医療を広めたいという思いから、インスタグラムでも発信。更年期、妊活、月経不順など女性の体のホルモンマネジメントが得意。

なんと77%以上の人がHRTを「知らない」「よくわからない」と回答

2025年2月に、OurAgeがホルモン補充療法(HRT)についてアンケートを実施したところ、634人が回答してくれました。回答者の平均年齢は52.5歳です。

「ホルモン補充療法(HRT)のことを知っていますか?」という質問に「知っている」と答えた人は3割以下の22.9%。
一方、「知らない」(39.1%)と「聞いたことはあるがよくわからない」(38.0%)と回答した人を合わせると、なんと77%以上という結果に。

また、HRTについて「実施中」「過去に実施した」と回答した人は7.4%でした。HRTは、実はまだ一部の人にしか知られていない現状があるようです。

HRTとは、更年期にエストロゲンの減少によって生まれる心と体のゆらぎを改善する治療です。

HRTの仕組みとはどんなものなのでしょうか。

「女性ホルモンのひとつである『エストロゲン(卵胞ホルモン)』は、40代から閉経の時期にかけて、その分泌量が乱高下し始めます。すると、自律神経のバランスが乱れ、更年期症状と呼ばれるさまざまな不調に見舞われます。HRTは、減少するエストロゲンの代わりに、同じ働きをする薬剤で補う治療法。エストロゲンの減少カーブをなだらかにすることで、心身の不調を少しずつ改善していきます」(吉形玲美先生)

HRTは基本的に、更年期に入ってエストロゲンの減少が確認された場合に使用しますが、女性ホルモンのゆらぎを整えるために、エストロゲンが完全に減少する前から使用することも。 また、女性ホルモンの減少に伴う骨密度低下の改善などにも効果が確認されています。

OurAge×Webエクラ HRTとは?

HRTが考慮される症状と期待される副次効果

⚫︎プレ更年期:40代前半(閉経前)
考慮される症状
・月経異常(周期の乱れ、過多月経、 過長月経)による不調

⚫︎更年期:40代後半〜50代後半(周閉経期〜閉経後5年ほど)
考慮される症状
・更年期障害 (特に発汗、ほてりなど。生活に支障が出るほどの更年期症状)

  期待される副次効果
・骨密度の低下を抑制(骨密度増加も)(※1)
・動脈硬化の予防(※2)
・性交痛や腟乾燥感の改善
・皮膚のシワ、たるみの改善
など

●ポスト更年期:50代後半〜(閉経後5年以降〜高齢期)
考慮される症状
・更年期世代からHRTを行っており、症状改善を維持したい場合

  期待される副次効果
・萎縮性腟炎、頻尿などの改善
・関節痛の緩和
・記憶力の維持

  など

  ※1:ポスト更年期の骨密度低下に対しては、HRTの実施ではなく骨粗しょう症治療薬の使用が一般的。
※2:ポスト更年期になると動脈硬化の始まっている人が増えており、その状態でHRTを始めると、血管の炎症や血栓症のリスクが高まる場合がある。プレ更年期、更年期からの継続使用を除いては、新規のHRT開始は推奨されない。  

ほぼ100%が「HRTをやってよかった」と回答

「HRTは更年期症状への対策だけでなく、女性ホルモンの欠乏に伴う骨密度低下の改善などにも効果を発揮します。
内服薬、貼り薬、塗り薬などタイプも豊富なので、気軽に始められる治療です
HRTで用いられる薬剤は、エストロゲンの減少を補うエストロゲン剤、子宮がある方には子宮体がん予防のための黄体ホルモン剤、両方が一度に投与できるエストロゲン&黄体ホルモン配合剤の3つがあります」

HRTの投与方法は「経皮投与」と「経口投与」の2種類。
エストロゲン剤について現在は、経口投与に比べて肝臓や胃腸への負担が少ない経皮投与が主流ですが、投与中に5〜7日の休薬期間を設ける「周期投与」を行う場合は、投与量の調整がしやすい経口投与のケースが多いそう。

ちなみに黄体ホルモン単独の薬剤は、すべて経口剤になります。

OurAge×Webエクラ HRT エストラーナテープ

HRTには、経皮投与と経口投与の2種類がある

⚫︎経皮投与:パッチを貼る、ジェルを塗る
皮膚から皮下の毛細血管を通って血液中に直接吸収されるので、肝臓や胃腸への負担が少ない。パッチの場合、かぶれやかゆみ、色素沈着などの皮膚症状が出る場合がある。経口投与に比べると、減量や投薬パターンの変更が煩雑。

⚫︎経口投与:錠剤を内服する
投与量を減らしたり、投薬パターンを変更したりするときなどに調整が簡単。ただし、経口剤は肝臓で代謝されるため、その過程で中性脂肪などの増加や血栓症のリスクが、経皮剤に比べてわずかながら上昇することが知られている。肝機能障害がある人には使用できない。

「患者さんのお話を伺っていると、HRTに不安を感じたり迷ったりしている方の多くは、具体的な理由があるというよりも、漠然と“なんだか怖いもの”と捉えているように感じます。
ですが、HRTについてご説明し、きちんと理解したうえで治療を始めると、ほぼ100%の方が漠然とした不安や薬に対する恐怖から解放され、『やってよかった』というお声もいただきます。
HRTは“怖いもの”ではなく、更年期やその後のポスト更年期に移り変わる時期を快適に過ごすための選択肢のひとつとしてとらえてほしいと思います」

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イラスト/sino 取材・文/国分美由紀
初出:OurAge 2025/5/20

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