体調不良、気力や体力の減退、美容面での衰えに加えて、家庭や周囲にさまざまな課題が噴出。誰にも訪れるものとわかってはいても、受け入れがたいのが更年期だ。しかし、それを変化の機会と捉え、前向きに歩み出した人がいる。テレビドラマや舞台、バラエティーに出演している俳優・羽田美智子さん。心身の困難を克服し、今、大人年代を伸びやかに過ごす人は、揺らぎの時期をいかに過ごしたのか。前後編でお届けする。
「希望を語れる人になりたい」ポッドキャストに初挑戦
1988年の芸能界デビューののち、映像作品や舞台、バラエティ番組に幅広く出演している羽田美智子さん。57歳を迎えた今も、明るく健やかな個性で人気を博している彼女が昨年秋から始めたポッドキャスト番組が今、注目を集めている。「羽田美智子のChange of Life」のテーマは、ずばり「更年期」。きっかけは、事務所のスタッフの女性たちからの要望だったという。
「スタッフには私よりひと回りふた回り若い世代が多く、私が更年期の体調についてああだこうだと話していたときには『お母さん世代が何か言ってる』という受け止めだったと思うんです(笑)。でも、彼女たちも年齢を重ねて体調の変化を感じるようになって、『羽田さんの言っていたことが、ようやくわかるようになりました』と。それで、私が普段話していたようなことを、パブリックな場で発信してみたら、助かる人がたくさんいるんじゃないかという話になって……。私自身、自分の日常に起きたことを話すのはちっとも苦じゃないし、むしろ、伝えることで誰かの役に立てたらいいなと思って」
ホットフラッシュや抜け毛をはじめとした更年期特有の身体の変化に加えて、老眼、もの忘れ、不眠といった加齢症状。同世代ならば思わず「あるある!」と頷きたくなるテーマを取り上げ、率直に語る羽田さんの口調やトーンは、あくまで軽やか。タイトルに掲げた「Change of Life」は、英語で更年期を表す言葉だという。
「調べていて偶然、発見しました。日本語の更年期は硬くて暗く、触れにくい、人に言えないという印象がありますが、英語のChange of Lifeからは、生きていくステージを変えて次の時代に向かっていくんだという前向きなイメージが感じられて、とてもいいなと。ポッドキャストへの挑戦ははじめてでしたが、私自身、これまでたくさんの先輩がたからお話を伺って、『40代は楽しいよ』『50代はもっと楽しい』『60代もとってもいいの』という言葉に励まされてきました。身体の変化はいろいろあっても、年齢を重ねて得られるものがあると語る先輩たちの言葉は、希望そのものだった。私もいつか、こんなふうに語れる人になりたいと思っていたんです」
気分の落ち込み、五十肩、骨粗鬆症……「私、こんなだったの?」
もともと明るくオープンな性格だった羽田さん。しかし、50代に入って閉経を迎えた頃には、心を戸惑わせる変化にいくつも遭遇した。
「まず、朝起きた瞬間からなんとなく憂鬱で、もの悲しさを感じていました。この先いいことなんか何もないんじゃないだろうかという閉塞感、というんでしょうか。一歩外に出ると消えはするものの、あの朝のモヤッとした感じは、なんともいえず嫌なものでした。ただ、身体は元気だったし、きっと気のせいだろう、誰にもあることなんだと思って過ごしていたのですが……」
さらに、ある舞台初日の本番前、羽田さんの身体に異変が起こる。突然、肩や腕が上がらなくなったのだ。
「慌てて病院に行ったら、いわゆる五十肩の典型的な症状だと。ついでに骨量を調べてもらったら、骨粗鬆症になっていたこともわかりました。2年前に受けた検査では同世代と比べて140パーセントだった骨量が、70パーセントくらいにまで激減していたんです。それまでホットフラッシュなど、典型的な更年期症状がなかったこともあって、『私、こんなだったの?』と。驚きましたね」
無理はきかない。でも、経験は人を大きくするはず
しかし、振り返れば思い当たることはあった。その少し前、53歳で父を看取った直後にインフルエンザに罹患。激しくくしゃみをしたことで肋骨にヒビが入り、さらには、経験したことのない量の抜け毛に動揺を覚えた。
「肋骨のことは父の葬儀前後のストレスも原因だろうと病院で言われましたが、実は骨粗鬆症も進んでいたんですね。両親とも健在で、それまで何の悩みも心配もなく仕事だけできていたので、コロナ禍での父の看取りの際は、とても心細い状態でした。母のケアもあるからいつまでも落ち込んではいられないし、自分は強い、これくらいで挫ける人間じゃないという自負もあったのだと思います。でも、悲しみやストレスは、身体にちゃんと表れる……無理がきかない、そういう年齢になったんだということを思い知らされました」
しかし、失ったものばかりではなかった。
「父が亡くなったあと、やはり両親の看取りを経験したかたからかけられた言葉や、接してくださった際の優しさに、とても慰められました。そしてそれは、これまでの自分ができていなかったことだったなと……。あらためて、経験は人を大きくするんだと感じましたし、自分もそうなりたいと思いました」
私にも、きっとできることがある――羽田さんの心に、小さな光が差しはじめた。
羽田さんを支えるお守りアイテムは?
「AOPA-青パパイヤの恵み-」
年齢を重ねたことで自分の体のクセを知り、ウイークポイントを踏まえて備えられるのは大人の強み。羽田さんにとっての日々の〝お守り〟のひとつが、オーガニックの青パパイヤの実から精製した天然の消化酵素「パパイン」のタブレット。「40代で胆嚢の手術をしたため、他の消化器に負担をかけないよう、脂っこい食事の後には必ず服用。キャンディのように口に含んで摂ったりもします」。オンラインストア「羽田甚商店」で販売中。
羽田美智子
はだ みちこ●俳優。1968年茨城県生まれ。’94年の映画『RAMPO』で日本アカデミー賞新人俳優賞、エランドール賞に輝く。2010〜15年に主演したドラマ『花嫁のれん』は日本の生活文化を伝える作品として20以上の国と地域で放送され好評を博した。’19年、実家の屋号を継承したオンラインストア「羽田甚商店」をオープン。美と健康をテーマにセレクトした衣食住アイテムとオリジナルのアロマオイル・フレグランスを販売している。更年期世代の悩みを本音で語り合うポッドキャスト番組「羽田美智子のChange of Life」をYouTube・各種音声コンテンツで毎週水曜日に配信中。