玄米のほうが血糖値が上がりにくい。そう思っている人が多いのではないでしょうか? 40代、50代のモニター4名が白米と玄米を食べ比べて、血糖値の変動を測定。 驚きの結果を糖尿病の専門家、山村聡先生とともに検証します。
【教えていただいた方】
GI値が低いと血糖値は上がりにくいの?
「GI値」という言葉を一度は聞いたことがあると思います。GI値(グリセミック・インデックス)は、どれくらいの速度で血糖値が上昇するかを食品別に数値化したものです。血糖値を猛スピードで上げるブドウ糖を「基準値100」とし、100に近いほど血糖値が上がる速度は速く、反対に低い数値ほど血糖値を上げにくいとされます。血糖値の専門家である山村聡先生に伺って、今回はこのGI値を深掘りすることに!
白米と玄米を比べてみましょう。
GI値で比べると…
白米:69.4~84.0、玄米:50.2~59.7
玄米のほうがGI値が低いため、血糖値は上がりづらいはず。果たしてこれは本当でしょうか?
引き続き、40代・50代の血糖値モニター4名が白米と玄米を食べて検証してみました。
GI値が低いのに? 玄米を食べた後の意外な結果!
まず、最初はHさん。朝食で白米を食べた日と玄米の日を比べてみました
おかずはまったく同じです。
1日目。白米おにぎり2個(鮭、昆布)、味噌汁(豆腐、しめじ、小松菜)、五目ひじき煮、りんご1/2個
2日目。玄米おにぎり(鮭、昆布)、味噌汁(豆腐、しめじ、小松菜)、五目ひじき煮、りんご1/2個
血糖値の変動を見ていきます
左は白米おにぎりの朝食を9:00に食べたときのグラフです。朝食を食べた直後から血糖値が上昇し、ピークで150mg/dL以上を示していますが、大きな血糖値スパイク(*1) は避けられました。
右は玄米おにぎりの日。8:45に食べています。なんと、血糖値のピークが200mg/dLを超えてしまいました。玄米のほうがGI値が低いはずなのに、なぜ?
*1 血糖値が急上昇し、その後急降下する状態。グラフにスパイクのようなトンガリができることからこう呼ばれます。特に血糖値ピークが180mg/dLを超え、かつ30分で60以上の急上昇の場合。
次はMさんの例です
こちらは朝食が白米の日。
玄米の日の朝食です。
両日とも、ご飯に鮭フレークと焼き海苔をのせ、りんご1/4個、ヨーグルトwithはちみつ。食後にコーヒー。
では、グラフを比較してみましょう
左は白米の朝食の日で、7:10に食べています。朝食後の血糖値はそれほど上がっておらず、血糖値的にはかなり優等生なグラフです。
右は玄米の日。8:30に食べています。あれあれ! 朝食の後、150mg/dL近くまで上昇。血糖値スパイクとまではいかないけれど、玄米を食べた日にトンガリができています。急に血糖値が上がってしまった証拠です。
「GI値」はもう古い! 血糖値の新常識
常識だと思っていた「玄米のほうが血糖値を上げにくい」。予想がみごとにハズレてしまいました。糖尿病の専門家である 山村聡先生、この結果をどう考えたらいいのでしょう?
「GI値の理論は1980年代に登場したもので、ちょっと古い考え方なんですよ。食事の1時間後、2時間後の血糖値を測定して評価したもので、食べた直後に血糖値がどう推移するのか、正しく知られていない時代に作られたものなんです。今のように血糖値の推移をリアルタイムで測定できる時代になって、初めて食後すぐから血糖値が上昇することがわかってきたんです。
結局、血糖値は摂取した糖質量の影響を受けます。白米より玄米のほうが確かにGI値は低いけれど、実は糖質量はほぼ同じ。FreeStyleリブレを使って継続的に血糖値を測定できる今、GI値を見直してみると、『あれ? GI値通りにはならないじゃないか』ということがわかってきたんです」
山村先生は、自身のYouTubeチャンネルで体を張って血糖値実験をやっています。白米vs.玄米の実験は先生も検証ずみ。結果はどうでしたか?
「例えば、白米と玄米、普通のパンと全粒粉のパン、普通のパスタと全粒粉のパスタのように、ほぼ同じ種類の食材の場合、GI値が異なっても血糖値の上がり方には差が出ませんでした。 もちろんナッツvs.いも類など、まったく種類が異なるものを比べればGI値通りになると思いますが、そこを比較する意味はあまりないですよね。低GI食がいい、なんていわれていますが、実は血糖値という観点ではあまり意味がない。神話だった!と言っていいと思います」
血糖値の真実、GI値の神話を見直すとき
衝撃的な解説でしたが、今回のモニター4名のうち3名が、玄米のほうが血糖値のピークが大きくなってしまいました。残りの1名は白米と玄米でピークはほぼ同じです。糖質量が同じだから血糖値の上昇も同じ、というのならわかりますが、玄米のほうが上ったのはなぜでしょうか?
「血糖値の推移は個人差もありますし、その日の体調や状況にもよるので、理由を断定するのは難しいのですが、前日の夕食の時間が早かった(食間が長かった)など、何かしら影響したのかもしれませんね。玄米だから安心と油断して、うっかりいつもより量を食べてしまう、ということも往々にして起こりがちです。
玄米のほうが食物繊維はもちろん、ビタミン、ミネラルも豊富で栄養価は高いので健康メリットはあります。けれど、糖質量は白米とほぼ同じです。血糖値コントロールをしたいなら、この点はしっかり覚えておきましょう」
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初出:OurAge 2025/4/10