世界30カ国以上で出版され、多くの人々に愛されているレオ・レオーニの絵本の展覧会が渋谷のヒカリエホールで開催中。絵本の世界を体感しながら、彼が手仕事に込めたメッセージを受け取ってきました。
可愛らしいモチーフと色鮮やかな画面、哲学的なストーリーの内容が魅力的な絵本界の巨匠、レオ・レオーニ。
どんな世界が体験できるのかとワクワクしながら足を踏み入れてきました。
《マシューのゆめ》原画
展示室に入ると、子供の頃に親しんでいた絵本の原画がびっしりと並んでいます。
色彩豊かな作品の美しさと懐かしさで、胸がいっぱいに…。
《マシューのゆめ》原画
《マシューのゆめ》原画
こちらはマシューたちが美術館を訪れているシーンのひとつ。
今回この作品がとても印象に残りました。
美術史を専攻していた学生時代に、西洋美術絵画における『画中画』についても深く学んでいたため、この可愛らしい原画の中に『画中画』を見つけた時は、感激!
キュビズムや印象派を思わせる絵画が描かれていて、
目が釘付けになりました。
表現技法も多岐にわたり、水彩、色鉛筆、コラージュ、フロッタージュなど様々で、驚くばかり。
彼の創作の秘密を紐解く要素がわかりやすく展示されていて、レオ・レオーニの豊かな才能を体感できます。
《せかいいちおおきなうち》原画
「このカタツムリのお話覚えている!これもレオ・レオーニの作品だったとは知らなかった~!」
隣にいる友人に興奮気味に語る私。
このお話の内容と描かれているカタツムリの絵に
ものすごく惹かれていた子供の頃の記憶が突然に蘇ってきて、びっくり!
かなりの数の原画と絵本を鑑賞した後、解説映像を見終えて進んだ先には、開放的な空間が広がっています。
こちらではインタラクティブな仕掛けや技法体験ができるコーナーやスイミーの絵本の世界に入り込んだようなコンテンツがいっぱい♪
大人も子供も存分に楽しめる構成です。
《スイミーの海の世界》を体験
スイミーの原画の海の世界
スイミーの世界へ
スイミーの海の世界に入り、涼しい気分になった後は、フレデリックたちが住む野原へ♪
広い空間の中央には、《フレデリック》たちの生活がスライドに写され、彼らの住む世界に入り込める装置が設置されています。
童心に返ってワクワク♪
可愛いねずみたちの様子を見て楽しい気分♪
グラフィックデザイナーだった彼の作品は高いデザイン性、大胆な構図、色彩、そしてコラージュを採り入れるなど、独創的で洗練されています。
彼がモダニズム美術、特に抽象表現主義や構成主義の影響を受け、作品にはバウハウスの思想が色濃く反映されていることが、今回の展示からよく分かりました。
《マシューのゆめ》にも、モンドリアンやカンディスキーを思わせる画中画がたくさん登場する理由、改めて納得です。
また、子供向けの絵本でありながら、人生における本質的な問いかけを含んでいるストーリーもレオ・レオーニ作品の大きな魅力。
《スイミー》にも《フレデリック》にも《あおくんときいろちゃん》にもそれぞれ示唆に富んだメッセージが込められていています。
多様性や個性を尊重し、他者との共生を目指すなど、現代社会が抱える分断や孤立といった問題に対する普遍的で多層的なメッセージを内包している彼の絵本の魅力は、大人になった今だからこそ深く理解できるのではないでしょうか。
レオ・レオーニのカラフルでデザイン性の高いアートと普遍的なメッセージが空間全体に息づいているこちらの展覧会は、 視覚的な美しさを享受するだけでなく、私たち自身の認識や価値観を再構築する機会を与えてくれると思います。
時代を超えて人々の心に響き続ける慈愛に満ちた作品を、この夏もう一度ゆっくりと読み返したくなる、そんなすてきな体験ができました。