この夏、新たにオープンした注目レストラン「Pelican(ペリカン)」へ。
場所は神楽坂駅から徒歩数分。神楽坂らしい静かな小道に佇む隠れ家のようなレストラン。
フレンチ×スパニッシュをベースにした一皿一皿に、シェフのセンスと遊び心が光ります。
落ち着いた空間で、料理をゆっくりと堪能しました。
◆ランチ・ディナーともに一斉スタート|五感で味わうライブキッチン
「ペリカン」は、席数カウンター11席。ランチ・ディナーともに時間を決めての一斉スタート、完全予約制です。
厨房と客席が一体化したライブキッチンスタイルで、カウンター越しに手際よく美しい一皿を仕上げていくシェフの姿を間近で楽しめます。
お料理が運ばれる合間にはシェフ自らがメニューや食材について丁寧に説明してくださる場面もあり、会話も含めて心に残るひとときとなりました。
シェフは、恵比寿のグランメゾン「ガストロノミー ジョエル・ロブション」で7年半の修行を積み、神楽坂「シャテーニュ」ではスーシェフを務めた 桑原友明シェフ。
飲食業界でのキャリアは20年以上とのこと。確かな技術と経験に裏打ちされた一皿は、フランス料理の枠にとらわれず、スパニッシュのエッセンスも加わった心躍るものばかりです。
◆季節感を大切にした構成と驚きと楽しさに満ちたひと皿
この日のランチコースは、前菜からデザートまで全7皿。私はワインペアリング5杯・ハーフをオーダーしました。ソムリエの資格を持つシェフ自らがセレクトされており、料理の余韻を引き立ててくれます。
なお、ノンアルコールのペアリングも用意されており車で来た友人はこちらをセレクト。お酒が飲めない方にも楽しんでもらえる、そんな細やかな配慮も嬉しいポイントです。
●ピンチョスとシャンパーニュからスタート
最初のひと皿は、夏を感じるピンチョスと冷製スープ3種の盛り合わせ。
続いて、ぷっくりとした蛤と、滑らかな夏野菜を合わせた前菜が登場しました。
豊漁だったという蛤は、ひときわ大ぶりで食べごたえのあるひと品に。
ライムの香りが爽やかで、暑い日のランチにぴったりの一皿でした。
●桑原シェフが目の前で仕上げる絶品スペイン風オムレツ
看板メニューのスペイン風オムレツは、カウンターで丁寧に焼き上げられます。
具材がたっぷり入った卵液を、手早く美しく仕上げていく様子に思わず見入ってしまいました。
シェフによる調理中の説明も楽しく、料理が運ばれる前からわくわくする時間に。
この日は、燻製したパプリカパウダーがアクセントに。
仕上げにはアイオリソースが添えられ、まろやかさと香ばしさが絶妙なバランスでした。
続くナスのフリットは驚くほど軽くサクッとジューシー。
「アジフライを手づかみで食べるような感覚でどうぞ」
──そんなシェフの言葉どおりカジュアルさの中に繊細な技が光るひと皿。
アジは香ばしく、衣とのバランスも絶妙。
●魚料理、肉料理、パエリアと続くメインの流れも秀逸
ウイキョウとディルの香りをまとわせた白身魚に、オリーブのソースを添えて。
ハーブの爽やかさとオリーブのコクが絶妙に重なり合う、夏らしいひと皿でした。
続くメインの肉料理は、彩り豊かな夏野菜とともに。
緑のニュアンスが涼を呼び、食欲をそそる美しい一皿でした。
ピーマン他夏野菜のソースと南米のソース「チミチュリソース」などと共に。
● 食事の余韻を彩る、香ばしきパエリア
こちらも、看板メニューのパエリア。この日はタコと蓮根のパエリア。
「大葉を使うとグッと和になる」とシェフ。
添えられたレモンとアリオリソースが味わいのアクセントになっていました。
おかわりには、鶏と蛤の出汁をたっぷりとかけて、さらさらといただきます。
和とスパニッシュが絶妙に溶け合った味わいに、「日本人でよかった」と感じるひとときでした。
●香りまでごちそう。締めのデザートまで美しい余韻
デザートは、みずみずしい桃と爽やかなミントのアイスクリーム。
果実の甘さとハーブの清涼感が口の中でふんわりと溶け合います。
食後とは思えないほど軽やかで、最後のひと口まで夏を感じるひと皿でした。
◆丁寧な料理とワインで心地よい高揚感を味わう
目の前でサーブされるライブ感と、シェフの親しみやすくユーモアあふれる会話の距離感がとても心地よく、どのお皿にも思わず頬がゆるむような時間を過ごすことができました。
「フレンチ」と聞くと身構えてしまう方にもスパニッシュの遊び心が入ることで、親しみと抜け感のある「今どきの上質」を感じていただけるのではないでしょうか。