富岡佳子が会いに行く 女性学の第一人者 上野千鶴子さん

50代は、人生の転換期。eclat10月号では、富岡佳子さんが女性学の第一人者の上野千鶴子さんに“50代の在り方”について伺いました。

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Q.「若いね」とはいわれても本当に若くはなく、かといって落ち着いてもいない。50代はどうあるべきですか?(富岡さん)

A.50代は女性の人生の転換期。体力も気力も十分な今のうちに、人生の優先順位をきっちり考え、生き方を見直して(上野さん)

■50代は転身したり起業する、最後のチャンス

 以前から上野千鶴子さんの大ファンという富岡さん。とはいえ、厳しいかたなのでは? と、緊張しながらオフィスの扉をたたいてみた・・・。

富岡 あの、先生はご著書で、世の中の構造とか男女の関係性を、すごくわかりやすく説明してくださいますよね。先生から私たちエクラ世代は、どう見えているんでしょう?
上野 50歳前後ですよね? 時代背景としてはポスト均等法世代。女が働くことが、ようやくあたりまえと認められた世代です。80年代バブルは経験しました? その最後のほうかしら。
富岡 ギリギリです。バブル最盛期は知りませんけど、破綻した後の就職氷河期は知らずにすみました。
上野 年齢でいうと50代は、女の体の節目です。私も経験しましたけど、更年期で体が変わるから、ちょっと動揺する。家族という観点からいうと、50代は黄金期。子育てが終わって介護はまだ始まらない。夫はまだ働いているから不在がちで、最高です(笑)。経済的にもピークだし、人生で一番自由度が高い時期ですよね。
富岡 確かにそうかもしれません。でも同時に、なにか宙ぶらりんというか。「若いね」と言われても、本当に若いわけではないし。それでいて本来50代に求められるような落ち着きや貫禄は身についていないし。私はこれで、このままでいいのかしら? って。
上野 確かに、変わるなら今、というタイミングかもしれません。50 代は実は、何か新しい局面に転身したり起業したりする、最後のチャンスなんです。企業の中にとどまっていても、限界が見える頃ですから、そろそろ頭打ち。50代ならまだ、起業のための体力も気力も、欲もありますから。
富岡 それはすごく感じます。定年と言われる60歳までの残り時間が、どんどん減っていく(笑)。ここで変わっていかないとその先が、と、最近考えるようになりました。
上野 例えば学校に戻るとか資格を取るとか、早期退職して起業するとか。40代のうちから準備する人はたくさんいますよ。私は主婦5人が100万円ずつ出して作った会社のサポートをしたことがあるんです。平均年齢52歳。子育てをして地域の活動や環境保護活動もして親の介護もして、彼女たちはいわば超キャリア、有能なんですよ。途中から年収500 万に届くほど順調で、20年後に解散しました。それ以前は彼女たち、食べ歩きとか趣味の会とかいろいろやっていたけど、仕事のほうがずっと面白かったんですって(笑)。

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切れ味鋭い著書は、まさに「上野語録」

 誰にとっても身近な上野さんの文章は、朝日新聞土曜版の人生相談コーナー(月1回担当)ではないだろうか。実は富岡さんも楽しみにしているひとり。読み手を引き込む文体は、すでに’80年代初めの『セクシィ・ギャルの大研究』で登場しており、「上野語録」本もあるほど。現在は『おひとりさまの最期』など老後のあり方を考察する著作も多い。

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■私は40代で人生の優先順位を考え、生き方を変えた

 まさに私たちが知りたいことをわかりやすく、さまざまな視点から解説してくれる上野先生。富岡さんは前のめり、次々と質問を投げかけた。
富岡 私はまだ50代手前ですけど、先輩たちに話を聞くと皆さん、50代は楽しい、60代はさらに楽しいっておっしゃるんです。
上野 ポジティブに考える人ばかりを選ぶとそうなるんです(笑)。私は50代、そんなに楽とは思わないけど。まあ、60代になると安定しますけどね。
富岡 先生ご自身は30代から40代、50代と、どんなふうに過ごされたんですか?
上野 30代はまっしぐらに走るしかなかったわね。40代になってから徐々に身体の老化を自覚するようになって、自分の時間とエネルギーには限界があると気づいたんです。そこで初めて、人生の優先順位を考えた。当時私はメディア文化人としてけっこう売れていたけれど、テレビで文化人と称される大先輩たちをじっくり観察すると、だんだん本業がスカスカになっていくのね。そこで、今の私にとって大事なのは仕事やお金よりも時間だと気づいて、40代前半でテレビに出るのを止めました。それから約2年間、ドイツやメキシコに研修に出たんです。自分に投資したんですね。
富岡 そのとき自分に何が必要か、見極めて行動なさったんですね。だから今、多くの人に求められていらっしゃる。私の場合は、女性誌が成長するのと歩調が合ったので雑誌のお仕事に恵まれてきました。でも、エネルギーのある今のうちに何かインプットしておかないと、50代半ばには枯渇してしまうのではと感じていたところでした。
上野 今のモデルはファッションだけじゃなく、生き方まで見せる職業ですものね。気をつけないとどんどん消費されてしまうから、そこを生きのびるのは大変でしょう。
富岡 でも今日はたくさん、ヒントをいただきました。このタイミングでお目にかかれて、本当によかったです!
上野 とても良かったと思います。
富岡 私も、女性誌が成長するのと歩調が合ったので次々と雑誌のお仕事に恵まれましたけど。このへんで何かインプットしておかないと、この先大変なことになりそうで(笑)。
上野 今のモデルはファッションだけじゃなく、生き方まで見せる職業ですものね。気を付けないとどんどん消費されてしまうから、そこを生き延びるのは大変でしょう。
富岡 でも今日はたくさん、ヒントをいただきました。このタイミングでお目にかかれて、本当に良かったです!

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実際にお会いして…Yoshiko's MEMO

実はお目にかかる前は“厳しいかたなのでは?”と思っていたのですが、とても寛大で、優しく受け止めてくださいました。上野先生の分析で、私たち世代の特徴が見えてきましたし、この先の人生を大切にしなければ、と実感できました。“インプットを怠らず、自分をブラッシュアップしていきたい”、そんな私の思いを瞬時に理解して、共感してくださり、とてもうれしく思いました。

お話をうかがったのは…

うえの ちづこ●'48年生まれ。社会学者。立命館大学特別招聘教授、東京大学名誉教授。認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク(WAN)理事長。専門は家族社会学、ジェンダー論、女性学で、その指導的な理論家として知られる。独自の視点でさまざまな社会問題に鋭い発言を重ねてきた。近年は高齢者の介護問題に深く関わっている。

撮影/緒方亜衣 ヘアメイク/森野友香子(Perle Management) スタイリスト/池田めぐみ 取材・文/岡本麻佑 撮影協力/マイハウスレンタル

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