離婚でもめがちな、子供にまつわる問題。子供の利益を優先して解決するにはどうしたらよいのか、専門家ふたりが解説。
教えてくれた人
夫が子供の養育・教育費を“払いたがらない”
子供が大学に行くなら親権をもたない親にも教育費を支払ってもらう必要が
最近は親権を求める男性も。優先すべきは子供の利益
離婚により子供に与える影響も大きい。重要なのが、子供の世話や財産管理についての権限をもち、子供の法定代理人になる親権だ。
「離婚後は、親権をどちらか一方に決めなければなりません。子供が小さく身のまわりの世話が必要な場合、基本は母親が親権をもつことに。そして親権をもたない親にも扶養義務があり、成長するための養育費を負担する義務があります。しかし、父親が養育費のほか、学費、塾代、習い事の費用などを出し渋るケースは意外に多いもの。特に私立に進学する場合は教育費も高くなりますが、そこを理解し全面的に協力する父親は少ないようです。成年は18歳でも、大学に行くなら教育費を少なくとも22歳までは支払ってもらう必要があります。なかには“養育費はいらないから離婚したい”という妻もいますが、それは子供の権利なので慎重に判断しましょう」(後藤さん)
親権争いは、子供が小さいほどもめて長引く傾向があり、子供自身が判断でき本人の意思が尊重される15歳以上は比較的早く決着するという。
「母より父に経済力がある場合、子供が親権者に父親を選ぶケースも。最近は、子育てを楽しみ、親権を欲しがる男性も増え、親権争いでこじれる案件も少なくありません。親権でもめて長引くのは子供にとっても負担。親権者になると親である意識が強くなる男性も多いので、子供の不利益を避けるため親権にはこだわりすぎないことも心得ておきましょう」(岡野さん)
ちなみに、子供の姓を変えるか否かでトラブルになるケースは?
「過去に、息子を跡取りにしたい父親が、”自分の姓を子供に名乗らせるなら離婚に応じる”といったケースもありましたが、離婚後にどちらの姓を名乗るかは本人の自由。応じる必要はありません」(後藤さん)
義父母から子への教育資金、「教育資金贈与信託」をもらえないことも!?
最近は、裕福な義父母が、相続税対策で、孫に教育費を生前贈与する「教育資金贈与信託」も人気。「ただし離婚した場合、嫁に自由に使われるのでは?と出し渋られる場合も。離婚しても義父母と孫の良好な関係性を維持できるような工夫も必要です」(岡野さん)。
親権者にはどちらがいいか?
0~10歳 衣食住をはじめとする身のまわりの世話が必要
⇒親権者は? 母親が指定されることが多い
11~14歳 子供の発育状況、精神面を考慮に入れて決定
⇒親権者は? 子供の意思を尊重する場合も
15~17歳 満15歳以上の場合には子供の意見を必ず聞く
⇒親権者は? 原則、子供の意思を尊重
18歳以上 親権者を指定する必要がない
親権者の決定は、どちらが子供にとって利益があり、幸福かを基準に判断すべきもの。どちらも親権が欲しいという場合で、協議で決まらなければ家庭裁判所に親権者指定を含む離婚調停を申し立てる方法がある。
親権に関する2つの要素
未成年の子供の法定代理人となる親権者。未成年の子供が複数いる場合は、それぞれの子供について親権を決め、夫と妻で分けることも可能。親権者にならない親にも扶養義務はある。親権には、財産管理権と身上監護権という2つの要素があるが、子供の利益のために必要と認められるときは、親権から身上監護権を切り離し、親権者と養育する監護者を分けるケースもまれにある。
財産管理権
●子供の財産の管理
●契約等の法定代理人
身上監護権
●子供の身のまわりの世話
●子供のしつけ・教育
身上監護権は親権者ではなく、監護者がもつことも可能
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