昭和に生を受けたエクラ世代にとって、仏壇は比較的身近でなじみがあるもの。とはいえ、専門家いわく、「実は、勘違いしていることが多々あるのでは?」と。今後仏壇をどうするか考えるにあたり、まずは基礎知識をおさらい!
本来仏壇は、信仰する宗派のご本尊を祀る場所
仏壇とは、故人の位牌や遺影を置き、毎日お線香をあげて手を合わせ、亡き親族をしのぶためのもの。読者の大半が、そんなイメージを抱いているようだけれど、長年仏壇やお墓の研究をしている小谷みどりさんは、「本来仏壇は、信仰する宗派のご本尊を祀(まつ)る場所です」と!
日本の仏壇のルーツとされているのは法隆寺の「玉虫厨子(たまむしのずし)」だが、庶民に普及したのは江戸時代以降。幕府がキリスト教を禁じるため、すべての人に仏教寺院の檀家になることを求める「寺請(てらうけ)制度」を制定したのがきっかけに。
「信者になったとはいえ、お寺に頻繁にお参りに行くのは大変。そこで、日々ご本尊に手を合わせられるよう、家の中に仏壇という“お寺”を設けたのです」
一般的に仏壇は、最も高い段の中央にご本尊(浄土宗や浄土真宗は阿弥陀如来、真言宗は大日如来など、宗派によって異なる)を祀り、両サイドにご本尊を支える脇侍(わきじ)を、仏像や掛け軸といった形で設置している。これは、仏教寺院の内陣(ご本尊を安置している本堂)に倣ってのこと。また、お線香やお供え物も、本来はご本尊に捧げるためのものだそう。
ところが、いつのまにか故人の遺影や位牌も置くようになり、故人をしのぶ場所という意味合いが強くなった。
「仏壇と同じ意味合いで設けられている仏間の長押(なげし)の上に、ご先祖さまの写真をずらりと並べた光景を目にしたことがあるのではないでしょうか。仏壇に写真を飾るようになったのは、そうした風習がきっかけになったのかもしれません」
位牌は、中国が起源とされ、鎌倉時代に禅宗とともに伝来。仏壇に置くようになったのは江戸時代中ごろあたりからで、現代では、「亡くなった人の魂が宿るところ」などと定義されることが多い。ただし、本来仏教では、人は亡くなると極楽浄土に召されるか、六道(ろくどう・地獄道、餓鬼道、畜生道、修羅道、人間道、天上道)に転生し、現世に魂が残ることはないと教えている。
「そう考えると、位牌に魂が宿っているとする説は、矛盾している気がします。実際、浄土真宗は、往生即成仏、つまり亡くなったらすぐに成仏するという教義に基づき、位牌はありません」
仏壇は必須なものでも、継承すべきものでもない
身内が亡くなったら仏壇を用意するもの。そう思っている人も多いようだけれど、仏壇の本来の意義を考えると、仏教信者でないなら、新たに用意するのはもちろん、実家や婚家に仏壇があったとしても受け継ぐ必要はないことになる。
「そもそも、どの宗教や信仰を信奉するかという“信教の自由”は、憲法で保障されています。なので、先祖とは違う仏教宗派や宗教を信仰するのも自由です。いずれにしても、仏壇に関する正しい知識をベースに、ご自身が納得いくかたちで故人をしのぶのが一番だと思います」
「仏壇」を正しく知るための ポイントはここ!
1.本来仏壇は仏教を信仰する人のための自宅用の“お寺”
2.お供え物やお線香は故人ではなくご本尊のためのもの
3.宗派によってご本尊は異なり、なかには位牌不要の宗派も
「玉虫厨子」のころから、仏壇=信仰する宗派のご本尊を祀る場所で、お供え物もお線香もご本尊に捧げるためのものだった。時代とともに“故人をしのぶ場所”の意味合いが強くなってきたものの、主役はご本尊。位牌がご本尊より下の段に置かれているのはそのため。ちなみに仏壇に“現世の姿”である遺影を飾るのはNGという説も。また、宗派によってご本尊や仏具などが変わることも知っておきたい。
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