自分の時間をうまくコントロールできないのは、どこかに「時間のつまずき」があるから。その原因を、時間管理のプロの中島美鈴先生が紐解きます!
教えてくれたのは…
脳のクセを知ってつまずきを解消!
計画を立てているはずなのに、時間管理につまずきがちなのは、もしや性格のせい?
ならば、この年でそれを変えるのは無理なのでは……?「それは大きな間違いです」と、認知行動療法をベースに時間管理術を指南している臨床心理士の中島美鈴先生。
「時間がコントロールできないのは、性格のせいではなく、誰にでもある“脳のクセ”のせい。何かをしようと考え、計画を立て、やりとげる。この一連の流れ=実行機能をつかさどっているのはもちろん脳。なかでも『〇時までにこれをやる』のように時間を意識した脳の働きを、心理学では時間管理と呼びます。この時間管理に関係する脳のクセは、①これを完成するには〇時間くらいかかるだろう、といった“時間感覚が不正確”、②“時間をかけて何かを達成するのが苦手”で、結果や報酬などのごほうびを早く欲しがる、③目の前にある“誘惑を我慢できない”という3つ。そう、実は脳にとっても時間管理というものはかなり高度な働きなのです」
さらに、3つのクセのうちどれが強いかも人によって違うから、時間管理のつまずき方もそれに応じて違ってくる。例えば「仕事や家事が予定どおりに終わらない」というケースでは、“時間感覚が不正確”なクセが強いと「完了までの時間の見積もりが甘くなる」、“時間をかけることが苦手”なクセが強いなら「時間がかかりそうと思うと、やる気になれない」、“誘惑を我慢できない”クセが強いなら「別のことに気をとられ、作業が中断しがち」といった具合。
「ですから、自分をつまずかせるのはどのクセであることが多いかを把握しましょう」
そのうえで、行動の“実行”から“完了”までの間のどの段階で、そのクセが出やすいか、を検証すれば、対策も立てやすくなる。
「自分の時間管理がどの段階でつまずいているのかを見直すのに役に立つのが、下にあげた4段階の『すーぷもだ』です。それを踏まえ、そのルーティン=つまずいてしまう“仕組み”を変えていけば、誰でも時間のつまずきを解消できますよ」。
実は脳は「時間管理」が苦手だった!〈3つのクセ〉
1.時間感覚が不正確!
時間の見積もりが不正確ゆえに、間に合わないこともしばしば。ゴールからの逆算が苦手で、実行のプロセスに問題がある場合も。
2.時間をかけるのが苦手!
結果がすぐ出ることが好きで、手っ取り早く達成感が得られるものを優先しがち。やることが多いと思っただけで、やる気が喪失。
3.誘惑を我慢できない!
やるべきことがあるのにほかのことに気をとられたり、夢中になると時間を忘れて没頭したりと、目の前にある楽しい誘惑に弱い。
どの段階でつまずくのかを探るには、「すーぷもだ」!
時間のつまずきを制す第一歩は、自分の行動のどこに“つまずきの原因”があるかを探ること。そこで活用したい「すーぷもだ」とは!?
行動の4ステップのどこでつまずくかをチェック!
「何かを実行する際、人は『とりかかる=スタート』『計画する=プラン』『進捗を気にする=モニタリング』『やりぬく=脱線防止』という4つのステップを無意識に踏んでいます。時間管理の失敗はこのどこかでつまずいている証拠」と中島先生。とりかかりが遅ければ「スタート」で、計画・見込みが違っているなら「プラン」で、進捗把握ができない場合は「モニタリング」で、ほかのことに気をとられ、中断しているようなら「脱線防止」でつまずいているということ。「つまずき発生の場所がわかれば、解決策はぐっとクリアになります」(中島先生)。
すー(スタート)
Step1
ハードルを下げ、できることから始める
スタートでつまずくのは、「できないかも」という不安から先延ばしにしたり、予定が多すぎて面倒になるから。「最初の一歩を踏み出すときが、一番エネルギーを必要とします。やることを小分けにし、できることから始めるなどハードルを下げるのが得策です」(中島先生、以下同)。
ぷ(プラン)
Step2
理想の反映ではなく現実的な計画を立てる
プランに必須なのは、「締め切りの設定」「やるべきことを洗い出し、かかる時間を見積もる」、「費やせる時間を割り出す」「締め切りから逆算し、タスクを細分化して費やせる時間に当てはめる」こと。「理想や希望を反映するのではなく、現実的に考えることを忘れずに」。
も(モニタリング)
Step3
進捗具合に応じてプランの見直しを
計画どおりに進んでいるか、時計を確認しながら、適宜チェックを。「時間感覚が不正確な人は見積もりが甘くなりがちなため、予定時間をオーバーしてしまうことも多々。その場合、『これに費やす時間を30分でなく60分に。そのぶんこれは省略しよう』などと、計画を見直して」。
だ(脱線防止)
Step4
誘惑を遠ざけ、集中できる環境をつくる
“やりぬく”ことの最大の敵は、途中でほかのものに飛びつく=脱線すること。「脱線防止におすすめなのは、集中できる環境づくり。カフェや図書館など、ここなら集中できるという場所で行ったり、スマホやテレビなど脱線の原因になるものから遠ざかるなどの工夫をしましょう」。
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