思いどおりにいかないとご機嫌斜めに、注意をするとすねて、興味のあることにしか反応しない……。そんな子どもっぽい大人の態度にモヤモヤを感じたら、どうするのがベター?夫婦関係の専門家がアドバイス。
夫が子どもっぽくなりがちな理由
男ならではの子どもっぽさを楽しむくらいの気持ちを
ちょっとしたことですねたり、ちょっかいを出してきたり、好きなことだけに全力投球したり。いい大人とは思えないそんな夫の行動を見るたびに「子どもじゃないんだから」とモヤることがあるのでは。
でも「男性はそもそも女性より子どもっぽい部分を残しがちで、年を重ねるとその傾向はより強くなります」と夫婦関係アドバイザーの三松真由美さん。
「一般的に、多くの経験を浅く広く重ねることを好む女性に対し、男性は自分の好きなことを深く経験したがる傾向があるため、年齢とともに男女間の“成熟度”に開きが出ることは多いのです。また、エクラ世代の女性の夫の大半は、なんでもしてくれる母親に大事に育てられた、昭和生まれ。妻にも同じようにお世話されたい気持ちを、子どもっぽく感じることも。さらにこの世代の男性は会社や家庭で頼られようとがんばってきた人が多く、定年や子どもの巣立ちでその重責から解放される中高年以降、反動で子どもっぽさが助長することも多々あります」
とはいえ、夫の子どもっぽさにモヤるのは実は妻の側にも一因が。
「更年期に入り、心の余裕がなくなることで、そんな夫の態度が急に気になってしまうのもよくあるケース。でも、そんなときこそ夫の子どもっぽさを逆に楽しむくらいでいるのがモヤモヤ解消のコツなんです」
では、どうすれば楽しめる?
「夫の子どもっぽい行動につながるのは主に『立ててほしい』『かまってほしい』『夢を見たい』の3つの気持ちです。それをまず把握すること。思えばどれも、まさに母を困らせる子どもの気持ちと同じ。そのうえで、それぞれの気持ちに応じて、意識するといい点を次のページからまとめてみましたのでご参考に。これまでたくさんのご夫婦のお話をうかがって思うのは、相手を困らせたり、相手に腹を立てたりするのは、愛情の裏返し。子どもっぽい夫へのモヤモヤも、愛あるからこそ、と心得れば、楽しむ気持ちもわいてきますよ」
Q.夫を「子どもっぽいなあ」と思うことがありますか?
「ある」が9割以上。ほぼすべての妻が、夫に子どもっぽさを感じているという結果に。
Q.その子どもっぽさは、以前から?それとも年を重ねて?
約6割が昔から。以前ならかわいいと思えたその子どもっぽさが、年を重ねてモヤモヤの原因に変わったのはなぜ……?
エクラ世代の夫が「子どもっぽく」なりがちな理由は…
1.母親がなんでもやってくれてあたりまえの時代に育ったから
身のまわりのことはすべて専業主婦の母にやってもらえたことが多い昭和生まれの夫。だからついつい自分のことも妻にやってほしい……と思ってしまいがち。悪気はないんです!
2.子どもが巣立って自分が妻に甘えたくなる
子どもが生まれてからは、強い父親になろうとがんばってきた。が、子どもが成人し巣立ったあとは、父親任務から解放されて、自分が子どものように妻に甘えたくなる傾向あり。
3.更年期のイライラで、子ども夫に寛容になれない
更年期を迎えた妻の心の変化が、以前は気にならなかった夫の子どもっぽさを受け入れられなくなることも。夫は急に変わった妻の気をひきたくて、さらに子ども化する!?
4.男女平等など、変化する社会とのズレが大きい
男女平等という昨今の社会の価値観にシフトしきれない昭和育ち。自分の考えが時代遅れだと薄々気づいているものの変えられず、反動ですねたり、逆にえらそうになったり……。
【エピソード①】いつも「立ててほしい」夫の場合
家庭内でも、仲間内でも、常に一番上に立ちたいプライド高き“王様”パターンの「立ててほしい」夫。その裏にあるのは自信のなさ? そう思うとちょっとかわいい!?
「自分が一番!」が年々強くなっている!?
いつも「立ててほしい」夫の場合
「独立した息子ふたりを含めた4人の家族ラインがあるのですが、子どもたちがおいしかった店や楽しかった観光地、ゴージャスな場所などの写真を送ってくると、自分も張り合うような写真を送ってマウントをとろうとする夫。素直にいいね、といいましょうよ。相手に華をもたせてみましょうよ!(笑)」
「お気に入りでずっと通っていた飲食店に仕事仲間と行き、つい騒いでしまったら注意され、気を悪くした夫。二度と行かないと決めて、以来ピタッと行かなくなったのですが、店の様子は気になるらしく、私をひとりで行かせて様子うかがいをさせるんです。そんなに気になるなら行けばいいのに、意地を張っておばかさんね……」
「好物のすき焼きのことになると、謎の子どもっぽさを見せます。自分と家族の誕生日は必ずすき焼き、がわが家のルール。それをうっかり忘れたり、いい材料がなかったりして、別日に……なんて申し出ようものなら、『俺がこの日をどれだけ楽しみにしていたと思うんだ!』と烈火のごとく怒りだす。そこまですき焼きが好き……?」
「家族4人で3泊4日の九州旅行に。子どもたちのリクエストを優先してスケジュールを組んだら、行きの飛行機から不機嫌な夫のダンマリがスタート。最終日まで私を無視し、子どもとしか話しません。せっかくの旅行だし、楽しく過ごそうと何度か話しかけたのですが、頑(かたくな)に無視を貫かれました。困った人……」
「料理が大好きでよく夕はんを作ってくれる夫。前に『これちょっと……』と意見をいった途端に機嫌が悪くなったので、それ以来『おいしいね、さすがだね』とやや大げさにほめるようにしています」
「立ててほしい夫」にはこうしてみては?
夫の失敗には触れず、別の話題をさりげなく
プライドが高い夫ほど、何かに失敗したときは深く傷ついているもの。「そんなときはその失敗には触れないこと。そして、夫の得意分野での成功体験など、別のことを持ち出してさりげなく立て、自信を取り戻してあげましょう」。
役に立ちたい気持ちをくみ、わかりやすい仕事をお願い
定年前後の夫の大半は実は何か妻の役に立ちたいと思っているもの。「でも何をやっていいかわからない。だからやってほしいことを、具体的に伝えてあげましょう。もちろんそのときには、悪いんだけど……とお願い態勢で」。
大げさなほどほめてプライドを満たしてあげる
立ててほしい夫を満足させる、一番の有効手段は「ほめる」こと。「ゴミ出しなど些細なことでもやってくれたら大げさにほめる。助かる! うれしい! 誰々さんもほめてた!など。気をよくして次も俺が、という好循環まで生まれます」。
【エピソード②】もっと「かまってほしい」夫の場合
度を過ぎると面倒くさい、“かまってちゃん”な夫。これもひとえに、妻への強い愛、もっと向き合ってほしい気持ちの表れと思えば、優しくなれるかも?
「ひとりにしないで……」。根っからの寂しがり屋さん!
もっと「かまってほしい」夫の場合
「家族と意見が合わなかったときが厄介。『こんな父親、いらないよね。いなくなっても誰も困らないよね……』と不穏な空気を醸し出し、おどろおどろしいほど肩を落としてトボトボ部屋を出ていきます。『ごめん、そんなつもりじゃないから!』と子どもや私に気を使わせるのがお決まり。コントみたい」
「メジャーリーグの大谷選手が大好きな夫は、常に大谷くんの最新情報を検索して、私にいちいち報告してきます。暇なときならともかく、家事や仕事で忙しいときにもお構いなしに話しかけてきて、私が生返事でもしようものなら、『ちょっと! 聞いてる!?』とご機嫌斜めに……。シーズン中は毎日これなので、気が抜けません」
「体調が少しでも悪いと、すぐに熱を測り、36.8℃くらいでも、まあ大騒ぎ。重病人のようにぐったりベッドに横たわり、震える声で何度も私を呼びつけ、死にそうな表情を見せてきます。これが割と頻繁なので正直面倒くさい……」
「私があくびをすると口の中に指を入れてくるし、ごろんと横になっていると靴下を脱がせるし、私の間抜けな寝顔を写真に撮って携帯電話に送ってくるなど……。暇さえあれば私にちょっかいを出してくる夫。付き合い始めはかわいいな、なんて思っていたけど、結婚20年も過ぎると、やれやれ、と思うことが増えました……」
「私と息子がふたりで楽しそうに仲よく話しているとおもしろくないようで、決まってむっつりと黙りはじめます。自分だけ仲間はずれにされたような気になってすねている模様。へたにとりなすと面倒なことになるから無視していますが、理解不能です!」
「かまってほしい夫」にはこうしてみては?
疎外感を感じないよう、いつも輪の中に
「妻や家族ともっと仲よくしたい気持ちも、かまってちゃん化を呼ぶ一因。家の中や旅先など、一緒の空間にいるときには、夫にも話を振るなど、疎外感を感じないように少しだけ意識するといいかも」。夫も喜び、家族の絆も深まりそう。
夫のいいところをさりげなく伝える
かまって攻撃は、妻にもっと自分を見てほしいという心の叫び。そこで「外見でも特技でもいいので、妻がいいな、と思っている夫の魅力を、何げない瞬間にさらりと伝えてあげて。わかってくれている、と安心し自信をもつはず」。
妻のほうから夫へ「かまって返し」をしてみる
かまってほしい夫は基本、妻が大好き。だから妻から甘えられたらそれはそれはうれしいもの。「だからときどきは、甘え調子でやってほしいことを頼んだり、やりたいことを伝えてみて。ご機嫌になるうえ、妻も願いがかなって一石二鳥です!」。
【エピソード③】いつまでも「夢を見たい」夫の場合
自分の興味に全力投球する姿が、ある意味微笑ましい、罪のない“永遠の小5”パターン。でもたまには、大人の夫婦の会話がしたいんです!
自分の欲望に正直なのは、うらやましい気もするけれど……
いつまでも「夢を見たい」夫の場合
「今まではお店で眺めるだけだった、ミニチュアカーをにわかに集めはじめました。子どもが自立し夫婦ふたりになったので、近いうちにお互いに自分の居室をもつ予定なのですが、その部屋にコレクションを飾ると張り切っています」
「朝の起き抜けも夜寝る前も、四六時中スマホのゲームに夢中な夫。大事な話をしてもいつもゲームをやりながらでちゃんと聞いていないので、何度も同じ話をしなければならないのが本当にストレス……。本気で怒るとやっと気づいて一瞬手を止めるけれど、その後すぐまたゲームに戻ります。あなた、小学生ですか?」
「新幹線や飛行機で必ず窓際に座りたがり、ワクワクしながらずーっと景色を見ています。新幹線では富士山が見えないととても残念がり、不機嫌になることも。私も窓際に座りたいけれど譲ってくれないので、ふたりのときは日よけと思うことにしています。なぜそこまで景色に執着するのか不思議です」
「『エル・チャポ』という犯罪ドラマにハマっていた夫。誕生日に何が欲しい?と聞いたら、『防弾チョッキが欲しい』と……。ドラマの中の麻薬カルテルの抗争シーンに影響を受けたみたいですが、『そもそも麻薬組織に属してないし、あなたは誰にもねらわれていないから』と冷たく却下しました。ちなみに夫は4歳年上です」
「コンビニの新商品(夏はアイス)を見つけると、うれしそうに報告してくる。それなのになぜか自分の分しか買ってこなくて、『おいしい、おいしい』とごはんの前にひとりで食べています。何? この罰ゲーム」
「夢を見たい夫」にはこうしてみては?
お願い事はできるだけ細かく具体的に伝える
自分の世界に没頭するとまわりが見えなくなる夫に、いわなくてもわかるだろう、は通じない。「家事などを頼むときは手順を一から説明し、やめてほしいことは、なぜそれをやめてほしいか、ていねいに伝える。お互いストレスフリーに」。
重要な話は「素」のモードのときに
「目の前に興味の対象があるときには、何を話しても頭に入らないもの。大切な話は必ず、素のモードのときに」。夢見がちモードのときにいったことを忘れてしまっていても、決して怒らず母親の気持ちで受け止めることもポイント。
妻も子どもに戻って欲望に素直に、自由になる
思いきって、夫の前で妻も子ども化してみるのもひとつの手。「心のおもむくままに、がまんしないで、やりたいことをやる、やりたくないことはやらない、という姿を見せてみる。いつもと違う妻の姿を前に、逆に夫が大人になるかも」。