基本的なマナーの知識と心遣いを身につけておけば、相手や場面が変わっても応用できるはず。日常での必須マナーをシーン別にご紹介。まずは、公私ともに機会の多い「訪問編」から。
茶人・武者小路千家家元後嗣
千利休を祖とする武者小路千家第15代家元後嗣。茶事や講演、執筆活動を通して茶道文化を発信する。古美術や現代アートにも造詣が深い。著書に『いつも感じのいい人のたった6つの習慣』(小学館)など。2児の父。【訪問編】日常マナー
約束の時間の5分前には到着しておくのがベスト
目上の人などの家を訪問する際、準備で忙しい相手を考慮し、早く訪ねるのはNG。「少し遅く訪ねたほうがいいとする向きもありますが、時間どおりがいいと思います。約束の5分前には訪問先の近くまで到着して、時間調整する余裕をもてると理想的」(千さん、以下同)。
親しい関係ならこれもあり!
訪問する相手が親しい間柄なら、最寄り駅に着いた時点で連絡を。「時間を約束していても、迎える側は『いつ来るか』と落ち着かないもの。到着の目安を知らせてあげると親切です」。
身なりを整えてからインターホンを押す
家に到着したら、玄関前で帽子を脱ぎ、日傘などもたたんでバッグにしまうか手に持って、インターホンを押す。「外の汚れを家に持ち込まないために、上着や帽子は玄関前で脱ぐのがマナーです。相手と対面する前に身支度を整えておけば、家に入ってからも、堂々とふるまえるでしょう」。
訪問前にスマホを準備
せっかくの歓待の場で、電話やメッセージの着信音が響くのはとても失礼。上司や目上の人の自宅に招かれた際は特に、スマートフォンをマナーモードにすることを忘れずに。
玄関で靴を脱ぐときは相手や家におしりを向けない
家のあがり方は、玄関で「おあがりください」と声をかけられたら、正面を向いたまま靴を脱いであがり、サッとかがんで靴の向きを変えるのが正解。「後ろ向きであがる人がいますが、相手や家に対して敬意を欠く横着なふるまいです。靴をそろえる際は玄関の中央を避け、端に寄せましょう」。
これからの季節は靴下持参も
サンダル履きなど素足のときは、靴下の持参を。玄関先で「失礼します」と断って着用してからスリッパを履く。「汗や皮脂で汚れた素足で他ひ人とさまの家にあがるのは、もってのほかです」。
上座か下座、座る場所はケースバイケースで
リビングや客間でどこに座るかは、相手との関係性やシチュエーションで判断を。「客は、出入口から一番奥の上座に座るのが基本ですが、目上の人の家にお礼やあいさつでうかがった際は、自ら下座に座るのが自然です。『こちらにどうぞ』と上座をすすめられたら素直に従うといいでしょう」。
和室に通されたら、どうしたら?
和室は立って出入りしない。座ってふすまや障子を開けて、座ったままにじり入って立ち上がるのが本来の作法。畳の縁は踏まないようにし、座布団はすすめられてから座るように。
手みやげは紙袋から出して渡し、紙袋は持ち帰ること
手みやげは玄関先で渡すのではなく、客間で席に着いたら紙袋から出してテーブルの上に置き、ひとしきり会話をしたあとで差し出す。「手みやげを入れてきた紙袋は運ぶためのもので、外の汚れがついたもの。たたんでバッグに入れて持ち帰りましょう」。