退職金が出たら「住宅ローンの繰り上げ返済」をしたほうがいい?メリットとデメリットを詳しく解説!

OuragexWebeclat

「退職金で住宅ローンをまとめて返済しよう!」。そう心に決めている人も多いのでは? 払う利息を節約できるだけでなく、完済できれば月々のローン返済がゼロに。メリットしかないような気がしますが、実はデメリットもあるのです。見極めポイントを知っておきましょう。

西山美紀さん
西山美紀さん

マネーコラムニスト・ファイナンシャルプランナー。単に貯蓄額を増やすのではなく、潤いのある毎日のためのお金の使い方・貯め方・増やし方について女性誌やWEBなどで発信するほか、取材・執筆・監修・講演を行っている。現在は早稲田大学人間科学部(eスクール)にて心理学も学ぶ。

住宅ローンの繰り上げ返済の「メリット」とは?

住宅ローンを繰り上げ返済すると、その返済した金額に対しての“利息分が浮く”というメリットがあります。  

さらに、ローンが完済できれば、気持ちが一気に楽になるでしょう。もちろん一軒家なら修繕費、マンションなら管理費や修繕積立金などの費用はかかりますが、毎月のローン返済がなくなるだけで、肩の荷が下りたような気分になるもの。  

繰り上げ返済は、「利息分が浮くこと」「住居費の負担感がなくなること」のふたつの大きなメリットがあるので、「退職金が出たら完済、もしくは一部繰り上げ返済をしようかな」と考える人も多いかもしれません。  

でも、繰り上げ返済には、忘れがちな“デメリット”があることにも要注意です!

OurAge×Webエクラ 退職金の使い道を考える女性のイラスト

注意1:「利息分が浮くメリット」は小さい場合がある

繰り上げ返済のメリットひとつめの「利息分が浮くこと」は、昔のイメージほどメリットが大きくない可能性があります。

住宅ローンの繰り上げ返済は、「期間短縮タイプ(月々の返済額が変わらないケース)」を選ぶ人が多いです。このケースで繰り上げ返済をすると、返済期間が短くなったり、もしくはなくなったりすることで、本来かかるはずだった利息の支払いを減らすことができます。 

この利息分は、住宅ローンの金利が高ければ高いほど多くなり、繰り上げ返済の効果が高くなります。

ですが、ここのところ長らく超低金利が続いていました。私たちの親世代は高い金利の時代だったため、繰り上げ返済の利息削減効果が非常に高かったのですが、最近のような低金利時代に住宅ローンを借りている場合は、その効果が低くなります。 

親世代から、「退職金が出たら、住宅ローンを完済するのが当たり前」などという話を聞いても、実はメリットの大きさが異なるのです。  

仮に1.0%のローン金利で借りている場合、退職金を繰り上げ返済に使わずに、一部を投資に回すなどで1.0%以上の利回りで運用できれば、そのほうがお得といえるかもしれません(ただし、高い利回りを目指そうとすると、それだけリスクの高い投資に手を出すことになるため、十分注意が必要です)。  

繰り上げ返済の利息軽減効果は、金利やローン残高などによって大きく変わりますので、実際にどれだけの利息軽減効果があるのか、一度確認してみましょう。金融機関によっては、計算してくれるかもしれません。

注意2:「手元の現金」が減ってしまうことに気をつけて

繰り上げ返済のメリットふたつめの「住居費の負担感がなくなること」は、確かに大きなメリットです。でもその一方で、繰り上げ返済にお金を使ってしまうことで、手元の現金が減ってしまうことを忘れては大変です。

仮に、受け取った退職金を全部使って、繰り上げ返済に回したとしましょう。

その後、車の買い替えをしたくなった場合、ほかに預貯金があればよいですが、そうでなければ、一般的に住宅ローン金利よりも高い金利のカーローンを組むことになるかもしれません。家のリフォームをしたいと思ってもお金がなくて借りることになったり、理想のリフォームを諦める必要があるかもしれません。  

現役時代なら、月収やボーナスなど定期的な収入がありますが、定年後の収入は年金が柱となるので、預貯金が少ないことは非常に心もとないものです。  

定年後は「いつでも使える手元の預貯金」が大きな心の支えとなります。繰り上げ返済をするとしても、手元に預貯金をしっかり残したうえで検討しましょう。

保険代わりになる“団信”がなくなることにも注意

さらに、住宅ローンで大事なポイントとなるのが、「団信(団体信用生命保険)」です。

住宅ローンを組む際には、“団信”という、住宅ローン返済者に万一のことがあった場合に返済がなくなるタイプの保険に入るのが一般的です。住宅ローンの繰り上げ返済をすると、この団信の効果が薄れてしまうことを覚えておきましょう。 

仮に住宅ローンが2000万円残っているときに、ローン返済者に万一のことがあった場合を考えてみます。

繰り上げ返済をしていなければ、団信によって残りの2000万円分のローン返済がなくなります。ところが、退職金で1500万円の繰り上げ返済をしていたあとであれば、団信によってローン返済がなくなるのは、残りの500万円分だけなのです。「退職金の1500万円がもったいなかった。繰り上げ返済をしなければよかった…」と思うかもしれません。 

団信に加入していれば、「住宅ローン返済中」=「保険に加入中」ということになります。退職金を使って繰り上げ返済や一括返済をすることで、「その保険がなくなっても大丈夫?」という点もしっかり確認しておきましょう。 

今回は、退職金による住宅ローン繰り上げ返済は、メリットもある一方で、複数のデメリットもあることをお伝えしました。

退職金が出るまでには時間があると思いますので、「我が家の場合はどちらがよいかな」「繰り上げ返済をするとしたら、いくらくらいまでがよいかな」などと、ぜひじっくりシミュレーションをしてみていただけたらと思います。

合わせて読みたい

50代なら知っておきたい年金の「繰り下げ受給」。本当にお得? 年金が増えるって本当?
イラスト/平松昭子 文/西山美紀
初出:OurAge 2024/10/3

ranking

what's new

pick up

recommend

feature

recommend

人気のヘルスケア記事がWebエクラにお引越し! ウェルビーエクラSTART! eclat Gourmet&Voyage eclat Maison
洗練アウター&おでかけ着で始める春支度 スタイリスト・村山佳世子×RED CARDTOKYOの大人気コラボ、第6弾! Room no.8 for E by éclat 大人のための「春レース」誕生! クリーンカラーの春スニーカー