「片づけは、心の棚卸し。自分を知るためのレッスンです」。いわゆる“汚部屋”の住人だった、お笑いタレント・平野ノラさんに、モノを手放し、人生を輝かせ続ける秘訣を伺いました。
まずは「手放す」と決めること。そこから、すべてが変わります
「汚部屋」は、モノへの依存の表れだった
「よく『どうしたらモノを手放せますか?』と質問をいただくんですが、その答えは『捨てたら、できた』。つまり、自分で手放すと決めること。なぜ捨てたいかを自分に問い、その答えを出し続けるんです」
平野ノラさんは迷いなく、そういった。’10年代、ワンレングスのソバージュヘア、肩パッドの入ったボディコンのスーツで大きな携帯電話を手に「しもしも〜?」というバブリーキャラ芸で人気を博した人が、ナチュラルメイクに着心地のよさそうな装いで、ゆったりとくつろいでいる。近年は、お笑いタレントとしての活動に加えて、自身が人生をかけて取り組んできた「片づけ」についての発信でも注目を集めた。
このままじゃいけない――平野さんが最初に片づけに取り組んだのは、20代後半。会社勤めをやめ、恋にも破れて引きこもっていた彼女は、いわゆる“汚部屋”の住人だった。
「どう生きるか、20代はずっと悩んでいました。自分が何をすべきか模索している中で、悩みに付随して、資格の教材や本、服など、モノがどんどんたまっていったんです。当時はわかっていませんでしたが、モノを買うことでモノに依存し、心のすき間を埋めていたんだと思います」
30代を前に、風水研究家カレン・キングストンの本『ガラクタ捨てれば自分が見える』(新版・小学館文庫)に出会い、片づけを決意。実現したい夢など、自分の心と徹底的に向き合う「自分会議」を行い、大量のモノを処分した結果、部屋は片づき、芸人デビューの夢も果たした。
その後も、バブリーキャラでのブレイク時など、人生の節目節目に片づけを断行。その格闘ぶりは
’22年に出版した著書『部屋を片づけたら人生のミラーボールが輝きだした』(KADOKAWA)に詳しいが、大量の服や本、雑貨だけでなく、出演作のDVDなど思い出の品までも処分しきった潔さには、脱帽する。
「見返さないままたまっていくDVDの山を見て、なぜなのかと考えたとき、『この番組には二度と出られないかもしれない』『これを最高の思い出にしよう』という恐怖や執着のせいなのかなと思って。でも、私はこれからも活躍をしていきたいし、だったら過去なんてとっておくことないんじゃない?と。捨てて、ここからもっといい作品を生み出せばいいと、未来の自分にフォーカスすると決めたんです」
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なりたい人になるために「手放して、引き寄せる」
不思議なことに、モノを手放した途端、欲しかったモノ、望んでいたものが次々と舞い込んだ。芸人としてのさらなる活躍。新しいジャンルの仕事。人との出会い。結婚、出産という人生の節目すらも、平野さんには「手放して、引き寄せた」という実感と確信があるという。
「例えば、どういうクロゼットにしたいか。どんな家に暮らしたいか。それを思い描くと、目の前にあるモノの中で、いらないモノ、自分にはふさわしくないモノが見えてきます。
高かったから、元をとれていないからと残していた服を捨て、これを着て活躍したいと思える服に替えると、活動的になるし、仕事もがんばれる。必要なときに必要なモノを得られる人に自分は必ずなれるんだ、という自信もつきました。
片づけは心の棚卸しであり、モノを通して自分を知るためのレッスンなんです」
絶えずものを循環させ、心にも余白を
’22年の著書出版時は「第3次」だった片づけ期は、最近、第7次(!)を終えたばかり。仕事と、’21年に生まれた長女の子育てに奔走する日々の中でも、ブラッシュアップしていくことを欠かさない。
「子供が生まれて4年。小学校入学も見据えて、引っ越ししたいと思って部屋を探していたんですが、なかなか見つからない。モヤモヤするなぁ、と思っていたとき、『そうだ、片づけなきゃ、ふさわしいところに行けないんだ!』と。場所をとる赤ちゃん用品やいらなくなったおもちゃ、私の服やアクセサリーなど300点以上を処分しました。そうしたら、理想的な部屋が見つかったんです」
手放し方も、いわく「嫁ぎ先」=循環させていくことを身につけ、ますますスムーズになったという。
「子供のモノは、娘より小さな子がいる友だちの家に。洋服はリサイクルのお店に、きれいなモノは寄付したり、食べきれないいただきもののお菓子などは、夫の会社のかたにさしあげたりと、ため込まず回していきます。ゴミにするのは気がひけるけど、誰かがもらってくれるなら手放せる。今は『今日は捨てる日』と特別な時間を確保することもなく、紙袋に検討するモノを入れて、捨てる、捨てないの判断を生活の中に落とし込みました。片づけは、やればやるほど上手になりますよ」
片づいた環境に暮らす中で、心も穏やかになっていったと、平野さん。最近、ある言葉が胸にしみた。
「仕事が忙しくて、子供の用事であることを忘れてワーッ!となったときに、娘が『ま、いっか』といったんです。空間に余白が必要なように、そうか、心にも余裕という余白が必要なんだなと……。だから、物事をむずかしく考えず『大丈夫、なんとかなる』というマインドでいきたいと思うようになっています。
これからもモノは買うでしょうし、好きなモノも変わっていく。でも、人生のいつの瞬間も、自分が好きなモノに囲まれていたいから、今の自分は何が好きで、何を心地いいと感じるか……それを考えつつ、毎日、自分をいたわりながら、ご機嫌に暮らしていきたいと思います」
\片づいた部屋と心で自分をもてなし、楽しもう!/
今日からすぐ実践できる「捨てられないあれこれの手放し方」
着ていないけど思い入れのある服
もう思い入れはないのでは?
着ていない時点で、実は思い入れはなくなっているのでは? その服を見るから思い出すだけで、なければ思い出すことはないはず。そして、服を適当に扱うとクロゼット全体が適当になり、結局は自分を適当に扱うことにもなるんです。そういうものは手放して、今の自分に心地いい、テンションを上げてくれる服をお迎えし、元をとるまで着ましょう!
使いみちのないいただきもの
気持ちだけ、ありがたく
「せっかくいただいたから……」という罪悪感からですよね。でも、いただきものは、いただいたときが感謝のピーク。ありがとうございました、と受け取って、そこでいったん終わりにして古くならないうちに、使ってくれる誰かにお譲りしましょう。モノはモノ。その人の思いは、モノには残りません。むしろ家で死蔵してガラクタにするほうが失礼です。
増える一方の推し活グッズ
お譲り、リメイクも一案
推しのグッズにホコリをかぶらせるなんて、逆に推しに申しわけなくないですか? それなら、欲しい人にフリマアプリで譲りましょう。私はマイケル・ジャクソンのTシャツを集めていましたが、今やTシャツが似合わない年代。だから、プリント部分を切り取って無地のトートバッグにはりつけたりして、世界にひとつの推しグッズにリメイクしています。
子供が作った作品・しまいっぱなしの思い出の品
飾って、遊んで愛の証しに
悩みますよねぇ。私も写真に撮って残そうとしましたが、写真って案外、見返さない。だから、処分する前に目につくところにディスプレイして、納得するまで愛めでたうえでお別れします。そうすれば、子供も「自分は愛されてたんだ」って納得できるはず。あと、うちでは思い出の写真やイラストを使って「かるた」を作り、思い出を有効活用しています。