50代、これからどんな働き方を目ざすべき? フリーアナウンサー 住吉美紀さんにインタビュー

仕事に、自分に真剣に向き合ってきたフリーアナウンサー 住吉美紀さんにインタビュー。幾多の波を乗り越えつつ働き続けてきたからこそたどりついた、心地よい働き方とは。

デコボコは「偏り」という名の能力! 誰かのために生かせる働き方を

フリーアナウンサー・文筆家 住吉美紀さん

フリーアナウンサー・文筆家 住吉美紀さん インタビュー写真

住吉さんの「働き方」ヒストリー

22歳 NHKに入局
アナウンサーとして『プロフェッショナル 仕事の流儀』など数々の番組、海外中継、インタビュー等を担当。やりがいを感じつつも、アナウンサーとしての適性に悩むことも。
35歳 文筆活動をスタート
それまで続けてきたアナウンサーの仕事を通じて、改めて書くことも好きと気づく。編集者との出会いから、私生活についてつづった初のエッセー集『自分へのごほうび』(幻冬舎)を上梓。
37歳 フリーランスに
自分の可能性を広げたい、生き方を再構築したいという思いからNHKを退職。さまざまな番組に出演するも、求めに応えられていないのではと悩む日々。
38歳 TOKYO FM『Blue Ocean』のパーソナリティに
多くのリスナーの声に触れ、リスナーと一緒に番組をつくり上げる楽しさを実感。
47歳 新型コロナウイルス感染症に罹患
中等症で入院。体力が戻るまで8カ月もの時間を要したことで、残された時間をどう生きるかを考えるように。
48歳 個人事務所を立ち上げ
仕事の選択などもっと自分で責任をもちたいという思いから独立。
52歳 最新著書『50歳の棚卸し』上梓
「書く」ことが、自分の人生を見つめ直し、居場所を確認する、自分にとって欠かせない場になっていると感じる。

自分の足で立ってこそ! 40歳を前にフリーランスに

平日の午前中、毎日ラジオから流れてくる快活なトークからは想像しにくいが、住吉さんもまた人生の中で悩み、もがきながら働き方を模索してきたエクラ世代の“同志”だ。

「NHKには15年間勤め、海外ロケや生中継、インタビューなどたくさんの経験をさせてもらいました。小学校はアメリカ、高校はカナダだったので英語が話せたため、入局前からもっていた『海外と日本を結ぶ懸け橋になる仕事がしたい』という思いをかなえられている実感がありました。

そんな中、立ち上げからかかわったドキュメンタリー番組『プロフェッショナル 仕事の流儀』が、自分の働き方を考えるひとつのきっかけに。4年強で計143人の超一流の仕事人にインタビューし、私自身も感動や気づきを得るうちに『じゃあ私はどう働いて、どう生きていきたいんだろう』という問いも生まれて……。

組織の中ではなく『自分』として社会に立ち向かっていかないと、本当の意味で生きているとはいえないんじゃないかとまで考えるようになって。同時に、アナウンサーとしての適性に疑問がわいたり、忙しさで自分の時間を自分で設計できないストレスを抱えたりもしていて、『再スタートを切るなら40歳目前の今だ』とフリーランスでやっていくことを決めました」

新型コロナ感染をきっかけに優先順位を整理し直した

フリーアナウンサー・文筆家 住吉美紀さん インタビュー 

心機一転踏み出した道は、まったくといっていいほど想像と違った。

「バラエティで気のきいたひと言がパッと出なかったり、情報番組では『根拠もないのにいえない』とコメントをためらってしまったり。『女子アナ大集合』みたいな番組で“女子アナあるある”エピソードを求められたのですが、私にはほかの出演者のかたが語るようないわゆる女子アナ的な経験がほとんどなく、存在感を示せずに『場違いなところに来てしまった』と落ち込んだことも。

そんなことが続いて、相談できる上司や同期もおらず、孤独感が募り、できない自分に失望してしまって……。でも、そのときすでに担当していたラジオ番組『Blue Ocean』で徐々にリスナーさんと時間を共有することの楽しさややりがいを感じられるようになったことに救われました。今も続くこの番組は私の核となる仕事ですが、とりわけ当時は大きな心の支えでした」

仕事が軌道に乗ってきた’20年に、新型コロナウイルスに感染したことが、またひとつ転機になった。

「中等症まですすんで命の危険を感じ、肉体的にも精神的にも本当につらかった。2週間入院しましたが、完全に体力が戻るまでに8カ月もかかりました。それが大きなきっかけとなり、『私が命を懸けてまでしたいことってなんだろう』『何を大事にしたいんだろう』ってすごく考えたんですね。

そうしたら、不器用でいいからもっと自分流に、仕事の内容も時間の使い方も自分に引き寄せようって答えが出ました。それまでの事務所を卒業して個人事務所を設立し、今度こそ本当の意味でフリーになったのが48歳のときでした」

棚卸しで自分への理解を深めれば「いい働き方」が 見えてくる

すべてを自分で選べるようになった今、住吉さんが働き方を決めるうえで基準にしているのは「時間」「人生における意味・やりがい」「人とのご縁」「社会貢献」「お金」の5つ。

「この5つは、エクラ世代が自分が幸せな状態で働けているかの物差しになるのでは、と思います。でも基準にしているとはいえ、現実には時間の使い方はまだ上手にいかないし、やりたいと思えばお金は度外視のこともあるんですけどね。

5つの要素をバランスよく満たしてくれるのは、なんといってもラジオの仕事。私が始めてから今までの14年間で社会の状況も大きく変わり、私自身のライフステージも変化してきました。

番組ではリスナーさんから寄せられたメッセージを紹介するのですが、ここ数年は『私も同じことがありました』『私の場合はこうでした』と自分のことを語る機会を徐々に増やしてきました。

それは『リスナーさんが個人的な経験や思いを寄せてくれるのに、自分のことを話さないわけにいかない』という思いから。お互いに語り合うことで『ひとりじゃない』『自分にもできるかも』と気持ちが明るくなるかたがいるかもしれない。私なりの社会貢献だと思っています。

同時にそれは自分の来し方を振り返る作業でもあり、昨年一冊のエッセーにまとめることができました。内面と対話しながら書いていく
ことを通して自分を重層的に理解し、俯瞰して見られるようにもなって、この先どう働きたいかも見えた気がします。エクラ世代でまだ『自分の棚卸し』をしたことがない人は、ぜひやってみてください。

私は得意不得意の差が激しくて、デコボコだらけ。それで苦しんだり
悩んだりした時期もありましたが、今では父と母から与えてもらった人間性であり、『偏り』という名の能力だと思えます。

もし自分の足りない部分ばかりに目がいきそうな人がいたら、それを自分だけの能力に置き換えてみてほしい。誰かの・何かの役に立つかもしれない──そんなふうに考えられたら、この先もずっと幸せに働けるんじゃないかな」

50歳から目ざしたいのは

·「時間」「社会貢献」など仕事を選ぶ基準を決める
·「自分の棚卸し」をして自分に対する理解を深める
·自分の偏りも愛して能力に変えていく

住吉美紀さん
フリーアナウンサー・文筆家
住吉美紀さん
フリーアナウンサー・文筆家

すみよし みき●’96年にNHK入局。海外取材やインタビューなど多岐にわたり活躍。’11年からフリー、翌年よりTOKYO FM『Blue Ocean』パーソナリティを務める。最新著書は『50歳の棚卸し』(講談社)。

撮影/名和真紀子 ヘア&メイク/園部タミ子 スタイリスト/阪本幸恵 取材・原文/遊佐信子 ※エクラ2026年4月号掲載 

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