働くことは生きること。人生100年とするならば、エクラ世代はちょうど折り返し地点であり、この先どう働いてどう生きるかを考えるべきタイミング。さまざまな人の経験や知見から、そのヒントを見つけていこう。実業家、フリーランス、キャリア支援、心理学と、属性・専門分野の異なる4人がお悩み解決のヒントを提示。
答えてくれたのはこちらの4人
かわさき たかこ●’72年生まれ。法人・個人向けに女性活躍を支援するコンサルティング業務などを行うかたわら、働く女性のための結婚相談所「ナチュ婚相談所」、婚活予備校「魔女のサバト」主宰、執筆活動や講演など幅広く活躍。2人の娘の母。
すみよし みき●’96年にNHK入局。海外取材やインタビューなど多岐にわたり活躍。’11年からフリー、翌年よりTOKYO FM『Blue Ocean』パーソナリティを務める。最新著書は『50歳の棚卸し』(講談社)。
ふなき あやの●株式会社メンタルシンクタンク副社長。カウンセラーとして中央官庁や地方自治体のメンタルヘルス対策に従事。著書に『あなたの職場を憂鬱にする人たち』(インターナショナル新書)。
ふるや しょうと●一橋大学大学院社会学研究科修了。経産省で人材政策等に携わり’17年より現職。著書に『なぜ「若手を育てる」のは今、こんなに難しいのか“ゆるい職場”時代の人材育成の科学』(日本経済新聞出版)。
Q.働くことが義務や我慢にならないための コツを知りたいです
Jマダム ゆきみさん フリーランス
フリーアナウンサー・文筆家 住吉美紀さん
「やりたい」という気持ちは仕事の原動力。主体的に働けているか、それを自分に問いかける習慣をつけるといいと思います。私はレギュラーのラジオ番組について、年度をまたぐタイミングで毎年「まだやりたいよね?」と自分に再確認するように。今は「やりたい!」という声が返ってきているので、いつもフレッシュな気持ちで取り組めています。
心理学者・公認心理師・ 精神保健福祉士 舟木彩乃さん
私もそうですが、特にフリーランスのかたはオンオフの切り替えがむずかしいですよね。オンばかりになってしまうとやりたいことがわからなくなり、仕事を続けること自体が目的化してしまう場合も。自分の人生を輝かせる目的を探すことも必要です。例えば呼吸法やマインドフルネスで、仕事のことを考えず、自分と向き合う時間をつくることも有効ですよ。
リクルートワークス研究所 主任研究員 古屋星斗さん
仕事の内容や肩書などとは関係のない、仕事外の場所や人間関係=サードプレイスをもつことがおすすめ。しがらみのない人たちとのかかわりが、新たな気づきを与えてくれ、めぐりめぐって仕事に対するモチベーションを高めてくれます。私もパパ友と遊びにいったり一般社団法人で仕事と別の活動をしたりするのが、いいリフレッシュになっています。
Q.若い世代にチャレンジする楽しさをどう伝えるのがよいでしょうか。ハラスメントにならないように……。
Tomoさん 正社員(管理職)
フリーアナウンサー・文筆家 住吉美紀さん
私が言葉で教えることが得意でないこともありますが、あれこれいうより背中で見せるのがいいんじゃないでしょうか。ラジオに「この現場が一番楽しい」といってくれる20代のスタッフがいるのですが、私自身の楽しく仕事に取り組んでいる姿やものをいいやすい空気づくりなどで、少しは伝えられているのかもと思います。
リクルートワークス研究所 主任研究員 古屋星斗さん
視野を広げることの価値を実際に体験させてあげたいですね。でも若いうちは自ら行動を起こすのはむずかしいもの。こっちから「こういう勉強会に行ってみない?」などと誘っちゃいましょう。「上に誘われたから行くしかない」と言い訳をつくってあげるんです。それが若手にとってチャンスとなることもあるので、おせっかいでいいのです。
Q.上司が仕事をしないタイプで、管理職業務まで自分に丸投げされるため、心身が疲れてしまいます。
miyaさん 正社員
心理学者・公認心理師・ 精神保健福祉士 舟木彩乃さん
人間関係を気にして過剰適応してしまっている可能性大。それは本来あなたがやるべき仕事ではないので、線引きして「できません」と断ってOKです。それでも変わらなければそのまた上司に相談しましょう。対人関係の交渉能力ってドラクエと同じで、戦って成功体験を積み、戦力を上げていくことでしか養えないのです。
Q.現在の仕事はやりがいがあって、自分に合っていると思うものの、年齢的に会社からは期待されていないのではと思うことも。役職がない立場で、この先、どう仕事をしていけばよいのか悩みます。
Jマダム ゆーさん 正社員
実業家/リントス株式会社代表取締役 川崎貴子さん
やりがいがあってがんばっているなら、きっと能力も高いはず。女性管理職を増やしたい企業も増えていますし、興味のある仕事には自分から手を上げることが大事です。上司だって「やりたい」と思う人にやってもらいたいはず。副職が許される会社であれば、社内にとらわれず社外でもやりたいと思える仕事があれば、積極的にトライしましょう。
Q.リモートワークに慣れている若手が、出社して席でおしゃべりしながら仕事をするよさに気づいておらず、なかなか出社してくれません。
shigeさん 正社員
心理学者・公認心理師・ 精神保健福祉士 舟木彩乃さん
リアルなおしゃべりがいいという考えには、相談者のかたのバイアスがかかっているかもしれません。先輩のおしゃべりは「反応しないといけない」など、プレッシャーを与えるかもという視点は必要です。リアルで仕事を進めると効率がよい、ミスが少ないなど明確なメリットがあるなら、組織のルールにしてもらうべく、会社に働きかけましょう。
リクルートワークス研究所 主任研究員 古屋星斗さん
コミュニケーションは頻度が高いことが大事。今はいろいろなツールがあるので、リアルにこだわらず、まずは頻度を上げることを目ざして、少しまめにチャットやメールなどでコミュニケーションをとってみてはいかがでしょうか。それで距離が縮まってきたら、若手が「リアルで話したいな」となる可能性も。
Q.判断力、理解力、言語化に難が出てきたら引退しよう、そうなるまでは続けたいと思っています。そのような判断は誰に、どのようにしてもらえばよいのでしょうか?
Jマダム ぶんかさん パート・アルバイト
実業家/リントス株式会社代表取締役 川崎貴子さん
年齢的なもので無理が出たり苦手になったりすることは誰にでもありますが、人の能力って0-100じゃなくグラデーションがあるのが自然。だからすっぱりとラインを決めなくてもいいんじゃないでしょうか。年齢とともにできないことばかりが増えていくイメージですが、逆に年を重ねるからこそできることもあるはずです。
フリーアナウンサー・文筆家 住吉美紀さん
誰もが初めて老いるのだから、自分の引きぎわなんてわからないものですよね。まして個人差もあるから、一律なラインなんて存在しない。筋力を鍛えたり歯を大切にしたり自分でできることは続けつつ、依頼してくれるかたがいるうちは懸命にがんばっていけばいいのでは、と思います。その時々での「自分のベスト」をつくすのが大事かと。
撮影/名和真紀子 取材・原文/遊佐信子 ※エクラ2026年4月号掲載