エクラの読者アンケートで多かった親の認知症についての悩みや疑問をピックアップし、医療と介護のエキスパートがずばり回答! 参考にしながら、自分に合った対策を探ってみて。
教えてくれたのは…
Q1.いやがる親を、どうやって検査に連れていけばいい?
A.ムリに専門医を受診させるより、かかりつけ医に
認知症かどうかの検査を、親が拒否するケースは多々。
「認知症は、痛い・苦しいといった症状がないので、本人に自覚がありませんし、認知症を受け入れたくないという気持ちもあると思います。なので、いきなり『認知症外来』や『もの忘れ外来』に連れていこうとせず、かかりつけ医に相談を。親がいないところで症状を伝えたり、メモにして渡すのがよいでしょう。最近は、かかりつけ医の認知症相談への対応レベルが高くなっていますし、専門医も紹介してくれます。なお、専門医を受診する際も、認知症の話題は前面に出さず、親には健康診断の延長線上と説明するのが得策です」(奥村先生)
「素直なタイプの親なら、『私たち家族が心配』『いつまでも元気でいてほしいから』という言葉でその気になるかもしれませんし、プライドが高く、頑固な親なら、『予防のため』といって、脳ドックを受けさせるのも一案。断固拒否の場合、居住地の認知症初期集中支援チームを活用するのも手。認知症の知識をもつ専門職員が、訪問によるアドバイスを実施しています」(渋澤さん)
Q2.30分おきに同じ話を繰り返す親にうんざり……
A.その裏にある心理をくみとり、共感しつつ、話題をチェンジ
「アルツハイマー型認知症で、初期から見られるのが近時記憶障害。30分おきに同じことをいうのは、そのため。なので、『さっきもいった』と指摘しても意味がありません。また、同じ言葉を繰り返す裏には、本人の切実な思いがあるので、聞き流すのもNG。本人の心理に共感しつつ、気をそらすために別の話題をふってください。例えば、旅行で明後日まで帰宅しない孫について、『何時に帰ってくるんだ』と、親が繰り返すとしたら、それは、孫を心配しているから。その気持ちをくみとり、『いつも気にかけてくれて、ありがとう。明後日に帰ってくるよ』と答えつつ、『好きなテレビ番組やっているよ』と、別のことに気をそらす。こんなふうに、認知症を理解すれば、適切な対応がとりやすくなるはず」(奥村先生)
「ふさぎ込むよりよいのですから、親が楽しそうなら、何かしながらでもいいので聞いてあげては? また、いらつくのは、自分に余裕がないからかも。その場合、親のそばからさりげなく離れるのがおすすめ」(渋澤さん)
Q3.「お財布を盗まれた!」と騒ぎ、時に家族を犯人扱いします
A.「症状のひとつが出た」と、まずは冷静に受け止めて
「“もの盗られ妄想”も、アルツハイマー型認知症の典型的な症状。お財布をきちんと管理しているつもりでも、記憶障害ゆえ、どこにしまったか覚えていない。本人には自覚がないので、見つからない焦燥感や、なくなってしまったらどうしようという不安感を抱き、それから逃れるための“つじつま合わせ”として、『盗られた』と思い込む。これが、もの盗られ妄想のメカニズム。ですから、家族はまず、『症状のひとつが出た』と冷静に受け止め、『それは大変』と、本人に同情し、『一緒に探そう』と、体験を共有するのがベター。また、しまった場所にアタリをつけておき、そこに誘導して、本人自身に見つけさせること。先に見つけると、『犯人だから場所を知っているんだ』と思われかねません」(奥村先生)
Q4.親の暴言に我慢しきれず、ついいい返して、自己嫌悪に
A.家族なのだから、時には口論してもよし!
「私も、母の言葉に腹が立ち、何度も口論になりました。でも、認知症かどうかにかかわらず、家族間のいざこざはよくあること。毎回我慢することはないのでは? 母は口論したこと自体忘れていますし、私も、いいたいことをいってスッキリします。家族だから、口論もあり。そう考え、自分を責めないで。ちなみに私は、終業後に1時間だけファミレスで友人とおしゃべりしたり、月1回の習い事に行くなど、介護ストレスの発散法をいくつかもっていました。そんなふうに、自分のことも大切にしてほしいですね」(渋澤さん)