資産価値のある不動産ではなく、お荷物にしかならない負の不動産=“負動産”。相続・不動産コンサルタントの藤戸さん曰く、この言葉が広まってきたのはここ数年とのこと。数十年前までは、実家が土地持ち・家持ちなら安心とされていたのに、いったい何が起こってしまったのか? まずは負動産が増えている背景をチェックして。
住宅数増加と世帯数減少で、今後ますます家が余る!?
読者の親は70代以上が大半。ということは、約9割が持ち家があることに。
「現在の70代〜80代は、マイホームを手に入れるため必死に働いてきた世代。家は価値ある資産という意識が強いだろうと思います。けれど実際は、維持費などで出費ばかりがかさんだり、使い道がなく空き家状態に陥ったりと、子世代のお荷物になってしまう“負動産”が増えているのです」と、相続物件をはじめ不動産事情に詳しい藤戸康雄さん。
「しかも、子世代である40代〜50代の持ち家率も非常に高いので、親の死後、子供が自分の家を引き払って実家に移るというケースは少ないのではないでしょうか。となると、親が所有していた家は不要になってしまいます。その家を売ったり、貸したりできればいいのですが、それはむずかしい。なぜなら、空き家率の上昇からもわかるように、全国的に家が余っているからです」
野村総合研究所の調査によると、全国の空き家率は’18年実績が13.6%、’33年は27.3%と予想されている。つまり、4軒に1軒は空き家という厳し~い現実が待っているというわけだ。
その背景にあるのは、総住宅数の増加と世帯数の減少。総務省のデータでは、総住宅数は1988年から2018年まで一貫して増えており、’13年から’18年だけでも179万戸も増えているとか。一方総世帯数は、’23年の5419万世帯をピークに減少に転じ、’40年には5076万世帯にまで減るとの予想に(国立社会保障・人口問題研究所’18年調べ)。
「世帯数が増えるのは、進学や就職を機に実家を出るなど、若者が独立して居を構えるから。けれど、少子化で将来世帯数が減るのは明白。結果、必要とされる家の数は確実に減ります。日本はすでに住宅過剰社会に突入しているのです」
供給過多になれば、“生き残れる”のは価値の高い家のみ。親の家にその価値があるかどうかが気になるところ。次回以降の記事で詳しく見ていく。
【世帯主の年齢別持ち家率】
(総務省統計局 2018年発表「家計調査結果」をもとに作成)
持ち家率は、家族構成がほぼ固まる&拠点が定まりはじめる30代からぐっと増加。40代~50代の読者世代で7割以上、親世代にあたる70代以上は9割以上が自分の家をもっていることに。親の家が負動産化しやすいのも納得!?