誰もがいつか直面する親の介護と相続。きょうだいで力を合わせて乗り越えたいところだが、実は長年別々に暮らすうちに、価値観や立場が変わり、そのことに気づかないでいるとトラブルも頻発しがちに。どうすれば回避できる?
教えてくださったのは
きょうだいでも、数十年たてば他人同然
血のつながったきょうだいも、数十年後には立場も違えば、価値観も変わっているもの。親と不仲だったきょうだいもいるわけで、介護や相続をきっかけに、長年の不満が爆発して、あげくの果てに絶縁ということも十分ありうる。
理学療法士やリハビリの専門家として病院で働くかたわら、認知症の祖母、重度身体障害の母、知的障害の弟を介護してきた橋中今日子さん。その経験をブログで発表していたときに、介護に悩む人の相談を受けるようになった。特にきょうだいに関する悩みは多い。
「きょうだい間のコミュニケーション不足が大きいですね。みんな得手不得手があるので、お互いが得意なことやできることがなんなのかを考えたうえで、カバーし合えるようになれるといいのですが」
橋中さん自身、介護にかかわろうとしない姉に強いストレスを感じていた時期もあったが、今では協力し合えるようになったという。
「一度に解決したくなるものですが、介護もコミュニケーションも思いどおりにはならず、失敗しつつも時間をかけるしかないんです」
約1万5千件の相続関係の相談に乗ってきた相続実務士の曽根恵子さんは、きょうだい間の争いをいやというほど見てきた。
「きょうだいは少ないほうがもめます。ふたりだと間に入る人がおらず、一歩も引かない人が多いです。相続がきっかけで、きょうだい格差や僻みなどが噴出し、歯止めがきかなくなりがち。仲よさそうに見えても、実は腹に抱えるものがあるもので、本音をぶつけすぎて『お姉ちゃんにそう思われているとは思わなかった!』などと、ショックを受ける人もいます」
親の死をきっかけにきょうだいが絶縁してしまっては、親は死んでも死にきれないはず。
橋中さん、曽根さんが特に重要視するのは、「良好なコミュニケーション」と「情報共有」だ。相手を尊重しつつ、冷静になって自分の立場や考えを伝え、隠し事は絶対にしないこと。
介護で過度の負担を背負ったり、相続で割の合わない思いをしないためにも、知識を身につけ、今からできることをやっていこう。
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