心に秘めた悩みや後悔に、共感しながら一緒に答えを探してくれるホスピスドクター・小澤先生へ届く、エクラ世代の心にある生き方の悩みの例を3つご紹介します。
悩み.障害のある弟の、これからが心配です (I.Yさん・55歳)
10歳年下のダウン症の弟がいます。今は両親と元気に暮らしていますが、親も高齢ですし、弟が50歳になったら生涯暮らせる施設に入ることになりました。私にも自分の家族があり、夫はもちろん理解してくれていますが、やはり完全に面倒を見るのはむずかしいと思います。一緒に暮らした時期は私も短く、両親亡きあとの弟のことが心配になります。
【回答】弟さんとご両親の"つながり"をていねいに応援してあげてください
I.Yさん、優しいお姉さんですね。弟さんは、50歳になったら施設に入ることになっているんですね。ご両親が亡くなったあとの弟さんのことを考えると心配になるんですね。
ダウン症のかたの精神は発達遅滞ではなくて、ちゃんとご自分の意思がある。きっと弟さんもご両親が好きだろうから、もし亡くなれば相当悲しむと思います。
やがて避けられないご両親とのお別れが訪れたのち、どんなことがあれば弟さんは穏やかでいられるか、そこを考えてみましょう。安心して生涯暮らせる施設はそのひとつですね。でも、それだけではなくて、ご両親のことを忘れずにいられること。ご両親とつながり、決して死んでしまってもういない、ではなく、必ず向こうからも弟さんを見守ってくれている、と感じられることがあるといい。そう感じられれば、決して弟さんはひとりぼっちではないです。
弟さんが施設に入っても、ご両親のことを思い出せるように、ご両親の写真やメッセージをすぐ手にとれるようにしておくといいですよね。どれほど大事な子なのか、どれほど愛していたのか、ご両親の思いを見えるかたちにして、そばに置いておいてあげたいですね。
お姉さんはご両親のかわりにはなれません。けれど、弟さんとご両親との"つながり" を応援することはできるのではないかなと思います。
教えてくれたのは…
めぐみ在宅クリニック院長
小澤竹俊先生
’63年東京都生まれ。’87年東京慈恵会医科大学卒業。’91年山形大学大学院医学研究科医学専攻博士過程修了。救命救急センター、農村医療に従事、’94年より横浜甦生病院内科・ホスピス病棟に勤め、病棟長に。’06年めぐみ在宅クリニックを開院。医療従事者や介護人の人材育成のために、’15年に一般社団法人エンドオブライフ・ケア協会を設立。