時代の流れとともにさまざまな価値観が変わっていくように、結婚に対する意識にも変化が。アラフィーが抱えるパートナー事情をカウンセラー歴30年の池内ひろ美さんに話をうかがった。
教えてくれたのは…
どんな形であっても考えておきたい「10年後の自分」
「相談を受けていると、結婚や別居の形態も多様化してきていると感じます。例えば、今は離婚をしないけれど将来離婚を視野に入れた『離婚約』、子供の海外留学についていくという名目の別居。また、エクラ世代には、親の介護からの『実家婚』も多い。さらに、コロナ禍になって相談を受けるのが、衛生意識の違いやワクチンに対する考え方の違い、リモート生活でのうっとうしさから別に暮らしはじめたというケース。『パンデミック婚』『隔離婚』とでもいうのでしょうか。東日本大震災のころに、不安感から『震災婚』が増えましたが、コロナ禍でも結婚を考える人が増えました。ですが、反対に別居や離婚を考える人もいますね」というのは、家族問題評論家の池内ひろ美さん。
’00年代初頭。『卒婚のススメ』(杉山由美子著)という著書から、「卒婚」という言葉が話題になった。婚姻関係にある夫婦が、お互いに干渉せずにそれぞれの人生を歩んでいくというもの。夫のケアに翻弄されることのない人生だなんて理想以外の何物でもない、と思うかたもいるかもしれない。でも、池内さんは今のメディアの「卒婚」報道に違和感があるという。
「離婚の場合、財産分与の問題や、それぞれの実家への報告や対応、公的書類の書き換えなども含めて、やらなければならないことが本当にたくさんあります。離婚は大きなエネルギーを使う作業なのです。それに比べて卒婚のように離婚せずに別居する方法だと、不動産や預貯金といった相続財産はそのままに、それぞれの生活が送れる利点はあります。また、共働きで別居でも自立できる人は万が一、そのまま離婚となってもリスクは少ないでしょう。でも、実際にはリスクを考えずに思いだけで始めてしまうかたもいて心配になることがあります」
池内さんは、一時の感情やなんとなくの気分ではなく、具体的な「期限」や「自分がどうなりたいのか」という目的を明快にすることが大事という。
「そもそも、40代、50代でパートナーのことで悩めるというのは、幸せなことです。自分もパートナーも健康で経済的にも余裕があるから、悩むことができるともいえるわけです。どちらかが、病気になったらそうはいっていられない。そういったことも踏まえて、『10年後の自分』を書き出してみることをおすすめします」
これはパートナーと離れて暮らすことを考えている人、新たなるパートナーとの関係をどうするか悩んでいる人も同じ。住むところは都心なのか、郊外なのか、そのとき誰と住みたいのか、といったことを具体的にリスト化してみると自分の気持ちを「見える化」できる。
「人生100年と考えれば、ちょうど中間地点。婚姻形式を先に決めるのではなく、まずは自分の人生を見直すことが先にあるといいですね」
読者の声から。パートナーとのこんな形も
「母が認知症になり、私と娘と母は夫が建てた一戸建ての新居に住むことに。夫は従来のマンションに残り、週末だけ私が夫の食事の支度や家事をしにいく生活が10年近く続きました。昨年母が亡くなりましたが、今も変わらず、2つの家を行ったり来たりしながら、私のやりたいことを自由に楽しませてもらい、幸せに暮らしています」(59歳・自営業)
「お互い離婚経験者です。ふたりとも子供がいないし、夫には親もいないので、結婚にはこだわっていなかったのですが、一緒にビジネスを始めることになり、社会的信用も考えて結婚することにしました」(50歳・自営業)
「オンラインゲームで知り合ったパートナー。顔が見えないのでこれまで他人にいえなかったことも全部吐き出すことができ、前の夫のことも相談して離婚。今はお互いに親の介護があるし、住んでいる場所が離れているので月に一度パートナーがわが家に通ってくる形。これがとても心地いいので今のままがいい」(57歳・会社員)