“一人暮らしの親”に向き合うための「心構え」とは?3人の専門家が回答!

親が一人暮らしになったら、真っ先にすべきことは何? どんなところに気をつければいい? その道のプロが、心構えをレクチャーするとともに、読者アンケートで寄せられた疑問や悩みに回答!

ケアの基本を、3人の専門家がアドバイス!

親子が歩み寄り、お互いにできることをすればOK

特定社会保険労務士 池田直子さん
特定社会保険労務士 池田直子さん
いけだ なおこ●あおぞらコンサルティング所長。仕事と介護の両立および企業向け介護支援セミナーを実施。『図解とイラストでよくわかる 離れて暮らす親に介護が必要になったときに読む本』(KADOKAWA)監修。

まずお伝えしたいのは、親のケアや介護は千差万別で、正解はないということ。どういう方針のもと、どんな方法をとるかは、家族ごとに違うのがあたりまえで、誰からも否定されるべきではありません。さまざまな考えや方法の中から、自分たち親子に合ったものを選ぶのが一番だと思います。

ただし、「親のために」という呪縛からは、自分を解放してあげてほしいですね。その思いが強すぎると、親が受け入れてくれないと腹が立ったり、悲しくなったりするでしょうし、親が望むとおりにしてあげられないと、自己嫌悪に陥るかもしれません。親子が少しずつ歩み寄り、お互いにできることをやっていくのが、ケアであり、介護。これから先どのくらい続くかわからないからこそ、肩の力を抜き、マイペースで取り組むのが大切です。
 

その時々の親の状況に合わせ、ケア内容のアップデートを

介護作家・ブロガー 工藤広伸さん
介護作家・ブロガー 工藤広伸さん
くどう ひろのぶ●2度の介護離職を経験し、現在は、企業や自治体などでの講演や執筆活動をしつつ、母の遠距離在宅介護を続ける。著書に、『親が認知症!? 離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと』(翔泳社)ほか。

ひと口に“高齢の親”といっても、個人差はかなり大きいと思います。頭も体もしっかりしていて、ひとりでなんでもできる人もいれば、そろそろ介護という人もいるでしょう。当然、必要なケアは異なりますし、子供がサポートすべきポイントも変わってきます。なので、親の状況に応じて、その時々でケアの内容を見直し、アップデートすることが重要。ケアに役立つアイテムも年々進化していますが、最先端のものが最適とはかぎりません。特にIT関連は、親だけでなく、子供のリテラシーも求められるので、自分たちが使いこなせるものを選ぶのが基本です。

今は元気でも、いずれ介護がやってくるでしょう。いざというときに慌てずにすむよう、ケアが気になりはじめた今から、介護関連の情報を収集し、準備しておくことをおすすめします。
 

関係を再構築する時期と認識し、少し距離をおいて

心理学博士 小野寺敦子さん
心理学博士 小野寺敦子さん
おのでら あつこ●’84年、東京都立大学大学院人文科学研究科心理学専攻博士課程修了。現在、目白大学人間学部心理カウンセリング学科教授を務める。近著、『女50代のやっかいな人間関係』(河出書房新社)が話題に。

40~50代のエクラ世代は、親子関係が大きく変わり、再構築する時期。親の高齢化により、子供が手を貸す場面が増えてきて、親子の役割が逆転してくるためです。けれど、それをうまく受け入れられないと、「しっかり者だった親に依存され、重たい」「娘が、あれこれ指図してきてイヤ」など、両者ともに、心がざわつきがちに。特に、母と娘の場合、親密であればあるほど、心理的葛藤や対立が表れやすいんですよ。母は、娘の気遣いをうれしく思いながらも、「もっと」という気持ちから不満を抱き、娘は、母の要求を負担に感じたり、十分応えられないことで自己嫌悪に陥ったり。

こうした問題を解決するキーワードは“自立”。簡単ではないと思いますが、親も子も自立を心がけ、少し距離をおくのが、心穏やかに過ごす秘訣です。

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取材・原文/村上早苗 イラスト/升ノ内朝子 ※エクラ2022年12月号掲載

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