女友だちのあり方を描いた最近作からおすすめの本をピックアップ! 明治を生きた翻訳者の一生、独身女性限定のシェアハウス、韓国の仲よし中学生4人組……、時代、背景、年齢が違っても、なぜか心に響く言葉の数々をヒントに。
『若葉荘の暮らし』 畑野智美
40歳以上独身女性限定のシェアハウスに暮らしたら
勤務先が倒産後、派遣社員などを経て洋食屋でアルバイト中のミチルは40歳。仕事、結婚、お金への不安がリアルになる中、感染症の蔓延で収入が激減し、シェアハウスへ。同居する年上女性たちとミチルの関係の特徴はほどよい距離感。彼女たちを通して現実を冷静に考えるミチルを見ていると、熱いばかりが友情ではないと思えてくる。小学館 ¥1,980
『あなたの教室』 レティシア・コロンバニ 齋藤可津子/訳
女同士なら困難な現実に立ち向かえる
20年続けた教師をやめインドを訪れた傷心のレナは、海で10歳の少女に助けられる。養父母の店で働かされ、学校に行っていない彼女にレナは読み書きを教えようとするが……。最下層の女性の現実を知ったレナが、彼女たちを守る活動をしていた地元の若い女性と知り合い、学校創設という挑戦を始める物語。女たちの絆は国境を越えると感動! 早川書房 ¥1,760
『ミカンの味』 チョ・ナムジュ 矢島暁子/訳
『82年生まれ、キム・ジヨン』の著者が描く、女子の絆
ソラン、ダユン、へイン、ウンジは中学の映画部で仲よくなり、中3になる直前に4人で済州島へ。そこである約束を交わすが、背景には各々の家庭の事情があった。今の韓国の教育や性差別の問題が全編から感じられてせつないが、それでも希望を捨てたくないと行動した少女たちからは連帯がもたらす強さも感じられる。朝日新聞出版 ¥1,760
『たとえば、葡萄』 大島真寿美
女50代。いろいろあっても友情が続いた理由が見えてくる
28歳の美月は誰もがうらやむ会社を勢いでやめ、母の親友・市子の家に転がり込むがコロナ禍に。悩む美月を変えたのは母の友人たちの自分の気持ちを尊重した生き方、そしてあるぶどうジュースとの出会いだった。注目すべきは紆余曲折を経ても続く市子たち50代女性の友情。互いへの信頼に裏打ちされた忌憚のないトークは共感必至。小学館 ¥1,980
『空を駆ける』 梶よう子
明治の女学校で芽生えた友情が孤独な少女を変えた
『小公子』を日本で初めて翻訳した若松賤子(わかまつしずこ)の31年の生涯を描く。母の死後養女に出されたカシ(賤子)は11歳でアメリカ人女性宣教師の寄宿学校へ。そこでの生活で心を回復したカシは熱心に英語を学び、将来に思いを馳せる。カシが女性の自立や子供の幸福を願うようになったのは、寄宿舎仲間と支え合った経験があったからかも。集英社 ¥2,090
『一心同体だった』 山内マリコ
胸が痛むほどリアルな女友だち関係
10歳から40歳までの女の友情を描いた連作短編集。切実に求め合っていたのに温度差が生じた20代、互いに尊敬の念をもっていたのに距離を縮められなかった30代……、一筋縄ではいかない女同士の関係がなまなましくて、自分の過去の交友関係が脳裏に蘇るほど。女の生き方が時代に影響されていることも見えてきて感慨深い。光文社 ¥1,980