第6回目を迎えた今年の「文芸エクラ大賞」。本誌エクラで本について執筆している文芸評論家とライター、本の現場を知る書店員が選考に参加。「特別賞」に選ばれた4冊を紹介。
文芸評論家 斎藤美奈子
本の執筆だけでなく、新聞や雑誌などにも切れ味鋭い文芸評を寄せ、幅広く支持されている。
書評ライター 山本圭子
出版社勤務を経てライターに。女性誌ほかで、新刊書評や著者インタビュー、対談などを手がける。
書評ライター 細貝さやか
本誌書評欄をはじめ、文芸誌の著者インタビューなどを執筆。海外文学やノンフィクションに精通。
書評担当編集 K野
女性誌で書評欄&著者インタビュー担当歴20年以上。女性誌ならではの本の企画を常に思案中。
「(友人に比べて)自分はDランク」と感じてしまう主人公の複雑な内面がリアル
━━文芸評論家 斎藤美奈子さん
『介護者D』
河﨑秋子 朝日新聞出版 ¥1,870
主人公は父親の介護のために派遣社員をやめ東京から札幌に戻った琴美。父親との価値観の違いや同級生との差異にやりきれなさを覚えつつ、推し活を心の支えにする女性を描いた現代の介護小説。
あなたやあなたの大切な人が病気になったとき、全力で抱きしめてくれる本
━━紀伊國屋書店梅田本店 小泉真規子さん
『くもをさがす』
西 加奈子 河出書房新社 ¥1,540
滞在先のカナダで乳がんの宣告を受けた著者。コロナ感染、両乳房摘出手術と次々に試練が訪れるが……。「これはあくまで治療だ。闘いではない」とつづる彼女に静かに寄り添いたくなるノンフィクション。
娘に気持ちを伝えようと言葉をつくす主人公。理屈っぽいが気持ちはわかる!
━━書評担当編集 K野
『デクリネゾン』
金原ひとみ ホーム社 ¥1,980
シングルマザーの小説家・志絵が中学生の娘に「大学生の恋人と一緒に暮らしたい」と告げると、娘から意外な返事が。恋も仕事も家族も大事だからこそ、強くも危うくもなる女性が新鮮な長編小説。
だます側とだまされる側の孤独が、驚くほど似ている。これはもう辻村マジック!
━━代官山 蔦屋書店 間室道子さん
『嘘つきジェンガ』
辻村深月 文藝春秋 ¥1,815
詐欺犯罪をテーマにした3編を収録。「2020年のロマンス詐欺」は、コロナ禍で仕送りが減った男子大学生がアルバイト感覚でロマンス詐欺に加担してしまう話。二転三転する展開に驚かされる!