作家の恩田陸さんは年間400冊もの本を読破する読書家でもある。そんな恩田さんに、最近「おもしろい!」と思った本3冊と、過去の名作を読みたいと思ったときにガイドになる本2冊を教えてもらった。
Q.最近、「おもしろい!」と思った本は?
「#MeToo運動のきっかけをつくった女性記者たちの軌跡『その名を暴け』は粘り強く真実を立証していく様に心を動かされました。
あわせて読んで引き込まれたのが『キャッチ・アンド・キル』。作者は映画監督ウディ・アレンと女優ミア・ファローの息子で、#MeToo運動の引き金になった記事を書いたジャーナリスト。性的虐待疑惑がある父をもつ彼が性被害について調べるという複雑さ、用心して調査を進めてもかかる圧力……サスペンスのような怖さもあって、“真実はひとつじゃない”とつくづく思いました。
私は漫画も好きですが、『数字であそぼ。』が最近のおすすめ。主人公の青年は現役で京都大学らしき大学の理学部に入ったのに数学が苦手。そこには理由があるのですが、なにかと悩みがちな彼とユニークな友人たちの言動に思わず笑ってしまいます」
『その名を暴け #MeTooに火をつけたジャーナリストたちの闘い』
ジョディ・カンター、ミーガン・トゥーイー
古屋美登里/訳 新潮文庫 ¥1,045
『キャッチ・アンド・キル』
ローナン・ファロー
関美和/訳 文藝春秋 ¥2,530
『数字であそぼ。』
1〜9巻
絹田村子 小学館 各¥550
Q.過去の名作を読みたいと思ったときに、ガイドになる本はありますか?
「お酒を通して文学作品を紹介した『BOOKSのんべえ お酒で味わう 日本文学32選』はほろ酔い気分になりそうな本。小説や随筆の作者は林芙美子、村上春樹、江國香織、森見登美彦など多彩で、今までなじみがなかった書き手でも“読んでみようかな”と思わせる。読書の入口を広げてくれます。
斎藤美奈子さんの『挑発する少女小説』はめちゃくちゃおもしろかったですね。『若草物語』や『あしながおじさん』など9作の少女小説を大人の目でシビアに読み返した評論で、“主人公は何に頼って生存したか”が語られています。子供のころに読んだ本を再読すると、当時はわからなかったものが見えてくる。それを教えてもらった気がします」
『BOOKSのんべえ お酒で味わう 日本文学32選』
木村衣有子 文藝春秋 ¥1,650
『挑発する少女小説』
斎藤美奈子 河出新書 ¥946