本読みの達人でもある作家・恩田陸さんへインタビュー。読書の新しい楽しみ方やおすすめの記憶法など、エクラ世代が読書を楽しむためのヒントを教えてもらった。
Q.最近、「新たな発見」をくれた本は?
恩田さんがあげたのは意外なジャンルの一冊。
「『ユーザーの「心の声」を聴く技術』は“なるほどね!”と思いました。著者はユーザー(消費者)調査を専門にしている女性で、対象者にバイアスをかけずにアンケートをとるためのノウハウが書かれています。逆にいえばこういう調査は質問の順番や調査の場所といったちょっとしたことにも左右されがちということ。消費者の要望をちゃんと調べるのはいかに大変かがよくわかりました」
『ユーザーの「心の声」を聴く技術 ユーザー調査に潜む50の落とし穴とその対策』
奥泉直子 技術評論社 ¥2,508
Q.本を読んでも少し時間がたつと内容を忘れてしまうのですが、いい記憶法はありますか?
「今までは一冊読みきってから寝ていたのに最近は途中で眠くなることが。せっかく読んだ本の内容も忘れそうになるので、簡単な内容と感想のメモをつけるようにしています。私は映画や舞台も好きですが、それらの鑑賞メモもつけるのが習慣。どちらも長年続けているので、書かないと気持ち悪くて(笑)。
今では備忘録的なものですが、日記も小学5年生くらいからつけています。ときどき取材で昔のことや読んだり見たりしたものについて聞かれますが、日記とスケジュール帳と読書メモと鑑賞メモを見たらだいたいのことは思い出せる。書き残すってやっぱり大事だなと実感しています」
Q.読書の新しい楽しみ方があれば教えてください。
「最近自宅で戯曲をちょっとずつ朗読していますが、これが楽しいんです。シェイクスピアやチェーホフが書いた、いわゆる名作が多いですね。昔は“大げさだな”と感じたセリフがこの年になると“なるほど”と思うし、口に出すとグッときたりする。長い年月残ってきた作品だけあって、人間の普遍的な感情が描かれているんです。
日本人の女性のほとんどは感情表現が苦手なのではと思いますが、戯曲を読むと感情のこめ方がわかるし、役者の気分になって再生できるのがおもしろい。声を出すのは健康にいいのはもちろん、カタルシスも得られます。モヤモヤしているとき、一度やってみてはいかがでしょうか」