’26年の大河ドラマ『豊臣兄弟!』をはじめ、いま話題の歴史エンタメ。今回は、作家・今村翔吾さんが選んだ、新たな気づきを得られる没入間違いなしの作品を紹介。
今村翔吾さんセレクト!もう一度堪能したい“豊臣家”を取り巻く物語
『豊臣兄弟!』で僕が注目したいのは秀吉の“負の部分”の描き方。彼にとって厄介な人物が何度も暗殺されますが、たぶん秀吉が秀長にやらせたのだと思う。史料を見ると、この兄弟はある時期から文字が急にうまくなっていて、ふたりとも勉強に励むマメな性格だったと推察されます。出自不明の優秀な兄弟が異例の出世を遂げるという奇跡をどう表現するのか。そのあたりも気になりますね。
最初に読むべき“豊臣もの”
『新史 太閤記』司馬遼太郎
"猿"と呼ばれた貧農出身の秀吉が力量を見せはじめていた織田信長と出会い、彼の死後も才覚を生かして天下人にまで昇りつめていく壮大な物語。今も魅力があせない昭和のベストセラー。新潮文庫 上・下 各¥1,045
秀吉の“行政"をリアルに描く!
『五葉のまつり』今村翔吾
豊臣政権を支えた石田三成、浅野長政ら五奉行は、北野大茶会や刀狩りなどの任務をどうやって遂行したのか。力を合わせて難題に取り組む男たちの喜怒哀楽が伝わる、安土桃山時代の"お仕事小説"。新潮社 ¥2,530
奮闘する秀吉に親近感が!
『秀吉の活』
木下昌輝
就活、婚活、妊活、終活……出世のため、天下をとるため、栄華を維持するため、秀吉はさまざまな活動を必死に行った! 一生を10の活動時期に分けて、現代人にも通じる秀吉の人物像に迫ったユニークな小説。幻冬舎時代小説文庫 ¥1,045
偉大な茶人が秘めていた記憶
『利休にたずねよ』
山本兼一
最後まで己の美学を貫いて秀吉に疎まれ、切腹を命じられた千利休。本人だけでなく秀吉や家康など、まわりの人物の言葉から彼の生涯と死の真相に迫った直木賞受賞作。’13年に市川海老蔵(現・團十郎)主演で映画化も。PHP文芸文庫 ¥922
兄の陰で豊臣政権を支えた弟
『全一冊 豊臣秀長 ある補佐役の生涯』
堺屋太一
野心家の兄・秀吉の出世に貢献し、自身も”大和大納言”と呼ばれるまでになった秀長。”日本史上屈指のナンバー2”ともいわれる男の知られざる功績と人生を描いた、大河ドラマの参考書的な一冊。PHP文庫 ¥1,760
秀吉を支えた若き武将たちの絆
『八本目の槍』
今村翔吾
賤ケ岳の戦いで秀吉軍の勝利に貢献し、「賤ケ岳の七本槍」といわれた加藤虎之助(清正)ら7人の若者たち。やがて彼らは出世や愛などを求めて別々の道を歩むことに。タイトルの意味がわかるラストが感動的な連作短編集。新潮文庫 ¥935
【番外編】編集部セレクト!
女性作家が書いた豊臣家の女たち
『さざなみの彼方』
佐藤 雫
秀吉の側室になった茶々と彼女の乳母子・大野治長の秘められた愛と波乱の人生の物語。史実に対する作者の解釈に納得することも多く、読み応え十分。集英社文庫 ¥990
『王者の妻』
永井路子
作者は女性視点で時代小説を書いた先駆者。本作では秀吉の正室・おねねを”夫が出世しても庶民の気持ちを忘れなかった女性”として描いている。終生仲睦まじい夫婦だったが、おねねが秀吉に対して常に冷静な観察眼をもっている点が新鮮。朝日文庫 上・下各¥990