ライター、コラムニストの渥美志保さん、ライター・今 祥枝さんが選ぶ、’25年の“個人的”ベスト韓国ドラマは?「つい何度も何度も見てしまう」「個人的に最も感動した」、そんな思い入れたっぷりの作品を徹底解説。
ライター、コラムニスト・渥美志保さんの私的ベスト作品
『エマ』
■Netflixシリーズ「エマ」独占配信中
全女性たちの姿が、胸がすくほどカッコいい
ドラマが虚実織り交ぜて描くのは、1982年に上映された、韓国初の実在の成人映画『エマ夫人』の製作過程の舞台裏だ。不測のトラブルが続出する現場のてんやわんや、映画人たちのバカバカしくも涙ぐましいエロへの努力と情熱、そして主役の座をめぐって対立する大スター女性俳優と、新人女性俳優のマウント合戦などなど、ユーモアたっぷりなのだが、やがて見えてくるのは舞台となった’81年という時代だ。ドラマは、その前年に軍事クーデターで実権を握った独裁者チョン・ドファンの権力の横暴の最前線に、女性俳優たちが「性上納」という形で立たされていた事実を暴き出している。
そんな中で対立していた大スター女性俳優と、新人女性俳優は、しだいに「互いを守ること」こそが自身の尊厳を守ることになると気づきはじめる。イ・ハニ演じる大スターをはじめ、登場する全女性たちはまったくもって「いい子ちゃん」ではない。たとえ「イカれ女」といわれようと、望まぬ形で消費されることを敢然と拒否する姿は、胸がすくほどカッコいい。ドラマのラストには、実際の『エマ夫人』の主演俳優アン・ソヨンさんも登場し、過酷な時代を生きた女性俳優たちに示されたリスペクトにも胸が熱くなる。
■Netflixシリーズ「エマ」独占配信中
’80年代の韓国成人映画界を実話をモチーフにしながらコミカルタッチで描く。イ・ハニ演じる脱がない宣言した大スターと、自らもオーディションで選ばれたバン・ヒョリン演じる新人俳優の対決も熱く、ともに理不尽に立ち向かう姿が胸を打つ。
■Netflixシリーズ「エマ」独占配信中
ライター・今 祥枝さんの私的ベスト作品
『交渉の技術』
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大切な教訓&金言に満ちた奥の深い物語だと悟った
ご贔屓イ・ジェフンの銀髪のビジュアルを見た瞬間、ノックアウト! 何これ、どういうこと!?と目が釘付け。しかも、昔から大金が動く金融業界もののスリルが大好きなので、銀髪ジェフンが徹底してクールに演じる大手企業のM&A専門家ユン・ジュノの魅力にどっぷりハマってしまいました。笑顔封印で「交渉の席では感情を捨てる」と静かにいいきる姿にキャーとなりつつ、すぐにこれは人生においても仕事においても大切な教訓&金言に満ちた奥の深い物語だと悟った私。50代だからこその仕事の悩みもつきなかった’25年に、シゴデキな人の特徴を兼ね備えたジュノの、窮地に追い込まれてからの粘り腰と冷静さを胸に刻みました。
同時に、狡猾な上司や同僚、図々しくもタフなライバルたちの姿に、会社員の夫と「ああいう人、絶対どこの会社にもいるよね~」「わかりみ(涙)」と、前のめりで毎週楽しみにして見た作品。従来の韓国ドラマには珍しいほどの、あえての淡々とした作風も好みで、最後の1秒まで「やられた!」と思わせてくれた脚本にも脱帽です。
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企業の合併や買収を担うM&A。ヒットメーカー俳優のイ・ジェフンが、優れた交渉技術をもつ、ある大企業のM&Aチーム長ジュノに扮して、会社の危機を救うために奮闘する。頭脳を駆使した心理戦やチーム結束への過程など人間模様が見どころ。
■Leminoにて配信中