人気韓国ドラマのセリフやタイトルに注目し、ドラマ鑑賞がもっと楽しくなる豆知識をご紹介。第8回は、双子が生活をスイッチすることから始まる“人生の再生”を描いた『未知のソウル』(2025)のセリフをピックアップします。
Netflixシリーズ「未知のソウル」独占配信中
私たちの日常をときめきや感動で彩ってくれる韓国ドラマ。昨今の韓国ブームによって「表情管理」「花道だけ歩こう」のように、韓国由来の表現が日本でも少しずつ浸透してきて、注釈なしでも伝わる言葉が増えています。外国語に触れる楽しさや、知識・視点が増える喜びを感じられるのも海外エンタメの魅力のひとつですよね。
この連載では、韓国ドラマのセリフやタイトルに注目し、ドラマ鑑賞がもっと楽しくなる豆知識をご紹介。韓国語能力試験(TOPIK)の最上級である6級を取得したライターが独自の視点からお届けします。
『未知のソウル』
映画『私のオオカミ少年』、ドラマ『力の強い女 ト・ボンスン』『ある日、私の家の玄関に滅亡が入ってきた』など、映画やドラマで幅広く活躍するパク・ボヨンが双子の姉妹を一人二役で演じるヒューマンドラマ。K-POPグループ・GOT7のメンバーであり、俳優としても活躍するパク・ジニョンが相手役として出演。
あらすじ
顔以外はすべてが正反対の双子の姉妹、ミレとミジ(パク・ボヨン)。大きな危機を乗り越えるため、互いのふりをして生きることにした2人は、それぞれに愛と人生の意味を見出していく。
このフレーズに注目!
「암만 모냥 빠지고 추저분해 보여도 살자고 하는 짓은 다 용감한 거야. 」(どんなに不格好で惨めに見えても生きようとするのは勇敢なことよ)
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ミレとミジは、母親でも見分けられないほどそっくりな一卵性双生児。姉ミレは幼い頃は病弱でしたが、ソウルの名門大学を卒業、韓国金融管理公社に就職し、実家に仕送りをする“自慢の娘”。一方、妹ミジは、田舎の実家に留まり、清掃員や農業など日雇いで働くフリーター。脳梗塞で倒れた祖母のお見舞いを欠かさない優しい子ですが、母親や周囲の人に将来を心配されています。ミレとミジはその見た目を利用して、幼い頃から「入れ替わり」をしてお互いを支え合ってきましたが、いつしか2人の間には溝ができ、ミレが就職してからはさらに疎遠になっていました。
そんなある日、ミジは母親が作ったおかずを届けにソウルにいるミレのもとへ。そこで、マンションの自室から飛び降りようとしているミレを発見し、順風満帆な暮らしを送っていると思っていたミレが、実は職場でいじめを受けていることを知ります。家族にも弱い姿を見せたがらないミレの性格を知っているミジは「人生を交換しよう」と提案。お互いの立場に立ったことで、羨ましく妬ましくもあった相手の“光”の部分が、本人にとっては“影”の部分だということに気づくミレとミジ。人生を見つめ直して心の傷を再生していく姿が描かれます。
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ミレから見たミジは、30歳になっても定職に就かず、実家で暮らしながら好きなことをして生きている自由人。しかし、ミジは幼い頃から優秀なミレと比較されて育った劣等感があり、現在も「このままじゃいけないけど変わるには遅すぎる」と人知れず葛藤を抱えているのでした。
そんなミジが実家でフリーターを続けているのには、大好きなハルモニ(祖母)の介護をするためという理由のほかに、過去の挫折が深く関係しています。今回注目するフレーズは、そんなミジのつらい過去に関するシーンから。
高校時代、それまで“ミレのおまけ”だったミジにとって、陸上は自分らしく輝ける場所でした。優れた運動神経を活かして将来有望な選手として活躍しましたが、ケガによって引退することに。ミレに付きっきりだった母親が陸上を始めてから自分を見てくれるようになったと感じていたミジは、自分の存在意義を見失い、周囲のうわさ話に傷つき、3年間自分の部屋に引きこもっていたのでした。
パク・ボヨンも「心に響いた」とコメント
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そんなミジの唯一の理解者はハルモニでした。ある日、しびれを切らした母親と大喧嘩して「自分がゴミみたい」と泣きじゃくるミジに、ハルモニは「ライオンに出くわしたシカが逃げたらゴミかい? 食われないよう殻に身を隠す貝は臆病者なの? それも生きるためでしょ。ミジも生きるために隠れた」と語りかけ、こう続けます。
「암만 모냥 빠지고 추저분해 보여도(どんなに不格好で惨めに見えても) 살자고 하는 짓은 다 용감한 거야. (生きようとするのは勇敢なことよ)」
そう言ってミジを抱きしめるハルモニ。見ているこちらもハルモニに抱きしめられているような安心感に包まれるフレーズに、視聴者から共感と感動の声が上がりましたが、繊細な表現でミレとミジを完璧に演じあげたパク・ボヨンも、韓国メディアとのインタビューで「心に響いた」と語っています。
「のちに後悔することもあるでしょう。でも、それは当時の自分ができる最善の選択だったはず。(ハルモニのセリフが)全ての選択はどれも勇敢なことなのだと気づかせてくれました」(パク・ボヨン)
この後、ハルモニは脳梗塞で倒れてしまい、幸い一命をとりとめたものの寝たきりになってしまいます。当時家にはミジしかおらず、ミジは自分のせいで助けを呼ぶのが遅れてしまったと現在も罪悪感を抱えているのでした。これらは第4話で描かれるのですが、母親との喧嘩→ハルモニの温かい教え→ハルモニが倒れるシーンは、何度見ても胸がギュッとなり、涙なしでは見られません……!
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ミジにとっては悲しいトラウマでもありますが、大好きなハルモニの言葉が大きな救いとなったはず。その証拠として、ミジが毎朝唱える「昨日は終わった。明日は遠く、今日は未知だ」という言葉もハルモニが教えてくれたこと。ちなみに、「未知」は韓国語で「ミジ」と発音します。つまり、“未知のソウル”は、ミレとスイッチすることから始まる“ミジのソウル”でもあるんです。
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また、本作は、主人公のミレとミジを軸に登場人物ひとりひとりの背景や葛藤が丁寧に描かれているところも魅力のひとつ。
ミジの初恋の相手で弁護士のイ・スホ(パク・ジニョン)は、幼い頃の交通事故で左耳の聴力を失い、ハンディキャップや心の傷と戦っています。スホが自分の傷と向き合っていく過程が描かれると同時に、初恋だったミジとのラブロマンスも進展していくのでお楽しみに。『花様年華~君といた季節~』『ユミの細胞たち』など、甘いロマンス演技で視聴者をとりこにしたパク・ジニョンが、本作でも「初恋記憶操作男」の異名が飛び出す甘く切ない演技を披露しています。“人生再生物語”に癒されながら、胸キュンもチャージしてくださいね。
K-POPアイドル、俳優にインタビューを行うフリーランスライター。学生時代からライターとして活動、韓国在住経験もあり。TOPIK6級取得。
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