エクラ世代におすすめしたい書籍を厳選! “安上がり”な旅日記『駅から徒歩138億年』、夫婦の間に広がってしまった溝を描く短編集『みずいらず』など4冊を厳選。
『駅から徒歩138億年』
近くて深くて安上がりな「自分だけの旅」のススメ
岡田 悠
産業編集センター ¥1,980
多摩川の河口から源流まで1年半かけて少しずつ歩いたり、17年前に新幹線の窓から2秒だけ見えた海がどこなのか探して訪れてみたり、古いカーナビの案内で歩きまわり、迷うことで街の変化を体感したり。会社員として働きながら執筆している著者の日記やエッセーを読むほどに、「そっか、これも旅なんだ」「こんな楽しみ方もあるのね」とウキウキワクワク。装丁もユニークだ。旅の写真を効果的に配し、ところどころ文字の大きさや字体を変えるなど、楽しい工夫がたっぷり。
『私労働小説 負債の重力にあらがって』
仕事で遭遇する“理不尽”にのみ込まれるな
ブレイディみかこ
KADOKAWA ¥1,870
スーパー店員、キャバ嬢、ホールスタッフ、富裕層のメイド、借金の督促……イギリス在住の保育士&ライターとして大注目の著者は、日・英・アイルランドで多様な職に就いてきた。ハラスメントや差別に自尊心を砕かれかけても、誇りを失うまいとあがく主人公が忘れられない。
『みずいらず』
夫婦の間に広がってしまった溝を、どう埋める?
染井為人
祥伝社 ¥1,980
コミュニケーション不足やちっぽけなプライド、時には相手を思う気持ちが裏目に出て、不満と不信を募らせる中高年夫婦。身につまされ、やがて破局寸前に思えた関係が再生していく温かなエンディングに救われる。社会派ミステリの旗手ならではの仕掛けが光る短編集。
『これがそうなのか』
問い続けることが、人を強く豊かにする
永井玲衣
集英社 ¥1,980
「推し」「アップデート」「普通に」など何げなく口にしている言葉の裏に、どんな心理や社会の空気が潜んでいるのか。気鋭の哲学者によるエッセー集は、「人間や世の中なんてこんなもの」とあきらめてしまわず、答えのない問いに向き合い、考え続ける大切さに気づかせてくれる。
photography:Maho Kurakata text:Sayaka Hosogai ※エクラ2026年2・3月合併号掲載